フィリピンでの日本人のお葬式
& お葬式の費用徹底解説

2012年9月6日作成
2012年10月2日最終更新




日本在住の以前の訪問者で、故人の家の前のプロックに
座って 故人と歓談を繰り返していた 故人とゆかりの
日本人にも献花をお願いした。

この記事では、亡くなられた方を日本人としか書いていませんが、もしも、ご遺族の方から依頼があれば、指摘の箇所を、速やかに修正または削除する場合があります。

経過

リタイヤメントビザ(SRRV)で単身フィリピンに移住され、私の家の近くに住んでいた日本人が亡くなられた。謹んでお悔やみ申し上げます。私が一番付き合いの深い日本人なので、亡くなる前のお見舞いとともに、亡くなられた後は、毎日何度も故人のお宅に伺い お葬式にも どっぷりと係わることになった。

故人とは、私の方がシキホール島では先輩なので、当初の1年余りは、家の建て方や電気工事士とのやり取り、日本からの荷物の送り方その他参考情報を説明するため、頻繁に訪問していた。しかし、ご自身で新興宗教(宗教と言うと、敬遠する人が出るので、宗教とは言わないと、私には種明かしされていた。)を始められたので、私はそれには係わりたくないので、しばらくは、見かけたら手を振るだけの関係になっていた。しかし、病気だという話が伝わってきたので、困ったときはお互い様と お見舞いに行くようになった。亡くなる3日前には、その前に比べ かなり痩せておられたが、常々断食で病気を治すと言われていた方なので、まだまだ大丈夫だろうと思っていた。 日本から娘さんに来てもらい、一緒に一旦日本に帰って、病気を治してから、また戻ってきてもらったらどうかと、以前と同様お願いした。それは、娘さんに迷惑を掛けたくないという本人の意思とは異なるので、通らない提案だとは分かっていても、そのうち その気になってくれるかもしれないとも期待した。

亡くなる前日には、私はドゥマゲッティに出かけていて、帰ってきたら 港で故人と知り合いのドライバーから、故人が入院したと聞かされた。病院に行かず、薬も飲まない方針の人が、病院に入ってくれたので、これで安心とまた思ってしまった。亡くなる2時間くらい前にも病院にお見舞いに行ったが、点滴をされていて、調子も良さそうに見えた。点滴や輸血、座薬などの医療用語の翻訳を頼まれたので、自宅に帰って調べようとしていたら、容態が急変したという連絡があり、駆けつけた時には、既に亡くなられた後であった。


お葬式までの様子

故人の棺

故人の自宅

故人の自宅の前にあるプロックと呼ばれる
人々が歓談する場所。

故人が運動する場所と呼んでいた建物
故人のご遺体はこの中に安置されている。

露天風呂まで造っておられた。

ご主人の帰りを待つ犬。
この犬も調子が良くない。

お葬式の様子 2012年10月更新

周囲には仏教の寺もなく、近所の葬式屋に頼んでいるので、カトリック式のお葬式となった。しかし、結婚式なら異教徒も教会で式を挙げるのを受け入れるが、お葬式の方は、Roman Catholicのみ受け入れるということで、自宅で通夜のミサがとり行われた。

今回は異例続きで、個人が亡くなるや、生前付き合いのない別の日本人がやってきて、現金、キャッシュカード、パソコン、パスポートなどの貴重品を勝手に持ち出した。メイドにサインさせて、借りると言って持ち出したそうだが、警察に届けるならまだしも、そのまま自宅に持ち帰るのは尋常ではない。特に、パソコンを勝手に持って行っては、中にスイス銀行の秘密口座の情報が入っていたりして、勝手に引き出したと疑われるかもしれない。警察に届けなかった理由として、フィリピンの警察は信用できないと主張するのだろうが、それでは、警察に喧嘩を売っていることになってまずいので、やはり お持ち帰りは宜しくない。

