シキホール島の酪農

2009年 3月



フィリピンでの酪農に興味がある人からの依頼があり、シキホール島の酪農農家を見学してきたので簡単に紹介する。これは、5年ほど前にシキホール島で活躍されていた青年海外協力隊員の支援により始められたもので、3、4年前から、片田舎の私の家の前までも、車でMade in Siqiujorの牛乳を売りに来るようになっていた。酪農を行っている場所は、San Juanという町のTimbaonというバランガイで、ここは私も牛の買い付けによく行くところである。いつも話をする牛飼いの家から数百mも行けば、ホルスタインが飼われていた。今回は2軒の農家を見たが、DA(Department of Agriculture)の所長の話では、全部で25頭ほどホルスタインが飼育されているそうだ。実際には、立ち寄った農家では、人工授精に使った種はホルスタインではなくて、現地で通常人口受精に使われるブラマンという種で、子供は大きく育つがハイブリッドであった。どこまで含めるかで ホルスタインの総数も変わってくる。

この農家では、最初の一頭だけが、純粋なホルスタインということだった。ただ、白黒の斑模様のホルスタインのイメージからは程遠く、直感的には、ほんとうに純血なのかという疑問もあった。それでも、初代の母牛は、午前に6kg、午後に5kgの牛乳を搾り出せるそうで、ハイブリッドである子供のメス牛よりは 出る牛乳の量はかなり多いそうだ。インターネットで検索したところ、この数字は、日本よりはかなり少なそうだが、現地の人にとっては、貴重な収入源と言える量である。

その隣のCangMunagというバランガイには、この地域の酪農農家の共同組合の事務所があり、牛乳を加工し、冷凍庫に保存していた。そこでも、牛乳を売っていたので、当然の成り行きで1本買って帰った。値段は1本1kgで60ペソだった。以前よりかなり値上がりしてしまい、日本の特売と同程度の値段になったので、私自身は、最近はほどんと牛乳は買わなくなっていた。隆起さんご礁の島では、水の中はカルシウムが豊富で、たんぱく質は魚から、カルシウムは井戸水からという現金な発想になっているからである。

農家に聞いてみたら、企業秘密のはずだが、農家の出荷価格を教えてくれた。それなら、私でも買いたくなる魅力的な値段だった。もしも 近くに酪農家があれば、直接牛乳を買い付けて飲みたいものだ。殺菌していないので、冷蔵庫に入れて、飲む時には加熱することになろう。

一つの農家が単独で酪農を始める場合、ここの組合のような設備を一式揃えれば問題ないだろうが、単独利用では、割高であろう。牛乳が割安なら私でも買いたくなるくらいなので、近くに外国人が複数住んでいれば、搾りたてを直接 売りさばくという方法も可能であろう。

訪問した農家の最初の一頭である
ホルスタイン

左の牛の乳房。それなりに大きい。
左の牛の娘。ハイブリッドのため、牛乳の出は母親よりかなり少ないとのこと。

今回訪問した酪農家

搾った牛乳を入れる容器

牛の家

酪農家の共同組合の事務所
事務所では、牛乳の加工や保存も尾行っている。 1本60ペソ。隙間があると少し文句を言ってみたら、1kgとの返事。1Lではないそうだ。


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