シキホール島の外国人半住者/海外半住の薦め

2006年 3月


数年前から海外移住がブームになっているが、移住というと ブラジル移民が一大決心して出掛けたように、とても重い言葉に感じる。私のように 常にウロウロして すぐに日本にも戻ってくる人間には、別の言葉が相応しい。 ロングステイ、長期滞在、半移住など いろいろな言葉が巷では使われるが、どれも私のイメージとは少し違う。ロングステイ、長期滞在では、そのうち 帰ってしまうので、わざわざ家を建てるほどでもないと思ってしまう。しかし、私のように予算が限られている場合には、物価が安い国に行き、小さな家を建てて住んだ方が安上がりである。私が住んでいるフィリピンの場合、現地のコテージ風の家なら 数十万円の予算で十分である。ただし、安く済ませられるのは、私のように自然に囲まれた田舎暮らしを好む人に限ぎられた話であり、都会では 地価が高く、コテージ風の家も建てにくい。

現地の自宅があろうが、友達の家に居候していようがかまわない。しばらくはそこに住み、別の場所に滞在していることも多い。このような状況をここでは半住と呼ぶ。

一大決心も何もいらず、問題があれば サッサと引き上げられ、調子が良ければ、前進すれば良い 海外半住をお奨めする。ここでは その参考として、シキホール島に半住する外国人を紹介する。

カナダ人 ダグ夫妻

ダグ夫妻

外見はシンプルなダグの家
部屋の中は、いかにもカナダのコテージという感じで雰囲気が良い。

シキホール島に来たら、是非この夫婦を訪ね参考にしてもらいたいと思うのが、カナダ人のダグ夫妻である。ダグはイギリス系のカナダ人で、母がイギリスからカナダへ移民したそうだ。妻はフィリピン人だが、彼女も既にカナダ国籍になっている。

彼らは、毎年10月から4月のカナダが寒い時期をフィリピンで過ごす。それ以外は、彼らがモバイル・ホームと呼んでいる日本ならキャンピングカーに乗って、全米とカナダを移動して暮している。米国やカナダの自然はすばらしい。特に国立公園は最高である。そういうところに しばらく滞在しながら、次の場所へと移動して行く。是非真似をしたいライフ・スタイルだ。 私は 米国に行くと、たいてい着いた町の新聞を読む。その中に中古のキャンピングカーの広告が出ていることが多く、そんなに新しいものでなければ、手頃な値段で十分手に入ることがわかる。私のように予算が少ない場合でも、彼らの真似をできなくはないはずだ。

カナダの冬は寒く、その間、彼らはシキホール島で避寒生活を送る。私は、彼らがフィリピンにいる間に彼らを訪ね、いろいろなことを教えてもらっている。家の建て方や、浄化槽の作り方など、彼らはいろいろなノウハウを知っている。

以前、私は彼らと同じアパートに住んでいた。彼らがコテージと呼んでいる自宅が完成してからは、彼らはそちらに移った。家は至ってシンプルで、外から見ると物置小屋のようだ。しかし、家の中はカナダのコテージの内部はこんなだろうと思わせるべく雰囲気良くまとめられている。外側は泥棒対策や周囲の貧しい人々の嫉妬対策のカムフラージュとも言えそうだ。

入っていたアパートはシキホール島でも1、2を争うほどの大きな家であった。ドイツ人が建てたもので、それなりのレベルの家である。しかしながら、10年以上の長きにわたり虫に食われ続けた。フィリピンでは、シロアリだけでなく、いろいろな虫が木を食べる。その家で私が泊まっていた部屋でも、柱の上のペンキをはがしたら、中は穴だらけで、うじ虫のような柔らかい虫が木を食っていた。すぐにアリがやってきてその虫を食べてしまった。

虫に食われたこの豪邸を ドイツ人オーナーが 大幅にリフォームしているのを見て、「あちらは建て替えに巨額の費用がかかるが、こちらは単なるコテージ。ただみたいなもの。問題があれば 建て替えるだけ。」と、彼らは豪語していた。

機会があれば、夏の間に彼らのモバイルホームを訪問し、そちらも参考にしたい。テント持参で、彼らの移動にしばらく同行できたら楽しそうだ。

イギリス人 ジョー夫妻

前述のアパートに もう一つの外国人カップルが住んでいた。イギリス人のジョーと フィリピン人の妻のリガヤである。アパートに居た頃には、彼らはまだ結婚する前で、リヤガは大学生であった。写真がないが、通常なら孫とおじいさんのような年齢の差である。こういう場合には、なかなかうまくいかないことが多そうだが、彼らの場合は、うまくいっているようである。5年ほど前から彼らを見ているが、いつ会っても 二人とも仲良く楽しそうにしている。

結婚する前にジョーはリガヤの両親に家を建ててあげた。8mx8m程の家で、10万ペソ(20万円余り)で大工に一括発注したそうである。現地の家族を支援したのは その程度だそうだ。貧富の差があるので、外国人とフィリピン人が結婚した場合には、通常、外国人の方が現地の家族を それなりに支援するのが当然だろう。しかし、例えば、日本の場合の典型例として、日本人男性とフィリピンパブに勤めていた女性が結婚した場合、その支援や援助は、ジョーの場合と比べものにならぬ相当な金額になり、贅沢病と依存症の現地人を育成してしまったという話をよく耳にする。その点でも、このカップルはうまくやっているようである。

フィリピンで2年ほど一緒に暮した後、リガヤのビザが下りたので、2人はジョーが所有するスペインの家に移り住んだ。その後は、イギリスの自宅とフィリピン、それにスペインを加え、適当に移動して暮している。

シキホール島に土地を買い小さなコテージが建ててあるので、現在はそこに住んでいる。さらに、大工にそこそこの大きさの家を建てさせているそうである。

彼らも、ダグの場合と似ているが、イギリスが冬の間は別の場所へと移る。スペインの家も加え、気分次第で、冬場どこに行くかを決めている。先日シキホール島で会ったときには、「片道のチケットで、フィリピンに来たが、いつヨーロッパに帰るか、まだ決めていない。」と言っていた。

スペインも物価は高くない方なので、イギリス人からすれば、手頃な値段で家を買うことができるのだろう。


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