日本人の格差社会@フィリピン

2013年10月作成




格差社会という言葉が聞かれるようになり10年ほど経ち、既に日本では死語になっているのかもしれない。フィリピンでは、もともと格差社会という言葉はあまり聞かなかったが、年々、日本人の間で格差社会が現実化している。

あまり具体的に書くと差し障りが出そうなので そうはしないが、以前ダバオに行った時に、現地で主にフィリピン人を相手にビジネスをしている方から話を聞いた。その方は現地価格でビジネスをしているので、薄利多売のように、よほど数をこなさないと、日本で稼ぐようには儲からない。出費も日本より少なくても済むので、何とか暮らして行けるとも言えるが、気になるのは日本人移住者の動向だ。日本人の年金生活者が沢山ダバオに移住してきて、毎日ゴルフ三昧の悠々自適の生活をしているとのことだ。その方はそれが気になるとか、うらやましいとか、その手のことは言われなかったが、自分が毎日あくせく働いている傍らで、お気楽な贅沢暮らしをされたら、面白くないのが普通だろう。

ボホール在住の知り合いの日本人と話をしても、年金生活者やお金持ち移住者と、現地でビジネスをしていて、あまり儲からずに苦労している人との間で、同様の軋轢はあるということだ。これも 具体的にいくらでも書けるのだが、そうしない理由を理解して頂けると思う。

一方、次の例は差し障りが無さそうだが、シキホールにコテージを建てて、毎年そんなに長くはないが、現地にやって来られる日本人は、お金はあっても、そんなに大きな建物は建てないとのことだ。建てたくても、お金がなくて建てられない人がいるからと言うのがその理由で、フィリピン人も含めているとも言える。しかし、そもそも 現地の普通のフィリピン人は、その方のコテージレベルでも、予算不足で とても建てられず、主に周囲の日本人のことを言われている。

全体的に見れば、この方のような考え方をする人が多いとは思えない。そのような配慮をする義務もない。そもそも豊かな暮らしを求めてフィリピンに移住しようとしている人が多いはずで、自分の家を持ちたい人の多くは、それなりのレベルの家を建てようとするはずだ。

噂で聞いたに過ぎないが、一つの例外は、マニラの近郊で日本人が沢山住んでいる場所の話だ。フィリピンの古典的な手口と言えるが、日本人が豪邸を建てたところ、お金を使ってもらったので亭主はお払い箱。嫁とそのファミリーが結託して、日本人を殺害してしまった。フィリピンはコピー文化で、簡単に同じ手口を真似しやすいので、近所の他の日本人は誰も、そこに豪邸を建てようとはしないということだ。

自分の話もしたい。経済的には、近くに住む日本人の中で、一部の例外を除き、かなりど貧民の方だと思っている。しかしながら、現地に住んでいる日本人の中では、一番の古参と言え、何かとサポートに回ることが多い。例えて言えば、乞食が大金持ちに恵んでやっているようなもので、反対ではないかと思ったりする。
ポンコツの軽トラに乗り続けているが、以前近くの日本人宿に行ったら、フィリピン人従業員から、「お前もうちのボスのようないい車を買ったらどうか」と言われた。「買えなくはないが、学生の学費を沢山払っているし、そちらにお金を使った方が良い。」と反論してやった。個人的に見栄は何もないので、何とも思っていないとも言えるが、従業員も含めた日本人社会の世間体にさらされるのは面白くないとも言える。

日本人社会の上からのプレッシャーだけでなく、現地のフィリピン人からは、例え広い土地の地主でも、お金はない場合が多く、中古の軽トラも買えず、うらやましがられ、下からのプレッシャーもある。

立場が逆転と言えるのかどうかは定かではないが、そう思えることもある。私の場合、マイルだけは そこそこ貯め込んだので、それを取り崩しながら、結構 頻繁に日本に帰る。親が元気にしているか心配だし、いろいろと他に用事がある。ところが、いろいろな事情もあって、なかなか日本に帰れない人もいる。大きな家は建てない先の例と同じような状況と言えそうだ。しかし、最近はLCCで安いチケットが売られているし、帰れないのは、経済的な理由ではない場合がほどんどだろう。


私の場合は、大した話でないことが多そうだが、最初に書いたように、十分な年金をもらっている日本人や、お金持ち日本人がフィリピンに暮らして、優雅な生活を始めたら、特に田舎では、都会と違い、近く日本人が住んでいれば すぐに知り合いになってしまい、相手の日本人が、年金もなく、自分で生活費を稼いで 厳しい生活をしている人であれば、軋轢が生じてもおかしくないはずだ。

最後に別の例を一つ挙げておこう。シキホール島の外国人が沢山住む地域での話だ。近所の外国人がお互い知り合いになったので、クリスマスのパーティに招き合ったりして、当初は良い感じだったそうだ。しかし、そのうち、見栄のぶつかり合いになり、それがエスカレートし、さらに お互い中傷するようなことも出てきて、結局お互い付き合わなくなったそうだ。

全く関係ない話とも言えそうだが、根底に通じるものがあると思うので 削除せずにおく。

いくつか自分の意見も書きたいが、差し障りが出てきそうなので、これくらいにしたい。

PS. 最近は、自分の周辺でも日本人が増え、日本人社会ができつつある。現地では私の方が先輩なので、いろいろとサポートして、できるだけ仲良くしたいと思うのは当然だろう。それは良いが、いろいろな差し障りが出てきて、新しいカンバスに自由に絵を描けるというのと同じ当初の状況とは異なり、しがらみ、制約が増えている。

「日本人か来ると、物価が上がり、治安が悪くなる。」というフィリピンで昔から言い古された言葉も 現実味を帯びていて、これも古典的な手口である、日本人が日本人を騙す詐欺事件も増えつつある。

今回の話も歯切れの悪い書き方になっているが、差し障りが出てきて、書きにくいことが増えているので、これからフィリピンに住もうとしている方で近くに来られたら、是非一度立ち寄って頂き、直接話を聞いて参考にして頂きたい。


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