それでも、こちらは、生前現地で一番付き合いの深い日本人として、善意でお葬式を手伝おうとしただけで、現金等の貴重品を持ち出した人が、葬式を仕切ってくれるものと善意で解釈したが、遺族が到着いた1週間余り後までに、やってきたのは1回だけ。結局葬式を仕切る人が不在で、現地の人が右往左往していた。会計くらいはきっちりした方が良いだろうと、現地の人にパソコンに入力するようしてもらったが、普通なら故人のパソコンを使うところだろうが、それは持ち去られてしまったので、私の家から貸し出した。葬式を仕切る人も、会計係もいない状態では、私を含めお葬式を手伝おうをした日本人は、食材や飲み物を自腹で買ってくることになり、結構な出費になった。

一番残念だったのは、遺族に、故人の生前のお友達に順に会いに行き、話を聞いてもらおうと思ったが、それが実現しなかったことで、無料の通訳をかって出ようと思ったが、かなわなかった。

たまたま来られた日本人の旅行者に
法華経をあげてもらった。

近所の小学校に通う子供たちも故人を偲んで、立ち寄ってくれた。

通夜の様子

キャッシュカードの件を補足しておきたい。

私は個人から何度もキャッシュカードのことについては聞かされていて、もしも故人が亡くなった場合には、勝手にキャッシュカードから現金を引き出されては困るので、メイド一人だけに、日本の遺族への死亡の連絡を託されていた。遺族に連絡が行くと、すぐに口座を止めて、現金を引き出せなくするという段取りになっていると、故人は私に説明されていた。

さらに、もしも遺族が故人が亡くなった後現地に来ない場合には、メイドがキャッシュカードも含めた貴重品一式を日本の遺族に送り返すという手筈になっていた。

ところが、故人の死後まさに故人が恐れていた事態になったわけで、キャッシュカードを持ち出した人物がいて、その人物が日本の遺族に連絡することになった。それでも、メイドは、死亡の4時間後には、故人の言い付けのとおり、日本の遺族に電話で訃報を伝えた。
しかし、それだけでは、英語の分からない遺族に十分伝わっておらず、次の日 私はメイドの妹から 再度確認の電話を遺族に入れるように頼まれた。私が電話して、やっと遺族は死亡の事実を受け入れ、悲しんでおられた。私がその人に連絡した最初の日本人ということであった。 その後、キャッシュカードの件を確認したら、まだ口座は止めていないということだったので、すぐに止めるよう依頼した。故人の意思であり、もしも必要ならまた再開すればよいだけなので、まずは止めてくれと依頼したら受け入れてもらえた。

故人の友達のドライバーがいて、彼だけがキャッキュカードの暗証番号を知っていた。故人は具合が悪くなって寝たきりになった数ヶ月の間は、このドライバーに頼んで現金を引き出していたからである。

暗証番号を知っているドライバーは故人の別の友達に対して次のように言った。

故人が亡くなった二日後の朝、キャッシュカードを持ち出した日本人はこのドライバーに100ペソのチップを払い、このキャッシュカードを渡し、ATMへ現金を引き出しに行かせたそうだ。しかし、残高がなくて、現金は引き出せなかったそうだ。

私が連絡した次の日のことなので、間に合ったということになるのか、対応は取れている。

しかしながら、遺族が現地から帰られる直前に、聞いてみたところ、キャッシュカードの件は特に問題はなかったそうだ。

未確認の情報を書いていないので、分かりにくそうだが、口座の預金の出入りがどうなっているのか、できれば知りたいものである。


今回の訃報を 故人と面識がある人たちにメールで知らせると、明日は我が身というコメントを返す人が少なくなかった。そこで、以下、葬式の費用を中心に、いろいろなところで聞いて回った情報を紹介しておく。フィリピンでは、高額の手数料を請求されたり、ボッタクリが横行する可能性も十分あり、故人もそれを一番嫌っておられたので、その意思を継いで、ここでは、そのまんまの価格を十分に紹介したい。

お葬式の費用

シキホールには葬式屋が二軒あり、それぞれに、葬式のパッケージの価格の取り揃えがある。基本的には、棺桶の表面の処理の違いなどによる棺桶の価格によって全体が変わってくる。パッケージには、送迎の乗り物などが含まれる場合もあり、以下のCALIBOの場合は、場所による値段の差も含めて、見積もりを教えてくれた。

