ぼったくり不動産業者

2006年11月作成
2010年8月更新


(→2010年8月更新分へ)

最近、オーストラリア人が買った近所の土地

日本なら 不動産売買の手数料は、小額でなければ3%と法律で決まっていて、手数料をぼったくられるような話は聞かない。しかし、フィリピンでは、特に田舎に行けば、エージェントと呼ばれ、大抵は無許可の不動産業者がいて、現地の事情に疎い外国人をカモにして、荒稼ぎしている場合が多い。

以前、ボホール島で日本人の知り合いが土地を探すのに、結構長い間付き合ったことがあったが、例えば、以下のような感じであった。

その人は、地元の業者に土地探しを依頼した。その業者が紹介する土地を見に行き、希望する条件を満たしていないことが分かると、その業者は、知り合いの業者に連絡し、一緒に別の土地を見に行くことになる。希望の条件を満たす土地をリストアップしてあるわけではなくて、急に連絡して見て回っているだけなので、所望の土地にめぐりあう可能性は低く、結局、いろいろ土地を見て回ることになる。そこで気になるのは、別の土地を紹介する業者に順次 声をかけるので、ぞろぞろ業者がついて来て、最後は、ちょっと大げさだが、大名行列とでも言いたくなるような異常な状況になってしまったことだ。売買が決まれば、居合わせた業者みんなで儲けを山分けするので、少しでも、話に絡んでおこうと、いいお客さんである日本人がいれば、業者は誰も途中で帰ろうとしないのである。

少しの手数料を多くの業者で分けていては儲からず、この状況から、手数料が高いのは容易に想像がつく。

その日本人は、主に相手にしていた業者がウソばかりつくので、別の業者に依頼し、最終的に、うまく土地を入手し、めでたし、めでたしとなったのだが、土地の入手方法に関しては、私とは意見の相違があり、今も平行線のままである。

私が、多くの不動産エージェントを疑いの目で見ている中、近所で ぼったくり事件が発生した。

私の家から100mほどしか離れていない海沿いの土地を、最近オーストラリア人が買った(冒頭の写真の土地)。近所の人の噂では、もともと、地主が30万ペソで売ろうとしていたものを、私の家の近くに掘っ立て小屋を建てて住んでいる網元が、15万ペソ、50%の手数料を取って、オーストラリア人に仲介したということであった。この網元は、以前私のところのコテージに泊まっていった韓国人がベランダに忘れていった競泳用のゴーグルを、掘っ立て小屋に持ち帰り、そのまま着服しようとしたことがあり、非常に怪しい。その韓国人から電話で 「ゴーグルを忘れたので探して欲しい。」と依頼を受けた隣家の女の子が見つけて、取り戻してきた。他にも、バランガイ・ホールに保管してあったセメントを数十袋盗んで、警察に訴えられたこともあるし、私のホースを勝手に持って行って使ったこともあり、とにかく怪しい。

別の用事があって、このオーストラリア人の妻の従兄弟で、この土地の管理をしている人物と話す機会があった。彼が言うには、このオーストラリア人は60万ペソ以上支払ったが、そのうち地主は25万ペソを受け取り、残りは、複数のエージェントが山分けしたということであった。とんでもないボッタクリである。

12月に、このオーストラリア人は 現地にやってくるそうなので、これから どういう進展があるか楽しみだ。


以前から繰り返し言っていることだが、このように、勘違いして払い過ぎる外国人が出てくると、土地の値段は、いくらでも吊り上ってしまう。現地の貧しい人々が買えるような値段ではなくなり、いい迷惑である。 
近所の米国人は、7、8年前、1平米あたり10ペソ程度の値段で土地を買った。 一方、私は適度の間隔で、訪問者用のコテージを複数建てられないかと思い、近所の土地を少しずつリースしようと、人に頼んで土地を探してもらったところ、このオーストラリア人が買った土地の隣の土地の地主は、自分のところは、1平米1000ペソで売りたいと言い出した。米国人の土地の方が、立地が良いが、10年で、土地の値段が2桁も上がるとは、到底考えられない。

シキホール島では、業者の悪い噂が絶えないが、一般には、地主も含めて、外国人と見るや、土地の値段を何倍にも吊り上げようとする土地の外国人価格が課題であろう。

時間をかけ、沢山友達をつくり、十分情報を得て、適正価格で土地を入手したい。

因みに私がお奨めしたいやり方は以下の通りである。

エージェントは、地主に依頼されて、高く土地を買ってくれる人を探す人のことで、地主の側の人間である。土地が高く売れた方がエージェントも儲かるし、そうでなくても、高率の手数料を取ろうとする。
こういう状況なので、エージェントが付いている土地は、最初から相手にしない。
一方、外国人が直接顔を出して土地を探し出すと、これも ぼられるもととなる。そこで、土地の取引を生業にしていない普通の人を、日当を払ってネゴシエーターとして雇い、直接地主を回って、所望の条件にあう土地を探してもらう。エージェントが荒稼ぎしているのを見て、ネゴシエーターが寝返り、裏でリベートを取る可能性もあり、それにも目を光らせておく必要がある。

