ラーニング・センター・プロジェクト

進捗報告 2008年9月

2008年 9月作成



まだ完成していないが、既に授業が
始まっているラーニング・センター
床は6mx5m

概要

今年5月に希望者を募り、予想をかなり上回る100名以上が登録されていて、6月から授業も始まっている。(実際には、仕事があったりして、欠席者も少なくないが、それでも、かなり多くの人が授業に来ている。) 人数が多い理由は、パソコン教室にも先生が受講者を募集してしまったためで、そちらに沢山人が集まっている。中古のノートパソコンは自宅に沢山あるが、ソフトウェアのライセンスをそんなに沢山揃えることはできないので、すぐにパソコン教室を開講するのは難しいので、先生にも、そう説明しておいたのだが、先生の方が 来るものは拒まずで、受け入れてしまった。

設備関連では、電気工事と水道の工事が完了し、木を燃やして加熱する現地式のかまどができた。また水道の水圧が非常に低いので、それを補うための前もって水を貯めるタンクも作った。
机、椅子は当初、バランガイの所有物を借りていたが、プラスチックの椅子を、これまでに20個購入した。
机は、まだ借り物のままだが、必要な材木が手配でき次第、大工に作らせる予定である。

建物の外側も有効に使うべく バルコニーをつくる予定だが、見た目がよくてコストは安いデザインが未だ決まっていない。設計が済み次第、屋根のペンキ塗りなどの残作業を含め、10月までに作業を終えたいと思っている。

受講者数

5月に受講者の受付をして、6月から授業が始まっている。登録されている人数は以下の通り。

ハイスクール卒業資格試験受験 約15名
ミシン(Dress Making)  女性13+若干名、男性 3名
料理(Foods) 女性17名、男性1名
パソコン(Computer) 
月、水週二回コース 合計約30名
      土曜午前クラス 女性17名、男性13名
      土曜午後クラス 女性20名、男性8名

パソコンの方は、ソフトウェアのライセンスの問題があり、すぐには開講できないという話を先生に伝えていたのだが、先生の方は、講義だけでも良いと思ったのか、100人近くの受講者を受け入れてしまった。
おかげで、私の方は、パソコンのセットアップだけでもかなり時間を取られる羽目になったが、関心を持たれないよりは、盛況な方が良いので、できるかぎり対応しているところである。
少し話はそれるが、以前にも別途紹介しているように、CMOSバッテリー切れの問題で 立ち上がらない中古パソコンが沢山出てきている。立ち上げ時に、BIOSセットアップに入って、デフォルト値を読み込ませれば、なんとか動くものも少なくない。メーカーによっては、CMOS checksum errorになることもある。 デスクトップ・パソコンは簡単にボタン電池を交換できるが、ノートパソコンは、筐体を開けるのはかなり難しく、内部の様子を見るのすら難しい。

各コースの状況

ミシン

・以前ドゥマゲッティで買った足踏み式のミシンは問題なく動いている。 さらに近くのハイスクールからも1台借りていた。 不足している部品を買って修理後、そちらも暫く使っていたが、ハイスクールでも使う時期になったので返却した。
・小浜のNPOティームスの方で、近くの方から足踏みミシンを一台寄付して頂き、解体してからバリック・バヤン・ボックスに入れて、フィリピンに送り、現時で再度組み立て使っている。足踏み式は、以上の2台となっているが、今後、さらに何台か増やす予定である。
・電動ミシンも、既に何台か日本から送っている。同様にNPOティームスから送ってもらった1台の電動ミシンは、長ら く使っていなかったようで、モーターは回転しても、針が上下しないという状態であった。そこで、近くの修理屋に持って行き、治してもらった。修理屋といっても、そこは本来はパソコンの修理屋だが、たまたまミシンを修理できる人が いたので、そこに修理を依頼した。中を開けて、必要な部分に油を注して、回転部分で緩んでいるところがあり、それを締め付けて、無事動作するようになった。ただし、かなり複雑で、使うのが難しいので敬遠されていて、本稼動とまでは言えない。中のベルトもかなり傷みかけていて、近々再度メンテナンスが必要になりそうだ。
・日本のオークションで落札した中古の電動ミシンも3台あり、そのうち2台は、ラーニング・センターで、順調に稼動している。もう一台は、盗難に備えて、別の場所に予備で置いてある。現状 盗難はなくて、これまでの工事中の状況も含め、ここで物を盗まれる可能性はかなり低そうな感触である。
そう言いながら、隣のバランガイにある私の家では、空き巣に入られ、犯人が自首してきて、ほぼ解決したという事件も同時進行している。
・ミシンを使えれば、台湾で雇ってもらえるということで、海外への出稼ぎに行ける可能性があるので、これを始めた。インフラ整備に時間を取られているが、それが一段落すれば、そちらの調査も進める予定である。