シキホール島以外の人には関係ないとも言えそうだが、価格の参考になるとも言えそうだ。特に、外国人が増えて外国人価格が横行している地域が万一あるとすれば、この情報はまさに現地価格のはずだ。

今回の故人の場合は、AGNOBISを利用しP14800だった。さらに、お葬式の後に確認に行ったら、P13000に割引してくれたそうだ。私が葬式を仕切っているわけでもないし、私がここに決めたわけでもない。単に価格の比較のために情報集めに回っただけなのだが、特に聞いてはいないのに、今回の見積もりをプリンタで打ち出してくれた。同じ日本人なので、誰も払ってくれなければ、私に請求すれば良いと思われてしまったかもしれない。

体の腐敗を防ぐ薬品を注入していて、この見積もりでは、1週間分の注射代が含まれているとのことだ。それを超える場合には、1日P400追加でかかるということだった。

AGNOBIS
@Pangi, Siquijor, SIQ
P8900 P14800 P17000

CALIBO
@Candanay Sur, Siquijor, SIQ
P6000(near)〜P7000(far) P12000〜P15000 P16000〜P20000

ボホールでのお葬式の費用 (2012年10月追加)

ボホールに行ったついでに、そちらの葬式屋で見積もりを聞いてきた。田舎の町でも同じ名前の葬式屋を見かけ、タグビララン以外にもいろいろな町に支店がある。値段は、シキホール島とそれほど違いは感じなかったが、パッケージでも、基本的に棺桶の価格が大きく影響している。

GOMEZというところは、P7000〜ということで、庶民的な一番安い相場は、シキホールも同様この程度のようだ。もう一つ、HOLY NAMEというところは、P25K,P33K,P40Kということだったが、外国人が聞きに来たので、そこそこのレベルのパッケージの価格を伝えたようだ。

HOLY NAME
FUNERAL HOME @Loon

HOLE NAMEに置かれていた
棺桶の例

FUNERARIA GOMEZ
@Loon

火葬の費用

火葬はドゥマゲッティでできて、AGNOBISが取り次いで、追加で請け負ってくれるとのことであった。その場合P35000加算される。

ドゥマゲッティ在住の日本人の知り合いがセブでの火葬の費用を問い合わせたら、P60000と言われたことがあるそうだ。それにはどこまでの費用が含まれているのか、日本人価格を言われたのか、そのあたりはよく分からない。

お墓の値段

フィリピンでは一般的に土葬で、下の左の写真のように、棺桶の周囲にブロックを積んで、外をセメントで固め、何段にも積んでいる。写真は公営墓地の場合で、その費用は、P4300で、これだと5年間遺体が保存され、その後と取り出されるが、さらにP2500追加すれば、ずっとそのまま永代に安置される。一括で払えない場合には、年にP100払えば、継続して安置される。

積み上げ式でなくて、日本のように墓地の一区画を占有する場合には、土地のみだとP35000、お墓一式ではパッケージでP75000とのことだ。いろいろなお墓があるので、立派なものだとさらに高くなるはずだ。

一般的なお墓

屋根付きの高級なお墓

最近、私立のPARADISE ISLAND MEMORIAL GARDENという墓地ができて、そちらではいろいろなパッケージの取り揃えがある。すべて積み上げ式ではなくて、価格はP50000からとのことだ。現金だと10%割引があり、交渉次第でさらに割り引くとのことだ。故人と墓地のオーナーが友達なのでそういう話が出てきたそうだが、私だったらお墓なんかつくりたくないし、万一それができなくても、公営の一般的なお墓で十分だ。

お供えの花

これもローカルな話だが、別の地域の人も価格の参考になるはずだ。葬式を出す側からすれば、これは自分では買わなくて、人から送られるもので、費用には含まれないかもしれないが、ここで取り上げても悪くはないだろう。

