トライシクルのルートと料金

2015年10月作成




シキホールの街中にあるトライシクル乗り場

バスとは違い、トライシクルは地元の人でないと行き先やルートが分かりにくいし、そもそもトライシクルに行き先やルートがあるのかどうかすら分からないこともあろう。それで 外国人だと ついついタクシーのような使い方になり、貸切(パキヤウ)なので高額の料金を請求されやすい。予算がある人ならそれで良いとも言えるが、払い過ぎる人がいると、相場がつり上がり易く、ドライバー以外はうれしくない。私の家から5kmほど離れたシキホールの町から自宅までトライシクルで来るのも、シキホールの港から日本人が乗ると、今では200ペソくらい要求されかねない。どんどんつり上がった結果だ。最低だと10ペソで済むのでたいそうなバラつきである。

トライシクルにはルートがあり、ルート上を乗り合いで他の客と一緒に乗っていれば、距離にあわせた料金表に従って料金を請求されるだけだ。これだと非常に安い。基本のルートから少し離れた場合には、少しの追加料金か 追加料金なしで行ってくれる場合が多い。駄目なら、最寄の地点で降りて、そこから歩く。シキホールの町から私の家まで10ペソというのは、私の家はトライシクルのルート上にはないので、最後に少し歩いた場合である。

ルート上を行く場合でも、外国人だと、他の客が集まらなくても、さっさと出発してしまい、貸切(パキヤウ)料金にされる場合が多い。これを避けるには、誰か乗っているトライシクルに相乗りすることである。相乗りしないと、空席も含め、6人分から8人分程度の料金を請求される可能性がある。

自宅周辺の場合を例にとると、地元のトライシクルの起点が決まっていて、そこと市場の間を往復している。地元のドライバーが運転していて、ドライバーが住むバランガイ周辺の人が、市場に行って、買い物をして帰ってくるのが基本パターンである。これは、自分の近所だけでなくて、フィリピンの一般的な話だ。さらに、市場から別の町の市場を結ぶルートもあり、乗り継いで遠方へ行くことができる。ルートが増えてくると、市場だけでなくて、他で乗り換える場合が増えてくる。

市場で買ったお米など大きな荷物にも課金するので、トライシクルのドライバーは市場から出発する方向が儲かり、そのため、市場では複数のトライシクルが順番待ちし、満席になったら順次出発する。ただし、外国人が市場から誰も乗っていないトライシクルに乗ってしまうと、上に書いたように、さっさと出発し、貸切料金にされてしまいやすい。それでは困る人は要注意だ。

反対側の田舎から出発する場合には、ドライバーは、市場での待ち行列のリストに早く加えてもらいたいので、一人でも客が来ればさっさと市場に向かって出発してくれ、待たなくても良いことが多い。その場合は乗客一人でも問題なく定価で済む。外国人一人の場合も同様だが、その時、料金がわかないので、ドライバーに尋ねたりしたら、ふっかけられる可能性が高い。そもそも、乗る前に料金を知っておくべきで、万一知らないで乗った場合には、ドライバーではなくて乗客に料金を尋ねるというのは、途上国での一般的なノウハウであろう。

トライシクルのルートから完全に離れている場合には、パキヤウで行くしかないが、かなりの場合、乗り継ぎも加えれば、乗り合いの通常料金で行けることが多い。

乗り継ぎがあっても、仕組みが分かれば簡単だが、現地に行っていざ乗ろうとしても、なかなか分かりにくいものだ。そこで、シキホールの地元の例を使って仕組みを紹介したい。

