農業支援の試み

2016年6月作成





種蒔きの様子。

少し前の話になるが、日本人の知り合いで農業が得意な人たちがやってきて、現地の人たちに農業の指導をしてもらえることになり、私の方でもいろいろとそのサポートをして、何が現地の人々の役に立ちそうか試してみた。

堆肥(compost)

シキホール島でもcompostを作っているのも見かけるが、日本の方がかなり進んでいるはずだ。土に穴をほり、落ち葉や残飯などを入れて、踏み固めて、水をまき、必要ならバクテリアを入れて、土をかけて、また落ち葉などを入れて、これを何層にも重ねる。最後にビニールシートやバナナの葉などで上を覆い乾燥を防ぎ、菌が繁殖しやすいようにする。バクテリアによる分解が進み、表面が下に落ち込んでいるようなら、後から同様の層を追加する。このようにして、1ヶ月ほど放置すれば堆肥が出来上がる。

試しに作ってもらったcompost

マルチ(mulch)シート

畝をつくりマルチで覆ったところ。

植えた野菜が育ち始めたところ。

現地でマルチ(mulch sheet)を利用している畑も少しは見かけるがほとんど普及していない。日本だと黒をよく見かけるが、黒だと温度が上昇しやすいので、日本でも、場合によって透明やその他の色のマルチを使うこともあるそうだ。フィリピンでは灰色のマルチを使っているのを見かけたことがある。現地では、日差しが強く、また雨は不規則な降り方をすることも多く、マルチが役に立ちそうだろうと提案してもらい、今回試すことになった。

今回の主要なポイントは、以上の二点を現地の人たちに実物で紹介したことで、現地で見聞きした人には十分役に立ったはずだ。ただし、どれだけ根付くかという点では、いろいろ課題がありそうで、やはり、興味のある人に外から来てもらい、現地でどっぷり腰を据えて、自分で栽培しながら、現地の人に伝えてもらうのが良さそうだ。


最後に、個人的な意見と反省点を書いておく。

そもそも私がフィリピンに来ていろいろな取り組みを始めた理由として、日本では会議が多くて、なかなか進まないので、フィリピンで現地の人相手に自分ひとりで、思いつくままいろいろと試してみたいという気持ちが強かった。(もちろん、日本人は一人でも、現地の人との打ち合わせは必要だ。 また、結果をインターネットで公開すれば、多くの人の参考になる可能性があるという目論みだ。)

しかし、今回のようにグループで取り組む場合には、いろいろと相談して整合をとる必要が出てくる。

例えば、フィリピンの田舎では、残飯はcompostに入れるよりも、ブタの餌にして、ブタの糞を熟成させて それを肥料にした方が全体として残飯がより有効利用されると私は思う。実際には餌代節約の効果がより期待される。以前シキホール島に赴任していた協力隊員で畜産の専門家も、現地で そのようにしているということだった。ブタの糞は熟成させればよい肥料になるそうだ。 実際の現地の事情としては、牛糞は肥料としてよく利用されるが、ブタの糞は洗い流すだけで、肥料として活用されているのは見たことがない。これだと畜舎にちゃんと肥溜めを作れということがポイントになりそうで、元協力隊員は そうしていたはずだ。

最初に十分打ち合わせをせず そのまま始めて、意見が食い違っていると、後から言うのは水を差すことになり、言い難いし、精神衛生に良くない。後からこのように書いているのもイマイチだ。そう言って黙っていても最終的に良い結果は得られないと思う。

あまりややこしいことは言わず、意見・方向性の一致することだけ一緒にやれば良いはずだ。そのために、意気投合できるかどうかの確認だけは、最初に十分しておく必要があろう。

個別の内容では意見の違いもあったが、今回の取り組みの全体的には、現地の人たちにいろいろと改善の可能性を示せて、有意義な活動だったと思っている。


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