2002年9月作成
2010年最終更新
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フィリピンで田舎暮らしを始めようとすると、水道が来ておらず水で苦労することが多い。また、外国人が好む海沿いでは、井戸を掘っても海水になる可能性が高い。さらに、離れ小島にでも住みたいなら ますますこの傾向は強く、水不足に悩まされる。そこで、水不足を解消する方法として、雨水を貯めるタンクを紹介する。
上の写真の通りなので、特に説明しなくても、容易にイメージできるだろうが、フィリピンでは通常 ブロック塀のブロックを積み上げてつくる。セメントを使って家を建てる場合もこのブロックを使うことが多く、作り方は家を建てるのと ほとんど同じ。大工に頼めば簡単に作ってくれる。
家を建てる場合との違いは、まず、沢山の水を貯めるため強度を確保する必要から、
(1)鉄筋を沢山使い、強力に縛り付けている。
(2)底がひび割れしないよう、柔らかい土などはすべて取り除き、地面を上から押し固めて頑丈にする。さらに、防水の観点から、
(3)通常のセメントにサハラ(Sahara)または、ネバダ(Nevada)と呼ばれる粉を混ぜる。以上のような違いがある。
といは 大工に頼んでつくってもらった。(下左図) パイプは各種既製品が手に入る。タンクの壁には、幾つか蛇口を取り付けた。また、底の高さのところに、掃除用として太めのパイプを取り付け 栓をした。(下右図)
特注のとい と パイプ 蛇口と掃除用のパイプ(右下)
水を貯められる状態になったところで、かなり強烈な雨が降り、1時間ほどで約1立方メートルの水が貯まった。通常は、20リットル入りのポリタンクに水を汲んで来るが、せいぜい3つか4つ。 この時貯まった水だけでも、ポリタンク50個分くらいになり、かなり使いでがある。ゴミが入ったり、蚊が発生するのを防ぐため、この後 セメントで上部をカバーする予定である。
屋根の大きさと得られる水の量
フィリピンでは、屋根は金属か茅葺にするのが一般的だが、降った雨水を集めるためには、金属の方がとゆを取り付け易く便利だ。 ただし金属のトタン屋根は暑いので、特に外側は白くペンキを塗った方が良い。
得られる水の量は、屋根を上から見た面積に比例するわけだが、小さい家でもこの面積は50平米くらいありそうなので、これに年間の単位面積あたりの降水量を掛け算した分だけ水を得られる。例えば日本と同じで年間降水量を1500mmと仮定すると、年間75立方メートルの水を得られることになる。20Lのコンテナが3750個分。一日コンテナ約10本分の水が得られることになる。水で困っている地域の住民としては、かなり嬉しい水の量である。
一般に、雨の降る時期は季節によるので、屋根の大きさ以外にも、地域の気候も考慮して、タンクの大きさを検討する必要がある。
まずは隣家から
近所との関係にもよるが、自分の家だけ このようなタンクをつくるのは難しい。そこで、今回は、まず隣人の家からタンクをつくった。タンクの持ち主は私なので、水不足の時は、優先的に、私も このタンクの水を使える。
隣家にタンクを作ったものの、課題が山積みだ。直接には言われないものの、他の隣人が嫉妬しているとの噂をよく耳にする。私自身に対しても、具体的には書きにくいが 聞いていて不愉快になるようなことをいろいろ言われる。セクハラに似て、近所ハラか、外国人ハラといったところだ。
隣家にタンクをつくるくらいの費用は工面できても、近所すべてにタンクをつくるのは、いくら予算があっても足りない。またそうする理由もない。この地域の水問題を根本的に解決できれば、一番良いが、以前にも書いているように、それはそれで、たいへん難しいのである。
(1)水道の水圧が低く、ホースをつないでも水は来ない。
(2)ポンプを使うと、だれかが電気代を負担しなければならない。
(3)過疎のため家々につなぐホースが長くなる。場所によっては500m以上。
(4)井戸を掘っても、海沿いのため時間によっては塩水になる。水問題は なかなか解決しない。
費用
参考のため今回かかった費用の概略をまとめておく。
工業製品は、シキホール島の場合、セブなどの大都市に比べ2〜3割程度は高い。
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1個 6.5〜8ペソ |
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値下がり中。セブ等都会だともっと値段は安い。 |
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通常トラック単位で購入 |
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セブたとかなり安い |
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8mm 10mm |
約20本 約3本 |
35ペソ 63ペソ |
約700ペソ 約189ペソ |
一本6m単位で販売 |
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コンテナ20個 |
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かなり割高 |
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長さ、太さによる |
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約150ペソ | 一個40〜150ペソ程度 |
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大工 200ペソ ヘルパー 150ペソ |
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調理した家族が食べた分の負担を含めて計算 |
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以下 とい用部材 ブリキ板 |
約3枚 |
190ペソ |
570ペソ |
1枚 180〜200ペソ程度 |
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といの接続用 |
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劇薬だが容易に買える |
