近所の分まで電気を引く

費用・作業の詳細

2003年4月作成   
2018年9月最終更新


費用

 合計 約 7.0万ペソ (2003年4月)

 (ただし、家の中の電気工事や蛍光灯などの部材の費用は含んでいない)

  2018年9月時点での概算 約24万ペソ

電線

メインの資材は電線。電力会社の指示により、No.2と呼ばれる電線で、1本は被覆ありの銅線。もう一本は被覆無しのアルミ線を使用した。
セブとドゥマゲッティの電気資材屋に問い合わせ値段を比較。セブの最も安い店で購入した。 銅線は1m当り43ペソ。アルミ線は16.2ペソ。600mを購入し全部で、35,520ペソ。さらに運賃約300ペソを払い、船で送ってもらいシキホール島の港で受け取った。
ドゥマゲッティだと合計で8000ペソほど高かった。シキホール島では、取り扱っているところは無い。

2018年9月 No.2 銅線1m当り 約250ペソ(統計データでは約3.2倍) x 600m = 約15万ペソ
No.2 アルミ 約40ペソ (統計データでは約1.3倍) = 約24000ペソ

電柱

GIパイプと呼ばれるメッキされたパイプを使用。太さは電力会社の指示により3インチのものを使った。長さは標準で6m。パイプをセブから持ってくるのは大変なので、ドゥマゲッティとシキホール島で値段を調べた。そして、最も値段の安いドゥマゲッティの卸業者から購入。1本1300ペソ。約30mごとに電柱を設置するので、16本購入し全部で20800ペソ。これらの運搬代に660ペソ。電線は少し余った。

2018年9月 電柱 1本 約2500ペソ x 16本 = 約4万ペソ
        運送代 約1500ペソ

その他

セカンダリ・ロックと呼ばれる電線を取り付ける金具とガイシのセットを17セット購入。1セット185ペソで合計3145ペソ。
セメント 9袋 120ペソ x 9 =1080ペソ
砂 32袋  8ペソ x 32 = 256ペソ
水 80ペソ
針金 10kg 35ペソ x 10 = 350ペソ
100Aのブレーカー 650ペソ

2018年9月 

金具とガイシ 約 350ペソ x 17 = 約 5950ペソ
セメント 9袋 250ペソ x 9 =約2250ペソ
砂 32袋  = 約1000ペソ
針金 10kg 60ペソ x 10 = 約600ペソ
100Aのブレーカー 約800ペソ

人件費

電柱へのセカンダリ・ロックと踏み台など取り付けの金属加工に、電柱1本当り180ペソ。合計2880ペソ。
電柱、電線の設置工事に、約22人日 4400ペソ。

2018年9月 
電柱金具取付費用 約3500ペソ 
(最近は、溶接教室を開いているので、そこでほぼ無料で取り付けることも可能。)
電柱、電線の設置工事 約22人日 約6600ペソ。


作業項目と経過

業者へ依頼

バランガイ・エレクトリシャンと呼ばれる村の電気工事士に任せておけば、すべて済むつもりであった。しかし、実際には彼は太い電線を扱う経験が無かったので、私の方で作業の手順等、細かい面まで首を突っ込む羽目になった。丸投げするためには、経験のある人物を探してくる必要がある。

電力会社との打ち合わせ

 〜 何軒、接続可能か? 〜

近所と電線を共用することに関して、電力会社のエンジニアと何度か技術的な打ち合わせを行った。電線がNo.2、電柱が3インチということ以外に、最も大きな条件は、何軒の家が接続可能かということである。No.2の電線の仕様は100Aまでとなっていて、消費する電流の合計が100Aを超えては困る。そこで、電線の接続部分に100Aのブレーカーを入れた。これで、100Aを越えることはなく安全だと主張した。しかし、各家庭につけるブレーカーは、入手できる最低の定格のものが15Aであり、そちらの制限から、6、7軒が限度だと反論された。

そこで、各地を探し回り、10Aで遮断されるブレーカーを見つけてきた。これにより、10軒までは接続できる。さらに値段は高いが、5Aとか6Aのものも見つかった。

地主の許可を得る

電柱を建て、電線を張る土地の地主へ、敷設の許可を得る必要がある。関連するほとんどの仕事をバランガイ・エレクトリシャン(村の電気屋)に頼んでいるので、地主の許可を得るのも、彼にまず、話に行ってもらい、それから二人で、再度確認に行った。
ただし 不在地主もいるし、また、以前から紹介しているように、相続の手続きが放ったらかしで、地主が1000人ほど いそうな土地もある。そのため、完璧に これを済ませることは難しく、出来る範囲で行った。

もしも、後から地主がクレームとつけてくることがあった場合には、その地主がそこに家を建てる時に、こちらの電線へ接続しても良いという条件で交渉することにした。
そういう意味合いもあって、小電流のブレーカーを探すなどして、接続可能な家の数を増やす必要があった。

また、道路沿いに、電柱を立てれば、地主に話をつける必要はないのだが、大抵は遠周りになり、現実的でないことが多い。

資材調達

費用の項で紹介したように、電線と電柱が大きな買い物であり、安い値段を探すのにかなりの時間と労力を費やした。日本のように電話1本で済ませることができず、セブへも何回か出掛け、その費用を加えると、実際の出費はさらに膨らむ。

電柱の加工

電柱には、

  ・一番上のカバー
  ・電線を取り付けるための金具
  ・上に登って電線を張ったり、メンテの作業を行ったりするための梯子
  ・地面に埋め込みセメントで固めるための補強の金属

以上を取り付ける必要があり、近くの溶接工に作業を頼んだ。他と比べ異常に高く、ボッタクリにあったのだが、他の溶接工を探している暇がなく、そのまま頼んでしまった。

工事

工事は専門家であるにバランガイ・エレクトリシャン丸投げしようと思っていたが、彼には、今回のような太い電線を架設した経験がなくて、結局、一緒になって試行錯誤することが多かった。

まず、距離を測って、電柱を立てる位置を決め、合計16箇所 穴を掘った。
次に、電柱を運び、針金をステーとし、セメントで地面を固め、電柱を立てた。
一晩置いて ほぼセメントが固まったから、順次電線を架設した。特に銅線は重量があり、150mのロールになっていたが、それでも1ロールで40kg程度。これを、適度な張りに架設するのは、それほど容易ではなかった。実際には、少しムラができてしまったが、安全上 問題ない範囲なので そのままにした。

不愉快な出来事

無事工事が済むまでには、例によって、不愉快なことが次々と起こった。

・雲助ポーター
・ぼったくりバランガイ・エレクトリシャン
・ぼったくり溶接工
・地主のクレーム

詳しく説明した方が参考になるだろうが、対策を考え中のこともあり、今回は、項目だけにしておく。


不愉快なことは、フィリピンでは必ずと言ってよいほど起こるが、近所の人は電気が来るのをとても喜んでいて、全体としては、このプロジェクトは、合格点と言いたい。

パソコンの使い方を子供に教えたり、パソコンを活用していろいろなプロジェクトを試そうとしているところである。これまでは、住んでいた下宿屋でしか電気を使えなかったが、今後は、建築している家の方でも、電気が来てパソコンが使えるようになり、これを プロジェクトの加速に役立てたいものである。