シキホールでは花はドゥマゲッティから持ってくるということなので、ドゥマゲッティの方が、当然安くなりそうだが、都会で花屋の利益が沢山上乗せされる可能性もある。もしも、大きなショッピングモールに花屋があったとしたら、テナント代が高いので、シキホールよりも高くなりそうだ。機会があれば調べて見たい。

今回の場合、当初献花が少なかったので、知り合いの日本人で故人にゆかりの人たちにもお願いして、私も含めて花をお供えした。
花は多い方が良いので、メイドや親しい人たちの名前でもお供えすることにしたが、貧しいフィリピン人の分は、取り立てるわけにもいかず、自分で支払うしかない。それでも、日本の感覚からすれば、とんでもなく安いので、いくら払っても非常に得した気分になり お勧めである。

日本で、身内の葬式の時に、会場にお供えする花は数万円した覚えがある。病院のお見舞い用でも数千円払った。 それだと、中身は、今回の場合の150ペソの花程度と言えそうだ。

P350の献花の例

値段は、P150, P300〜P350, P500の三種類が主流である。それぞれ、スタンドなし(小)、スタンドあり(中)、スタンドあり(大)となる。
私が花を買いに行くというと、現地の人はぼったくられるかもしれないので、自分が行くと言い出した。しかし、価格を下調べしていたので、こちらから幾らでしょうと言って、話を進めたので、問題なかった。しかし、これは英語ではなくて、現地の言葉で話しているからであって、土地などと同様、外国人なら数倍にふっかける可能性があるので要注意であろう。

Siquijor, SIQには、花屋が3軒ある。しかし、日本の花屋のように、沢山の花が並んでいるわけではないので、分かりにくい。

SJT Flower shop
@Pangi, Siqiujor,SIQ
P150, P300, P500

EL LLORENTE FLOWER & GIFTS
@Poblacion, Siqiujor,SIQ
P150, P350, P500

STEFI DENISE STORE
@Poblacion, Siqiujor,SIQ
P150, P350, P500,P700


SRRVの解約

亡くなる3日前にお見舞いに行ったときに、本人からSRRVの解約の話を伺った。業者に代行を頼んだそうだが、信用できないので、そこに頼むのは取りやめにしたと言われていた。信用できない理由の一つが、解約後の預金(デポジット)の振込先を聞いてきたからということで、そんな大事なものを教えたらまずいと本人は言われていたが、それは誤解で、振込先が分からなくては、送金できないので当然のことである。そう説明したが、本人の考えは変わらなかった。宗教家で、人の心の中が読み取れると常々、周囲の人たちに説明していた方なので、信用できないのを本人が見抜かれたというのが一番の理由であろう。

解約については、本人の死後、相続人がデポジットの返金を受ける場合には、35%の相続税がかかってくるということだ。フィリピンのことなので、死の直後に、まだ本人が生きていることにして、間の誰かが相続税分を着服する場合が出てこないか心配だと言って、これについて アンケートを取れば、私もそう思うという人が90%はいそうな気がするが、不正が起こらないことを願いたい。

この件は、さらに情報を集めて、後日更新したい。


参考) 病院の費用

この日本人の場合、亡くなる一日前にシキホールの病院に入院された。かかった費用を聞いてみたら以下の通りであった。期間が短かったので、安く済んでいると言えよう。

プライベートルーム 1泊 P1000 + ラボラトリー P695 + 薬代 P609.55

P695には、死亡診断書の発行手数料も含まれていて、未納だったので、おまえが支払うかと言われたが、立て替えておいても良いが、頼まれていないので、ややこしくなりそうで断った。税金と同様、支払いは誰が払っても受け入れてくれる。

知りたかったのは、一般的な費用であり、

個室一日 P1000
二人部屋一人一日 P750
点滴 1L P104.3
輸血 P7000/2L

医療費は、まさに状況によっていろいろであろう。
例えば、以前取り上げたが、近所で刃傷事件が起こり、女性が背中なら刺されて、肺を貫通する傷を負った時の手術代はドゥマゲッティの病院で5万ペソだった。因みに、その女性はまだ若かったこともあり順調に回復し、その半年後には日本に研修に行った。

故人が入院されたシキホールの公立病院


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