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21ペソ/L |
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18〜21ペソ/L |
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黄色いパイプは強度OK |
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約9200ペソ |
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その他、中古で良いが、工事中に使う位置決めや補助用の材木が必要である。8年経過したが、最初に作った隣家の雨水タンクは今も活躍している。以前 子供が コンテナの水を台車に乗せて、遠くから押して運んでいたことを思えば、十分過ぎるくらい元は取れたと言える。
インフレのため、作った当時と同じ費用でタンクを作るのは無理である。もちろん、街中で売っているパンのように、値上げする代わりに、小さくしてしまえば問題ない。現状では、例えば、ブロックは10ペソ程度。セメントは230ペソ程度に上がっている。大工の日当は250ペソ程度でもなんとか来てくれる。
といは、この例では、ブリキ板を使って、全面的に自作しているが、さびの問題もあり、アルミ製の8フィートの長さの既製品のといの部品を組み立てる方がお奨めだ。一つ約300ペソ。この例だと6つ必要になる。
一つ一つ積み上げて、現状での見積もりをつくることも可能だが、ここでは、大雑把だが、現状は 16000ペソ程度と見積もっておく。
普通の日本人の家なら、もっと大きいので、といのコストもかかるはずであり、タンクももう少し大きくしそうで、さらに高くなることだろう。
反対に、お金が無くなったけれども、雨水タンクは欲しいという場合には、私なら次のようにする。
私の家の周囲には、さんご礁の化石の岩が沢山転がっているので、それをセメントでくっ付けながら積み上げて壁面にする。そして、最後に内面に防水を施したセメントを塗る。また、雨といは竹で作る。これなら、費用は無視できる程度まで抑えられる。近代的な家だと、これでは不釣合いだが、ログハウスや山小屋のような家なら、味わいがあって、この仕様でも良さそうだ。
(2010年4月更新分)
以前の訪問者から、雨水タンクの現状を聞かれていることもあり、最近の写真を紹介する。
たとえ、水が安く手に入る地域でも、川から水を引いて来れるようなことが無ければ、雨水の有効利用というのは、もったいない精神の日本人の心を捉えるのであろう。大抵の訪問者から興味を持たれる。日本の街中で暮らしていれば、雨水タンクを作る土地の費用の方が莫大になりそうだが、フィリピンの田舎暮らしなら、土地は問題ない。水道代の節約だけでなく、水道水の節約による エネルギーの削減、CO2の削減効果を期待している人も多いはずだ。
自宅用の雨水タンク 茅葺用に分けたもう一つの雨水タンク
以下、参考事項を挙げておく。
アルミ製のとい
当初は、ブリキ板を加工して作ったが、フィリピンのそこそこのレベルの家であれば、アルミ板を加工した既製品の部品を使って、といを作っている。ブリキの場合、落ち葉があると、といに雨水が溜まってしまい、錆びて最後は穴が空いてしまうことがある。周囲に木が無ければ大丈夫だが、アルミの方が安心だ。
アルミ製のとい 給水用のタンクとポンプ
環境にやさしいという観点からは、電力を消費するポンプなどは使わない方が良いとも言えるが、雨水タンクは、通常は地面に設置するので、貯まった雨水を使うには、ポンプで押し上げたり、圧力をかける必要が出てくることもある。私の自宅の場合は、飲み水以外は、長らく雨水がメインだったので、一旦上のタンクにポンプで押し上げてから水を使った。ポンプは、当初は、日本から風呂水用のポンプを持ってきて使っていたこともあったが、現地で(購入時の価格で)1000ペソ程度で、十分な性能のポンプが手に入ったので、現状ではそちらを使っている。
以前の訪問者からは、雨水を直接上側のタンクにも貯められるようにするという提案を頂いた。上側のタンクよりもさらに高い屋根の部分から水を集めてくるということで、といの取り付けに工夫が必要になろう。あふれた分は、雨水タンクに移す配管も必要である。
こちらでは 上部のタンクもセメントで作ったのだが、水道水の出が悪い場合に使うタンクとして、ステンレス製などのものが市販されていて、市販品を使うのが普通であるが、雨水の場合も同じ市販品を使うこともできる。
二階の高さに作った給水用のタンク
雨水を上部のタンクに押し上げるのに使っているポンプ(常時使っているポンプは同じ方だが、電気を入れれば動作するよう、配管して設置してある。) 亀裂の修理
雨水タンクを長く使っていたり、貯まった水の量が多いと、亀裂が生じて 水が漏れてしまうことが多い。亀裂の部分のセメントを取り除き、再度セメントを塗って対応しているが、通常 メンテが必要になる。亀裂に塗りこむパテかコーキング材のようなものもあるそうで、修理の方法にもいろいろな選択肢がある。側面が水圧で押され、側面同士の接合部分に縦に亀裂が入ると、場合によっては、側面の補強が必要になることがあろう。
こちらの例では、輪ゴムでとめるように、側面をぐるっとセメントの輪で取り囲んでいるものもある。上部のカバーとネット
上部のカバーがなくて、プールのようになっていると、ごみが溜まったり、場合によっては、ボウフラが湧く可能性も出てくる。また完全にセメントで上部を固めてしまうと、中の掃除やメンテナンスができない。上部を少し空けて、そこに網戸のネットをして、そこから雨水を入れ、蚊が入らないようにしている。さらに補強のため、ネットの上に金属板のカバーを被せている。
雨水タンクの上部
上部の取水口のカバー
カバーの下は メンテ用に人が入れる程度に空けてあり、さらに網戸のネットで虫が入れないようにしてある。さらに、ネットの両側に荒いメッシュを重ね補強してある。
かやぶき屋根からは茶色い水
田舎暮らしらしい話題だが、フィリピンのかやぶきの家であるニッパ・ハットでも、雨水を利用しようとすると、当初は雨水が茶色に染まる。何年もすれば、色はほとんど無くなるが、基本的には洗濯などには使えず、トイレの水か、草木にやる水に使える程度であろう。牛にも飲ませているが、これは少し特殊な話であろう。
私の自宅の場合は、茶色の水を分けるのと、容量を増やすため、かやぶきの建物と、トタン板の屋根の建物で、雨水タンクを別々にしている。
茅葺屋根ととい