小浜市在住の方から寄付して頂いた足踏みミシンも、実習に活用されている。

パソコン

・(1)月、水午前の2回、(2)土曜午前、(3)土曜午後人数が多いので、3クラスに分かれている。
・(1)月、水は、今年教育学部を卒業したボランティアの先生が教えていて、無給だが ここでの経験により、9月の教員採用試験で、5ポイント加算されるとのことである。(2)土曜午前は、近くのScience High Schoolの先生、(3)土曜午後は、山の中にある小学校の校長先生がそれぞれ担当している。なかなか興味深い、講師陣の布陣である。
・沢山来てしまったものは、こちらもできるだけ対応するしかないので、自宅から持って行くパソコンの数を徐々に増やしているところである。動かなくなっているラップトップPCが手元に沢山あり、手を焼いている。
私の方でも、少しは復活させることができたが、シキホールのパソコン修理屋に聞いてみたところ、ラップトップも治せると主張しているので、そちらにも期待しているが、半信半疑でもあり、試しにどれを修理依頼するか決めるところで止まっている。Science Highの先生が、修理にチャレンジしてみたいということなので、試しに1台、解体してもらおうとしたが、参考情報なしでは、解体は難しそうで、途中で断念ということになったが、別の機種で再チャレンジの予定である。
・ソフトウエアのライセンスの問題については、オークションで落札した中古パソコンでも、古いOSのライセンスのシールが貼ってあることも多いので、それはそれで再利用し、必要な分は新しいライセンスも揃える予定である。
LinuxとOpen Officeは無料なので、そちらをインストールしたパソコンも揃えたいが、使い難いという意見の先生もいて、現状は対応できていない。

教室内の様子

料理

・10kmほど離れたBanbanというところの公立のハイスクールの先生が授業を担当している。
・そちらのハイスクールにあるガスオーブンを借りてきて調理をしているが、例によって、故障が多く、ミシンと同じで、私の方で部品を買って来て修理して使っている。日本でも、例えば橋の修理の予算を付けるのは難しいが、それと、同じようなことになっている。
・目新しい料理の調理方法を覚え、自宅で作って、売り歩いて収入の足しにしようというのが このコースの狙いで、ハイスクールのガスオーブンのような、1万ペソ以上しそうな器具は、理解を助ける意味はあっても、高くて現地の人の家では使えない。そこで、建物の外に、どこの家にも在るような かまどを作り、まきで加熱し、自宅にある鍋でも調理できるようにしようとした。実際には、先生の指示で、結構複雑なものができたように私の目には見える。自宅で調理する場合と同等とみて良いのかどうか、これから使ってもらって判断する。

現地でDirty Kitchenと呼ばれている
かまど

ハイスクール卒業資格試験受験

・何度が授業の様子を見ているが、着々と問題演習をしている。
・今年の2月に実施された資格試験の結果が6月に発表され、シキホール全体で17名が合格したとのことである。昨年の約3倍に増えて、先生は嬉しそうに話していた。今回のラーニング・センターが出来る前に学んだ生徒なので、あまり関係ないとも言えるが、以前から、問題集を渡しておいたり、ノートや筆記用具も寄付したりはしていたので、それなりには支援したと言えなくもない。
今年沢山合格したので、来年さらに合格者を増やすのは難しいのかもしれないが、日本の高校や予備校のように、合格者の数で競うようなことは、ここでは不要であろう。
あまり簡単に受かるような試験になっては、4年間まじめにハイスクールに通っていた生徒が、面白くないかもしれず、実施者は さじ加減が難しいのだろうと想像される。
・フィリピンでは、学習参考書や問題集が、ほとんど見当たらない。
先日、中国で 大きな書店に入ったところ、学習参考書売り場も 巨大な面積を占めていて、本の種類は別にして、面積では、日本もはるか及ばない状況だった。フィリピンはこの逆で、特に問題集については、ほんの少ししか見当たらない。それでも、マニラのグロリエッタというショッピングモールの中の書店が大きいというので、昨年の10月 そこへ行って、並んでいた問題集を一通り購入した。余談だが、たまたま、爆発騒ぎのあった前日で、事無きを得た。そのうちの1冊を、前回の受験生に使ってもらうべく先生に貸しておいたが、それなりに役に立ったようである。
問題集や参考書を持っていないのは、素手か竹槍で戦えと言っているようなもので、できるだけ充実させたい。
これまで、私の方で、お勉強用のソフトウェアを いろいろ揃えていて、特に、Spelling Made Easyというソフトウェアは、かなりうまく出来ていて、これも教材に加えてもらう予定である。
他にも、いろいろパソコンを有効利用できるはずである。


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