こういうことを考えるのは、少し悲しい気もするが、フィリピンに限らず、観光地化が進み、外国人が沢山やってくると、乗り物などでぼられたりするのと同じく、特に東南アジアを中心にして、世界中で起こり得ることである。

ゲーム感覚でうまく対処したいものだ。

土地を探す前は、現地で アパートや下宿屋に住んで、現地の事情に十分精通するようにしたい。また沢山友達を作り、多くの情報源を持つようにしたい。

これまで多くの日本人が失敗してきたように、自分は日本にいて、現地人の知り合いを頼って、そちらにお金を送って、土地を見つけてもらい、家を建ててもらうという方法は絶対に避けたい。大金を使い込まれたという話が余りにも多いからである。普通の人まで悪人に育て上げるか、テロリストのような悪者に、大金を握らせ、治安を悪化させることになる可能性が少なくない。

一方、相手の足元を見て買い叩くことが無いようにしたいものである。単なるマネーゲームで土地を売買することもあろうが、土地を手放す理由として、子供が大学に行くための学費や、家族が病気になって その医療費のためであることが少なくない。同情をかって土地を買ってもらおうという単なる作り話のこともあるが、そのようなウソは調べればすくに分かる。授業料を払えないと子供は学業を続けられないので、値引き交渉をし易いが、自分の土地を売ってまで、子供を学校に行かせようというのは、かなり良い親と言えよう。医療費の場合も同様だ。そういう人の足元を見て、土地を買い叩こうとするのは賛成できない。


読んでいて、頭の痛くなるようなことを書いているかもしれないが、騙され、ぼったくられるパターンさえ外せば、とてもお手頃な費用で、土地や家を手に入れることが可能だ。 日本人が 予習することなくいきなり、広大な土地を買って、豪邸を建て出すから、失敗する事例が多いのであって、先人の失敗事例、成功事例からほんの少し学んでおけば、十分なのである。


最後に補足しておくと、都市部を中心にして、日本人で不動産業に携わっている人も少なくないはずだ。住んでいる場所の関係から 私は ほとんど係わりはないが、そういう方は良心的なビジネスをされているものと期待したい。
一つ言えることは、日本人がフィリピンにやってきて、自分では言葉も分からず、直接現地の人を相手にすることができないので、日本人の業者に依頼し、実際に日本人に動いてもらうのなら、高くついて当然だということである。先達である日本人の業者は、習慣の異なる異国で、苦労して 言葉を習得し、ノウハウを獲得し、多大な時間をかけて準備をしてからビジネスを始めたわけで、自分では何も出来ない日本人は、日本人の業者を 手数料の高いコンサルタントと見て、しかるべきであろう。
高くつくのが嫌なら、自分で直接現地の人を相手にできるようお勉強してくださいと言うことだ。


(2010年8月更新分)

シキホール島で土地を探している日本人から、私の方でも いろいろ質問を受けることが増えたので、少し補足するため、更新しておく。 と言っても、以前に書いた内容を変更するということではなくて、新たな状況の追加説明と、おさらいのため まとめ直しただけである。

外国人不動産業者

前回に比べ変わったのは、外国人の不動産業者も島内に複数現れたことだ。 私に言わせれば、外国人がぼったくられた、その連鎖の結果、地主がやたらと高い値段をつけていて、売れない、買わない土地だらけになりつつあるが、この状況に、外国人業者が火に油を注いているということになる。一方、不動産業者に言わせれば、今後も値上がりが期待でき、投資の好機ということになる。しかしながら、不動産会社のHPを見ても、外国人が土地を買えないという話だけでなく、いろいろな問題点を何も取り上げていないのは、フィリピンの田舎の現状を見る限りにおいては、公正なビジネスをしているとは思いがたい。
外国人の不動産業者の場合、流石にここで取り上げたように、何倍にも吹っかけることはないと期待したい。そう言いながら、少し前に日本の新聞で読んだが、セブで日本人が日本人に土地を斡旋し、元の10倍以上の価格で売ろうとした話が出ていた。新聞は詐欺として紹介していたが、斡旋した日本人は、「10倍に吹っかけるのはフィリピンは当たり前」とウソぶいていた。お金を払ったのに土地が得られなかったため詐欺ということになっていたが、値段も含めとんでもない話である。フィリピンでは、疑うところから始めるべきというのがここでも通用する。

