海岸線は誰のもの?

2002年7月


シキホール島の海岸


外国人がフィリピンの田舎に土地を購入したり、リースまたはレンタルする場合、海沿い(ビーチロット)を好むことが多い。眺めが良い、そして、涼風が吹くので熱帯のフィリピンでも過ごし易いなどの利点があるからだ。

ところが、課題もいくつかあり、その一つが、SALVAGE ZONEと呼ばれる領域の取り扱いに関するものだ。満潮時の海岸線から陸へ20mのところまでは、SALVAGE ZONE呼ばれていて、例えば、政府が道路や防波堤等を造る時には、地主は政府に土地を明け渡さないといけない。これは私の住んでいるシキホールの市役所の職員、および DENRと呼ばれる自然環境保護関連の役所の職員、それぞれから聞いた説明で、二人とも同じことを言っていた。

隣のサン・ファン(San Juan)と呼ばれるところで、ドイツ人の知人が家を建てようとしたところ、市の担当職員から、SALVAGE ZONEには、家を建てないように指導された。また、既に土地の境界上に、海岸線までブロック塀をつくっていたが、取り壊すように言い渡された。

インターネットで検索してみると、イロコス(Ilocos)のある市では、条例で SALVAGE ZONEに家を建てることを禁止している

私の場合には、SALVAGE ZONE内にコテージを建てたところ、シキホールの市役所から職員が現れ、建築許可を取るよう指示された。「家を建てるな」 とは言われていない。

以上のように、場所によって 対応が異なる。
実際には、フィリピン全国で、SALVAGE ZONE内に家が建っているのを見かける。従って 条例で家の建築を禁止しているようなところを除き、現実的には問題は起こらないだろう。ただ、建築許可が得られるかどうかは、役所で確認した方が良い。

余談かもしれないが、建築許可について補足しておく。私が家を建てている村では、ほとんど、または、すべての家で建築許可など得ていない。そして、他の大きな家の5%ほどの大きさしかない私のコテージに対しては、建築許可を得るよう市役所から通達があった。市役所に行ったところ、通達を持ってきた職員が土日に働き、申請用の図面を作ることに決まった。外国人で、お金を持っていると見なされた私は、彼の良い顧客となったわけだ。さらに、図面ごとに、エンジニアのサインが必要で、そのサインもほとんど、市役所に勤める職員で事足りる。こちらでは、サイン1回で500ペソが相場だ。数秒働いて500ペソ。正規の仕事の方は、一月働いてもそれの10倍ほど。サインはとても良い収入源だ。  都合により、この話は、これぐらいにしておく。

海岸では、波を被ったりする可能性もあり、できれば、海岸線から少し離れたところに家を建てた方が安全だろう。また 海伝いに人が歩けないように塀をつくったりするのは、周囲から嫌われるもとだ。特に、もともと漁師が船を泊めていた海岸沿いの土地を購入し、周囲に塀をつくり 漁師が入れないようにしたりすると、後々、漁師との間で とても厄介なことになるだろう。


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