2014年 6月作成
最近のラーニング・センター 概要
・今回もレポートの間隔が随分開いて1年余り経ってしまったが、ラーニング・センターを開設して約6年が経過した。この手の取り組みは3年もすれば、ほとんど消滅すると、現地在住の日本人から言われたこともあるが、なんとか しぶとく続いている。そう言っても、残念ながら活動は低調で、てこ入れが必要な状態になっていて、その一つとして 日本から講師を招き、アクセサリー教室を開いてもらった。結果は好評で、新たな可能性を示せたと思う。
・高校卒業資格試験の2013年の結果が発表され、114名が合格した。前回と比べ合格者、合格率とも減少したが、試験の結果なので 経済指標のように増減するのは仕方ないことだろう。次回の結果を期待したい。
実施時期 2013年10月 2012年11月 2011年11月 2010年10月 2009年10月 2008年10月 2008年6月 合格者数 114名 156名 112名 126名 150名 142名 17名 合格率 35% 60% 43% 62% 42% 57% 17% 2013年の試験は、前年、前々年の試験が10月に実施される予定のところ 11月に延期になったことに反して、予定通り10月に実施された。そのため、帰国の時期と日程がずれたので、試験の様子を写真に収めることができたので、後ほど写真を紹介する。
・モバイル教室の試作を続けてきたが、分解すれば 軽トラで簡単に運べるという条件から、現状の通りで形を決めて、数を増やして、各地に設置を始めている。各コースの状況
アクセサリー教室
ラーニングセンターの取り組みが低調になっているので、てこ入れに日本から、知り合いの高川さんに講師に来ていただいて、アクセサリー(小物)教室を開催してもらった。他にも合計10名余りの日本人に指導、補助、見学に来て頂いた。現地の受講者にも好評で、楽しく学べるので上達も早く、良い結果を残せた。この後、飯の種に結びつけるためどう進めるかというのがいつもの課題であるが、日本で売る場合、フィリピンで売る場合の両面で検討していきたい。ただし、主体は現地の人々だと思っているので、自ら積極的に取り組む人が出てこないと難しく、そこが一つの課題である。
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教室の様子
2014年2月に短期集中講座で、合計6回実施講師によるサンプル パソコン
・タイピングの練習から始め、オフィスソフトの使い方を学ぶ初級のコースを繰り返してきたが、その後、仕事に直結する形で、パソコンをツールとして駆使し、モンキービジネスのフィージビリティ・スタディーに取り組んでもらっている。良さそうなプランが出来上がれば、実際に 誰かに少し投資してもらって、一緒にビジネスを進めるという構想も以前からあり、インターネット・ボランティア・投資ゲームと名付けているが、実際にモンキービジネスを始めるところまでには到っていない。
・フィージビリティ・スタディーの後、モンキービジネスのビジネスプランを作るコースの2回目を立ち上げが遅れているが、なんとか2014年中に実施したい。溶接
・人気が高いコースで、これまで順調に実習が続けられてきたが、材料が高く費用負担の問題と、初歩的なマネージメントの問題が重なり、2014年は、授業が止まっている。先生と打ち合わせをして、問題を解決し、早急に再開する予定である。
ちょっと振り返ってみると、台風の被災地に行ったり、別のことに時間を取られ、最近は、この対策にほとんど時間をかけて来なかったのが災いしているとも言える。
溶接実習の様子
実習で作った蟻対策の皿台
足の部分の小さな容器に水を入れる。ミシン
・近所のハイスクールの家庭科の先生に教えに来てもらっていたが、ハイスクールの校長が、講師の派遣に難色を示すようになったので、関係改善を狙って、ミシンを二度寄付した。しかし問題は解決していない。そもそも、ミシン教室の先生はハイスクールで教えるのが本来の仕事である。ラーニングセンターも同じDepED(文科省)の先生が関わっていると言っても、ラーニングセンターで教えるのは、所定以外の仕事をすることになり無理があるとも言える。そこで、一つの対策として、今回は、日本から教えにきてもらい、アクセサリー教室を開催した。上で取り上げた通りである。
近所のハイスクールへのミシンの寄付
2013年実施ついでに、隣の小学校にもミシンを寄付した。先生対策に関係ないとも言えるが、別にいろいろと理由があった。
自動車整備
・座学中心で授業が進められてきたが、現在は休講になっている。
料理
・材料費の問題が解決できないこともあり、休講が続いている。
その他
・台風の被災地の支援で、倒れた木をチェーンソーを使って、無料で切って、住宅の再建に役立ててもらおうという取り組みを別途行おうとしていたが、オペレーターを雇うことができないので実施できていない。そこで、ラーニングセンターでチェーンソー教室を開催し、オペレーターを育成して、一緒に被災地に乗り込むことができないか検討中である。材木を切る代金は非常に高く、教室を修了後、自分でオペレーターの仕事を始めれば、十分な収益を挙げられる可能性が高い。自分のチェーンソーを買えるまでは、チェーンソーを貸し出すような支援が必要になりそうだ。
