元パソコン小僧の腕の見せどころ
日の丸パソコンの修理 @ハイスクール

2012年11月作成




日の丸パソコン

今回パソコンの修理を行った
近所のハイスクール

近所のハイスクールへパソコンを寄付するのを手伝い、そのついでに 日の丸パソコンを修理したので紹介する。

日の丸パソコンは、10年ほど前に日本からフィリピンのハイスクールに送られた25000台のパソコンのことである。正式名称があるはずだが、現地の日本人の間では、日の丸パソコンと呼ばれることが多い。実際に本体やモニターには日の丸が貼られている。

近所のハイスクールでは、当時 選抜に残って、日の丸パソコン10台が導入された。

日の丸パソコンが導入された直後、全国で盗難が頻発し、日本から しっかりとした盗難対策を求められた。それが更に一人走りして、このハイスクールでは 部屋に鍵をかけたまま長らく閉鎖されていたということだ。日の丸パソコンはOSにLinuxが採用され、世間一般に仕事で広く使っているWindowsではなかったという事情もあり、使われない状態が続いたが、OSをWindowsに入れ替え、現在では生徒によく利用されるようになっている。

10台のうち2台が壊れていたが、残りは稼動していて、時間が経過している割には状況は良さそうだった。

今回は、壊れているという話を担当の先生から聞いてしまったので、通りがかりで 修理を手伝うことになった。電源が壊れているようなので、確認のため自宅のデスクトップのパソコンから電源を取り出し、壊れたパソコンの電源と入れ替えたところ 調子よく動いた。そこで、後日ドゥマゲッティのパソコンショップに行って、新しい電源を買ってきて、壊れたパソコンの電源と入れ替えた。

電源の値段は、電源の容量などの仕様によって異なるが、何軒か当たってみたところ、店によってもかなり値段が異なった。他のものでも言えるが、いきなり飛びつくのではなくて、何軒か回って比較すべきであろう。一番安い600ペソのものを買ったが、問題なく動いている。

その他、メモリーが無くなっていたので、自宅に余っていたものを持って行った。先生の説明によると、部品取りして、他のパソコンに取り付けたそうだ。

もともと、Linuxを想定していたところに Windows XPを再インストールして、さらにメモリーを大量に占有するウイルスソフトを使っているので、導入当時からの512MBのメモリーでは 厳しくて、立ち上げるだけで、メモリーをかなり使ってしまう。快適に動くためには、メモリーを追加するか、メモリーをあまり占有しないウイルスソフトに変えるか 対策した方がよい。そこで、日本で中古のメモリーを買って、増設するつもりである。通りがかりでも、その程度のことまではやろうということだ。

パソコンを設置している教室

今回修理したパソコン
電源を交換して、メモリを追加した。



ィリピンに行ったついでに、自分でも日の丸パソコンの修理を手伝ってやろうと思う人が現れることを期待して、参考情報を以下にまとめておく。

そもそも日本の税金を投入して行われた事業なので、修理についても、さらに日本の税金を費やして行うのが筋と言えそうで、それだと、正式な窓口に問い合わせ 交渉してみるということになるのだろう。しかし、万一 メンテの予算がついたとしても、その予算が有効に使われるか疑問もあるし、そもそもそんなことに日本の税金を使わないで欲しいと思う人も少なくないはずだ。

ここでは、そもそも最初から、そういう公式な手順を踏んでおらず、とにかく現場でニーズがあるので、先生や生徒の要望に応えて、修理を手伝ってあげようというだけのことである。また、既に現場である学校が維持・管理・所有しているので、校長先生に頼まれてやっているなら、勝手にやっているのではなくて、公式な手順を踏んでいるとも言える。

学校へのアプローチ

保証の限りではないが、フィリピンのハイスクールに直接出掛けて、校長先生と直接話をしてパソコンの修理をしてあげると言えば、通常なら特に問題なく話が進むはずだ。
ここでは、日の丸パソコンの修理を目指しているので、その学校になければ、近くのどの学校に行けばよいのか、聞いてみたら良かろう。

また 学校に行く前から、現地の人に聞けば、日の丸パソコンがどのハイスクールに導入されているかぐらいは簡単に分かることだろう。

部材等の準備

修理では、ソフトウェアの対応だけで済む場合もあろうが、壊れた部品を交換することが多いはずだ。部材を買う予算がないと言われそうで、自分でメンテ部品などを手配することになろう。

