22匹の子ブタ

2020年11月作成



母娘二匹の豚から生まれた合計22匹の子豚

都合により 長く更新が遅れてしまったが、ここでは、コロナ禍が始まる直前の話題を紹介したい。

22匹の子豚が誕生

近所の知り合いの家で 母娘二匹の豚から合計22匹の子豚が生まれた。
フィリピンの田舎暮らしでは、豚はフェスタのレチョンを中心にして ポピュラーな話題で、これまでにも何度か豚の話を取り上げてきた。今回 ここで また取り上げる理由は、沢山生まれてめでたいということもあるが、子豚の値段が上がったので、繁殖ビジネスでうまく回る可能性が高まったことを紹介したいからだ。

と言っても、具合的なデータを持ち合わせているわけではなくて、ここでは大雑把な話だけで勘弁願いたい。

豚破産実験

まずは、以前から試そうと思って、未遂のままなのものに、豚破産実験がある。これは、豚の肥育で、市販の配合飼料ばかりを与えて太らせたら、早く大きく育つだろうが、餌代が高くついて赤字になるだろうというものだ。そう思うのは、近所でそうやって破産したと言っている人がいるからだが、通常は残飯も食べさせるし、田舎で適当に豚をつないでおけば、土の中の根を掘り起こして食べたりもする。厳密に試した情報を共有すれば役に立つだろうと思った次第だが、ゆとりがなくて、未遂のまま実現していない。

子豚の値上がり

子豚、豚肉、豚の餌とも値上がりしていて、状況は変わっていくが、肥育に比べて、繁殖の方は、餌は母豚だけに与えれば良くて、子豚は母乳で育ち 餌代は有利と言える。豚破産実験と違い、繁殖用の餌を すべて配合飼料で と言っているわけではなくて、儲かるために、周囲で育てたキャサバなど、買わずに済ませる工夫をすれば、黒字が近くなる。 繁殖では、餌代と子豚の値段が、大きな要素で、ここで特に注目している子豚の値段の方は、例えば、数年前に、買った生後1か月余りの子豚の値段は3000ペソと2500ペソだった。15年〜20年前には、500ペソで売る人もいたし、1000ペソもあったが、それと比べ、かなり値上がりしている。豚肉の値段は、フィリピン全土でばらつきは少ないが、子豚の値段は、地域差も大きそうで、いろいろと異論が出てきそうでもある。
それでも、無料の餌をできるだけ調達するようにすれば、黒字になって、フィリピンの田舎の人が生計を立てるのに役立つ可能性を理解して頂けるはずだ。ここで紹介した知り合いのように、母親2匹で 2倍にすれば、かなり有望な収入源になりそうだ。

ラーニングセンターでのフィージビリティ・スタディ

シキホール島で運営してきたラーニングセンターのパソコン・クラスで、オフィスソフトの使い方の練習を兼ねて、各種のスモール・ビジネスのフィージビリティ・スタディを行った。その一つで豚の繁殖を取り上げ、折角なので、皮算用の結果を実際に試してみようということになった。そこで、豚ビジネスのフィージビリティ・スタディを行った人に、メスの子豚一匹と50kg入りの配合飼料一袋を買ってあげて、あとは様子見した。フィリピンらしい紆余曲折の後、豚は成長し、子供が生まれたものの、売れ残りが出そうだという噂が伝わってきたので、子豚の一匹を買取った。それをもらって育てたのが今回の知り合いで、さらにその豚の娘の一匹も繁殖用になリ、二匹からほとんど同時に合計22匹の子豚が生まれた。

支援の輪

支援のため 誰かにメスの子豚を1匹あげても、成長して子供が生まれるまでに、餌代を中心にいろいろと費用がかかり 簡単ではない。それでも、フィリピンの片田舎なら最初は畜舎はなくても、適当に大きな樹の下につないでおけばなんとか育つ。できるだけ無料の餌を集めて、餌代を節約することもできる。そうして、何とか 母豚に育てて、最初の子豚が生まれるところまでたどり着けば、子豚を売った代金が入り出す。しばらくすれば、畜舎を建て、餌も十分買えるようになり、母豚を複数持てるようにもなろう。
さらに、もともと支援を受けたところから始まっているので、生まれたメスの子豚の一部を、他の人に提供していけば、支援の輪が広がる。
支援の輪がパンデミックのように広がれば素晴らしいが、広がるのはウイルスばかりだと反論されるかもしれない。
それでも、最初に子豚をあげたのが、感染源かキャンペーンのような効果があり、ここで紹介したように、子豚が沢山生まれた。儲かってくれば、他の人を支援してあげようという気持ちも出てきて、支援の輪が広がると期待したい。

畜舎ができて、臭いも改善

最後に、畜舎のことを補足しておくと、以前なら、マンゴーなどの大きな木に豚をつないで育てているのをよく見かけた。しかし、それだと、地面は土なので、糞尿は通常そのまま。糞まみれで、悪臭が問題になっていた。これに対して、最近は、上の写真のように、しっかりした畜舎を作る場合が多い。 これだと 地面がセメントなので、豚の体を洗うとともに、糞尿を洗い流すので、匂いはかなり軽減される。
そうは言っても、町中で豚を飼うと臭いと鳴き声が敬遠される。法の制限も聞くし、周囲からは受け入れられないだろう。シキホール島でも町中での豚の飼育は現実的ではない。幸い、ほとんどが片田舎で、豚の飼育に適した場所と言える。フィリピンの田舎の島なら大抵は問題ない。


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