日本人が日本人を騙すというのは、昔からフィリピン全土で聞かれるごくありふれた状況で、このセブの事例以外にも、インターネットで検索すれば沢山見つかるはずである。私の知っている範囲でも、他にも沢山事例がある。詐欺ではないが、後からきた日本人に、日本の感覚でお金を使ってもらって儲けるというのは、フィリピンでビジネスをする日本人の基本中の基本のビジネスモデルと言える。もちろん、先に書いたように、日本人が主体的に働いて日本人に対して対応してくれているのであれば、それ相当の人件費を払ってもらって当然であろう。しかし、日本人が日本人を騙すという場合には、そのレベルをはるかに超えている。

シキホールの外国人不動産業者の話に戻ると、彼らのリストは、私に言わせれば目の玉が飛び出るような高い物件のオンパレードである。そんなに高い物件を扱っているから、外国のように、低い割合の手数料でもやっていけるはずと言えそうだ。逆にボッタクリで高額の手数料をふっかけた結果高くなったと見たくもなるが、インターネットで価格を公開しているので、それだと地主にバレてしまう。
いずれにせよ、外国人が現地で不動産業を始めるということは、当然外国並みの収入を目指すので、扱う土地が外国に比べて格段に安くては儲からない。薄利多売のビジネスモデルはどうかというと、特にフィリピンの田舎では、別途いろいろ書いているように、土地にさまざまな課題がある可能性が高く、土地が手離れの良い商品とはとても言えない。多売は大変であろう。

実際に現在できている外国人業者の場合、扱う土地は高いし、リストに上がっている数は多くない。
外国人不動産業者が火に油でない場合というのは想像しにくい。

Lot for saleの看板

これも以前に取り上げたが、Lot for saleの看板を頼りに土地を探しても、大抵は高い値段の土地にしか行き着かない。綺麗な看板は外国人業者が取り扱っているという目印であり、通常は、さらに値段が高いと言える。Lot for saleの看板の意味は、「オーナーの私はこの土地を、出来るだけ高い値段であなたに売りたい。」というしるしと考えた方がよい。もちろんそうでない場合もあろうが、そうとらえて、注意しておくに越したことは無い。

フィリピン人の隠密

前回はネゴシエーターと書いたが、ここでは分かりやすく隠密と書いておくが、隠密を雇うメリットが二つある。
どちらも既に説明していることだが、おさらいしておくと、一つは、日本人や外国人が直接土地を探しに回っても、ふっかけられる可能性が非常に高いからだ。間にフィリピン人の隠密に入ってもらい、吹っかけられていない値段を聞きだすのが得策である。
もう一つは、不動産業者が中立の立場でないということである。最近やたらとバイクで回っているのを見かけるが、フィリピン人のエージェントは、基本的に地主側の代理人で、地主に代わってできるだけ高い値段で土地を売ろうとする人だと考えた方が良い。また、外国人の業者を見れば、やたらと高い土地を扱いたがるというのは上の説明の通りだが、売り地のリストを見るだけでも 一目瞭然だ。このため、土地を調達する側の立場で動いてくれる人が是非居た方がよい。自分で探し出すと、外国人でふっかけられるという可能性が出てくるのでフィリピン人の隠密ということになる。
私も、HPでお手ごろ価格の土地の事例を紹介するため、近所の知り合いに頼んで土地を探してもらっていたが、エージェントが間に入っている土地は、最初から除外した。
ただし、雇ったフィリピン人になかなかこちらの希望が伝わらず、所望の土地になかなか至りつかない可能性があるので、時間がある人は、自分で良さそうな場所を物色してから、隠密に聞きに行かせるという方法も考えられる。


土地がずっとお手ごろ価格のままであって欲しいという願いから、10年前からいろいろ書いているが、外国人も増え、残念ながらシキホール島では火に油の状態になりつつある。
それでも 例えば私の場合、借金を頼まれたが、通常は断るところ、土地のリースにしたことがある。どうせ貸した金は返らないという前提で、リース代として払って、返さなくてよいようにした。万一の時にコテージを建てられるように、450平米の土地を25年リースし、元々貸せと言われた1万5千ペソをリース代として支払った。
別途紹介している、最近日本人が家を建てた場合には、知り合いから土地を無料で提供してもらった。ただより高いものはないということになる可能性があるので、私は家を建てる前に、リース契約を結び、少しでも代金を払った方が良いと思ったが、すぐに家を建てだしたので、そういう話にはならなかった。土地のオーナーである知り合いが非常に良い人なので、とんでもないことにはならないと期待しているが、契約がないと、土地の権利がないので、建築許可を得るにも自分の名前で出せないという話もある。
いずれにせよ、安く上げるために、参考になる事例であろう。もちろん転売しようとしている人には、これでは駄目である。
そのような人は、土地も家も値段がつりあがり転売益を得たい人で、地上げに加担する人たちであろう。そんな連中は こちらのHPへのアクセスはお断りである。


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