進学シリーズ
家族総力戦 Cherry Marの場合 

2005年 6月作成
2005年10月更新


Cherry Marと母親

Cherry Marの家

次に紹介するのは、チェリマー(Cherry Mar)という女の子で、子供の学費を捻出するために、母親がマニラまで出稼ぎに行くそうである。父親は亡くなり、母子家庭で、小学5年の妹と三人家族。チェリマーは、ドゥマゲッティの大学に通い、妹はシキホール島の家でおばあさんに面倒を見てもらい小学校に通う。家族離ればなれの まさに総力戦である。

母親が出稼ぎに行くと聞いて、詳しい話が聞きたくなり、家までインタビューに行った。大通りから、田んぼのあぜ道のようなところを300m入ったところに、チェリマーの家はあった。当然のようにして電気は来ていない。こういうところに家を建てると言って、私のところのように、近所にも電気を引けるようにして、さらに、バランガイ道路をつくって 寄付すると言えば、土地は、無料と言わず、少しお金を払ってでも、もらってくれとそんなことを言ってくれそうな気がする。

チェリマーの家は、8畳くらいの小さな家だが、家族3人が暮らすには、この辺りの生活レベルでは十分なのだろう。

母親は、学校に行っていないので、読み書きができないそうだ。それでもチェリマーは、学校ではよくがんばって、成績は上位の何番目かに入り、そのため 進学予定の大学では学費を75%免除してもらえるそうである。

母親のマニラでの勤め先を訪ねたところ、よくあるように家政婦をするそうである。店員の仕事もあるが、食費や家賃がかかるので、住み込みで食事も付く家政婦の方が、丸々お金が残るので良いそうだ。しかし、先日ダバオの日本人宅を訪問した時には、一人一月1500ペソ(3000円)しか払っていないと言うことだったので、一体どれだけ給料がもらえるのか、恐ろしくて聞く気になれなかった。1500ペソの方は、ほとんど仕事をしていないので 仕方ないと言えるが、それとは違って、きっちりと仕事をするはずなので、そこそこの給料は出してもらいたいものだ。

チェリマーが選択するコースは、Commerce(商学部)とのことである。興味はあるそうだが、学費が安いのが主な理由のようだ。半期で、Commerceだと1万ペソ。そこから75%の割引があるので、下宿代や食費を入れても、何とかやっていけるだろうとの見込みである。しかしながら、割引はいつまでも続かないのは、見え見えで、消耗戦に どこまで持ち堪えられるのか、甚だ不安がある。
また、卒業しても、大卒に相応しい勤め先はなかなか見つからないという話も、以前同じ大学に、日本から協力隊員で来ていた人から聞いたこともある。

フィリピンで、学業や学費を投資と見立てた場合、投資に見合うのは、医者、弁護士、そして、外国で仕事が見つかりやすい 看護婦、介護士(Care giver)ぐらいであろう。介護士は、供給過剰になりかけているという噂もある。弁護士になるには大学に8年も行く必要があって長丁場。医者になるには、通常はマニラの大学に行くことになり、出費がかさむ。

Mirryliiの場合と同様、外国で働ける可能性が高い看護婦のコースに行きたかったが、学費が高いので断念したそうだ。

私の方で支援してあげようと言いたかったが、安請け合いはできなかった。
中古の携帯電話を5台買っていたので、そのうちの1台を、マニラに行くチェリマ−の母親に貸してあげた。現状で私にできるのは、それくらいのことだ。

ペンパル募集に登場していなかったので、連絡先を挙げておく。
Cherry Mar Balace
Pasihagon Siquijor Siquijor 6225 Philippine


2005年10月更新分

その後のCherry Marの消息を簡単に伝えておく。
彼女は、6月にドゥマゲッティの私立大学に入学するつもりだったが、学費が高いのが判明し、それは断念。 ミンダナオ島のバコロドにある親戚の家に行き、お手伝いとして 働きながら大学に通うことになった。後期から入学する予定である。
母親は、予定通りマニラに出稼ぎに行った。


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