私の住んでいるところの隣町のSan Juanから私の家までトライシクルで来る場合、直通のトライシクルがないので、パキヤウ(貸切)になることが多い。もしも乗り合いのトライシクルで乗り継ぐ場合には、基本パターンとして、San Juanからシキホールの市場行きのトライシクルに乗り、シキホールの市場で、私の家の方面へ行くトライシクルに乗り継ぐのが分かりやすい。しかし、この二つのルートは一部重複しているので、枝分かれしている交差点で降りて、そこで乗り換えた方が安くて早い。ここまで読めば単純な話であろう。しかし、言葉の壁もあり、事情が良くわからない状態で、現地でいきなりSan Juanから私の家までトライシクルで来ようとすれば、大抵はパキヤウになりそうだ。乗り継ぎだと割高で不便ということもあり、二人以上ならパキヤウが良さそうだ。

この場合に、同じパキヤウでも、シキホールの市場に向かって、私の家に近い方向に向かっているトライシクルと、反対方向に向かっているトライシクルでは料金が違ってくる可能性が高い。方向が同じであれば、シキホールへ行く途中に、少しわき道にそれるだけで私の家まで行けるので、追加のコスト(ガソリン代)も安く、交渉で安めの料金を期待できる。反対方向に向かっているトライシクルでは、ドライバーは引き返すので、乗った場所から私の家までの往復を追加のコストと考え、高めの料金を請求されがちだろう。しかし、そもそも、トライシクルはSan Juanとシキホールの市場の間をピストン運転しているので、どちらの方向に向かおうが関係ないとも主張でき、それが通れば割高説は消える。



さて、最初に掲載した写真だが、どうもここでの内容には そぐわないと言えそうだ。トライシクル乗り場だと見てすぐ分かるし、行き先まできっちり表示されているからだ。フィリピンでは珍しい光景だが、シキホールで、最近このような乗り場ができた。シキホール島を訪問する多くの観光客はSan Juanに向かうので、ここから観光客がトライシクルに乗って、20ペソ程度の安い料金でSan Juanまで行ったら良さそうだが、残念ながら、そうしている観光客を ほどんと見かけない。港で船を降りてから、この乗り場まで500mほど離れているのがネックだ。現実には、港に待機するトライシクルに乗り、高い料金を支払うか、宿の有料の送迎を頼む場合がほとんどであろう。


因みに、節約好き、Budget travellerのために補足しておくと、シキホールの市場近くから出るトライシクルは San Juanの市場近くまでしか行かない。手前にあるBruce, Coral cayなどの宿に行くなら、途中で降りるだけでよいが、市場の先にある宿に泊まるなら、San Juanの先のLaziまで行くジプニーに乗ったほうが良いと言える。
船の到着にあわせ、港からSan Juan経由Lazi行きのジプニーが出る場合も多く、それに乗れれば、San Juanの宿まで行くのに便利だ。




 
ややこしい話をごちゃごちゃ書いたが、現実はどうなっているかというと、上に書いたことも含まれるが、外国人 特に日本人が現地の人々と一緒にトライシクルに乗るというのは、時間もかかり、面倒臭いので、かなりマニアックな世界になっている。私がシキホール島に住み始めてから長い間そうしていたが、あとから住み始めた日本人は、たいてい、いきなり自分のバイクか車に乗り始め、ここで書いたようなことはあまり知らない。(反論が出そうなので補足しておくと、この文章を読んだり、誰かから聞いた結果、知っているが経験がないという状態には程なく進むだろう。)

また、旅行者は、貸切(パキヤウ)で乗るか、宿の送迎を使う、もしくはバイクをレンタルする場合が多い。

予算があるなら、便利なので それでも良いという考え方もできるが、わざわざここで取り上げて説明したのには、それなりの理由がある。

特にシキホール島に住み始めた日本人に顕著だが、この手の旅のノウハウを身に着けていなくて、一人で島から外へ、ろくに旅行もできない人が増えている。これも反論が出るかもしれないが、井の中の蛙のようではイマイチであろう。折角なのに、どこにも旅行に行けないようではもったいないし、一人で日本に帰ることも出来ないようでは困ったものだろう。

面倒なやり方を続けたほうが良いとは言わないが、バイクがパンクした時に困らないようにとか、いざという時のためにも、トライシクルやジプニーを乗り継いで移動できるノウハウを身についておいた方が良い。


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