どういった部材が必要になるかは、場合によるが、可能性が高いものを以下に挙げておく。

工具などの機材

プラスドライバー、テスター

メンテ部品ではないが、デスクトップパソコンの修理に使う道具として一番重要なものは、先が磁石になったしっかりとしたプラスドライバーであろう。そんなものは、学校にあるのが当然と思っていても、実際にはなくて、先生が家から持ってきているということもある。
テスターは、ほとんどおもちゃの簡単なものがフィリピンでも日本でも売られている。パソコンの修理で、電圧や抵抗を測ることは少なくないはずだ。

メンテ部品

メモリー、電源、ボタン電池、ハードディスク、ケーブル類、マザーボード、ネジのセット

どのようなメンテ部品が必要になるかは、故障によるが、例えば上に挙げた部品が必要になることが多そうだ。

メモリーのDIMMで今回必要になったのはDDRで、増設も含め 修理のコストパフォーマンスから、512MBのDIMMがそこそこあれば良さそうだった。学校によっては、PC-133等のDIMMの機種もあるようだ。これらは、フィリピンで中古品を見つけるのは簡単ではなさそうで、日本で調達した方が、オークション等を利用して容易に手に入りそうだ。その他も 電源以外は日本の方が容易に入手できそうだ。例えば、ボタン電池は、100円ショップの2個入りが一番安そうだ。ハードディスクは、日の丸パソコンの導入時期から3.5インチのIDEで 数十GBあれば何とかなろう。

最近のフィリピンで パソコン部品を購入しようとするなら、値段が安いこともあり、CD-R KINGを思い浮かべる人が少なくないだろう。近所の学校の先生からIDEケーブルが足りないと言われ、CD-R KINGで買おうとしたら無いと言われた。ケーブル類も日本から持って行った方が良さそうだ。

修理の進め方

題名に挙げた元パソコン小僧だった人からは、今回の話の後半部分は、皆まで言うな、そんなことは当たり前と言われてしまいそうで、その中でも、修理の進め方などは、特に、その傾向が強そうだ。

それでも 念のため説明しておくと、

まずは、対処療法的に、壊れたと思われる箇所を調べて、部品交換などの対応をしてみることであろう。

起動時に、ピーピピピピー等という音がして、その後ハングした場合などは、メモリーのエラーなので DIMMを交換する。電源が入らない場合には、別に正常な電源があれば、入れ替えてみる等、症状に合わせて一時対応してみて、それで修理が終われば簡単だ。

良くわからなければ、インターネットで検索してみるというのも常套手段であろう。

ここで一番取り上げたいことは、修理用に動くマシンを用意するということだ。この方法は相性問題には対応できないが、それは特殊な場合で 別途考慮してもらうとして、とにかく、動かないことから始めるのは大変だ。いろいろな可能性があり、複数の不具合が複合している場合には特に厄介だ。

これに対して、動く方から始めるのは簡単だ。完動マシンがあったとして、故障マシンから、例えば電源ユニットを取り出し、完動マシンに取り付け 問題なく動けば、故障マシンも電源は問題ないと言える。そうやって、白黒をつけていけば、どこが悪いか特定し易い。

一般的な言い方をすれば、完動マシンと故障マシンの部品を半分交換して、完動マシンが動けば、故障マシンから持ってきた半分の部品は問題なしと言える。そこで、故障マシンのダメな部分のさらに半分を加え、二分法を進めていけば、故障の箇所を毎回半分に狭められる。故障が複数あっても この方法で対処できる。

以上は一般的な話で、デスクトップパソコンの場合には、そんなに沢山に分解はできず、大雑把に言えば、まず二分するなら、マザーボードとそれ以外であろう。マザーボード以外では、その中で、さらに切り分けをすることはほとんど無さそうで、思い付くのは、電源が入らない場合に、電源ユニットの故障か、スイッチの故障かどちらだろうというくらいだ。さらに、ケーブルの故障の可能性もあろうが、よくありそうなのは、最初に二分法で分けたもう一方である マザーボードの故障ということだろう。

マザーボードからは、メモリーかCPU、ボタン電池を取り外せるくらいで、そもそも全体でも 分解して取り外し、交換できる部品の点数は非常に少ない。そういう意味では、修理は簡単とも言える。しかし、フィリピンのハイスクールにパソコンの修理に行くには、日本から マザーボードの予備くらいは持って行った方が良さそうに思え、それも仰々しい。そこまでするほどのこともないとも思える。

私の場合は、日本から バリックバヤンボックスで ノートパソコンやミシンなどを順次送っているので、その中に、メンテ部品を加えて送ろうということになる。


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