くぎ一本の値段

2008年 6月作成


既に幾つかの建築事例を公開し、その中でくぎの値段についてもリストに載せてある。しかし、〜 くぎ1本の値段まで公開します。〜と 家の建て方を紹介しているところで サブタイトルに使っていながら、そこまでは できていなかった。宿題が延び延びになっていたわけだが、不渡りになってしまうのは良くないので、今回は、kg単位で買ってきたくぎの本数を実際に数え、割り算して1本当たりの値段を算出した。数えた結果、3インチが1kg 114本。 4インチで4kg 252本。それぞれ、1kg当たり、51ペソ、50ペソだったので、以下の通りとなる。

       3インチ: 約0.45ペソ/本
       4インチ: 約0.81ペソ/本

日本と比べてどうかという話は、インターネットで検索したところ、同じような釘の値段はみつかり、3倍程度の値段であるが、日本の方はメッキがしてあり、品質も良さそうなので、簡単に比較ができない。

釘の値段は、7年前のデータに比べ 2.5倍ほど値上がりしていて、こちらが頭の痛いところであるが、基本的には、値上がり傾向であろう。セメントは、需給関係により、一時かなり値下がりした嬉しい時期があったが、金属関連は、値下がりを期待するのは難しそうだ。

それでも、最近の価格高騰はかなり異常と言える。2008年2月末、鉄筋コンクリートの柱のために買った直径10mm長さ6mの鉄筋は、1本150ペソであった。数年前の約倍になっていて、とんでもなく高いと思っていた。ところが、今度は、6月始め、ハワイの安アパートなどでもよく使われ こちらではジェロシーと呼ばれるこの窓に、横方向に鉄筋を入れて、盗難を防止しようとしたのだが、同じ鉄筋が1本223ペソとなっていた。別の店では250ペソと言われてしまった。ここまで急激に値上がりすると、世界の需要がどうこう言うより、米国の住宅バブルの崩壊で逃げ出した投機マネーが、原油だけでなく、鉄にも向かって、買占めに走っているのではないかと疑わざるを得ない。

鉄の値段の変動があまりに激しいので、釘の値段が大幅に動けば、また更新したい。

これに対して、窓の方は、材料はガラスに加え、金属部分はアルミだが、4、5年前と比べ、それほど値上がりしてはいない。

さて、一般的にシキホール島での建材の価格の動向を見た場合に、三つの要素がある。まずは、店によるバラツキが少なくないことだ。店により2割程度の違いがあることもある。残りの二つは、時間軸上の話で、これについては、以前にも取り上げた。工業製品はシキホール島では 一般に、マニラやセブ、さらにドゥマゲッティに比べても割高で、くぎ、ペンキ、ベニヤ板などの建材も同様である。輸送のコストが加算されるからである。最近は原油価格高騰で、その傾向が強い。しかしながら、もう一つ反対の要因がある。シキホール島は田舎なので、以前に仕入れておいた品物が、かなり長く在庫として置かれていて、それを、そのまま、以前の価格で売っていることが少なくない。すると、都市部と比べ、かえって安いという場合がある。
それでも工場で製造される建材は、通常は都市部の方がかなり安い。田舎では、場所によって、材木、砂、砂利などをかなり安く調達できるだろうが、建材全般では、都市部の方が安くなる場合が多い。田舎で安いのは、土地と人件費であろう。
ただし、土地の方は、外国人がオーナーのビーチリゾートが近くにあったりすると、値段がつり上がっていることが多い。ビーチリゾートができ、道が良くなったりして インフラが整備され 土地の価値が上がったというのではない。売り手の方は、ビーチリゾートのオーナーが勘違いして買った高い値段と同じかそれ以上の値段で土地を売りたいからだ。しかし、状況を理解していないよそ者の外国人以外は、誰もそんな高い値段では買わない。凍りついた状態になる。近所の貧しい人たちにとっては、土地の値段がつり上がったので、自分の土地を購入するというのは夢の夢になってしまう。迷惑な話だ。 同じことを何度も書いているが、同じ状況が今も繰り返されているので また書いた。


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