・ラーニングセンターを共同で運営しているDepEDの先生の一人から、家具作りの教室を開いてはどうかという提案が出ているので、新しく始められないか検討中である。しかしながら、DepEDの中で 関係している先生のグループ全体では、最近は、残念ながらラーニングセンターでの取り組みに消極的になって、簡単には先生を割り当てて もらえそうにない。そこで、まずは、チェーンソー教室を始められれば、家具作りで必要な材木も簡単に調達できるようになり、その後、家具作り教室を立ち上げるという手順が良さそうだ。材料を無料で提供し、できた家具を自宅に持ち帰っても良いことにすれば、先生の方も、個人的には より教えたいと思うようになりそうだ。チェーンソー教室の方は、DepED側で、講師をできる人はいないので、自前で探す必要がある。ハイスクール卒業資格試験の様子
通常 毎年一度実施され、2013年の試験は10月で、ちょうど現地に居たので様子伺いに行ってみた。会場は近所のハイスクールを中心に行われていたが、300名程度の受験者に対して、教室が足りず、隣接する幼稚園や、同じくすぐ近くにあるバランガイ・ホール横の屋根付きの広場も利用された。
地域ごとに別の部屋が割り当てられている。これは、フィリピンでよく見かけるように、トラックの荷台にまとめて受験者を乗せてやってくる場合に、途中でパンクなどすれば、到着が遅れる可能性があり、その対応が必要になる。実際、今回もトラック1台の到着が遅れ、その地域の受験者だけ 30分遅れで試験を実施したそうだ。
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例年会場となっているTambisan
National High School試験の様子 試験の様子@バランガイホール ハイスクール卒業資格試験合格者の式典
2013年の試験での合格者の卒業式典が例年同様行われた。今年は、5月にSan Juanのホールで実施された。
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式典(卒業式)の様子 モバイル教室
下の写真のRev.Bとよんでいる形のものを、複数作って、試しに数箇所に設置を始めた。それぞれ30分程度で分解・組み立てができ、軽トラの荷台に載せて、どこでも簡単に持っていくことができる。その場所での授業が終わった場合と、有効に使われていないことが判明した場合に、さっさと別の場所に移動させる。
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Rev.Bの2つ目(2012/10) 使用前 使用後 2013/10 @Pasiagon
@Banban 2014/5 @Calalinan 2014/5 関係者の日本への招待
・ラーニングセンターの取り組みの活発化のてこ入れの意味も含め、関係者を日本に招待することになった。共同でラーニングセンターの取り組みを進めている小浜市のNPO ティームスの方で、受け入れ・招待してもらう予定で、先生1名と、ハイスクール卒業資格試験の成績優秀者2名を招待することになっている。
・以前に近所の人を福岡県が実施する研修に送り出したことがあったが、その時は、パスポートとビザの取得で非常に苦労した。研修に行く人の出生届けが後出し(Delayed registration)だったのが元凶で、今回は、その点は大丈夫なはずで、簡単に済ませると期待したい。しかし、パスポートの申請に最低でも一度セブに行く必要があるし、ビザの申請時に面接がある可能性もあり、何度もセブまで出かけるとなると結構大変だ。
・お金のない人たちを送り出すので、移動の途中で金欠で止まってしまわないかという不安がある。いろいろな場合に備えて、十分なお金を渡しておくと、フィリピン的な話で、大船に乗ったつもりになって、どんどん使い込むのではないかという不安が出てくる。結局、少なくとも往路は同行・引率するか、国際線で出発する手前までは一緒に行かないと不安と言えそうだ。
作業項目と進捗
前回の報告で挙げた作業進捗のリストを更新し、新たに始めた項目を追加した。
項目 進捗 説明 溶接教室の再開 検討中 先生と打ち合わせして、溶接の授業を再開できるよう調整する。必要な材料は調達し、溶接の実習を継続できるようにする パソコン教室の再開 検討中 フィージビリティスタディとビジネスプランのサンプルを先生に作成してもらった後、授業を始める予定。 チェーンソー教室の立ち上げ 検討中 チェーンソーオペレーターを講師に雇い、メンテナンスを含めた授業の内容を検討し、材料の原木を調達し、授業を始める 図書の調達 未実施 私の方でも、結構な数のペーパーバックを持っているので、それも加えて、ラーニングセンターにmini libraryを作る。 建物機材のセキュリティー対策 継続中 シキホール全体で盗難が多発していて、盗難対策を強化している。鍵の二重化や監視カメラ(贋、本物)設置等実施済み。 建物のメンテナンス 継続中 ペンキ塗り、雨どい、雨水貯水タンク等の壊れた部分の修理 トイレの建設 バランガイで実施 バランガイホールで建設中の公衆トイレを使わせてもらう予定だが、予算がなく作業は止まっている。支援案もあるが、未実施。現在は、隣にあるヘルスセンターのトイレを借りている。 モバイル教室 試作・メンテ継続中 製作数量を増やして、各地に設置中。 自動車整備実習車の修理 検討中 修理部品の調査中。 車庫の屋根の取り付け 未実施 ビニールシートを使う予定だったが、金属に変更を検討中。 課題のリスト作成と対策 継続中 一部ドキュメントをまとめてもらっているが、対策も含め継続実施中。