授業参観

2008年 1月作成




先日の訪問者が、シキホール島にある小学校とハイスクールの授業を見せてもらいに行き、その報告と写真を送ってくれたので、以下に紹介する。報告にも書かれているように、フィリピンでは、見ず知らずの人物を簡単に受け入れてくれるところが良い。フレンドリーな国民性の現れであろう。


 フィリピンで学校の授業の見学が出来たのは、日本で教師を目指す私にとって大変貴重な体験になりました。今回見学したのは小学校、中学校で共に英語の授業がほとんどでした。私は日本で英語科の中学教師を目指していますが、英語力という面ではフィリピンの方が数倍上だといえるでしょう。他にも教師と生徒の関係や、授業の雰囲気など、たくさんの発見がありました。私は日本の中学校で教育実習の経験があるので、フィリピンの学校と比較していくつか相違点を挙げていきたいと思います。

・ 訪問
私がシキホール島の学校を訪問出来るようになったのは、シキホール島で滞在させていただいていた知り合いの近所に住むNoveという女性がきっかけでした。教師を目指す私をNoveが学校見学に連れて行ってくれるというのです。日本の学校では突然訪ねてきた見知らぬ外国人が学校を自由に見学するということは、まず無理でしょう。しかしフィリピンでは、それが可能でした。初めに訪問したBanban elementary schoolではNoveが理由を説明してくれるとすぐに、好きな授業を見学していいと許可してくれました。私が教室に行くと生徒達は起立して「Good morning visitor!」と挨拶をしてくれました。教師の指示で椅子と机を用意してくれ、突然訪れた外国人を快く受け入れてくれました。次に訪問したCang-alwang high schoolでは、シキホールに住む知人の近所の生徒も居て、多くの生徒が私を知人の訪問者だと知っていたので、当然のように訪問を歓迎されました。日本の学校では訪問者があると生徒は敏感に反応し、しばらくは落ち着かなくなる傾向があります。一方フィリピンでは、教師が授業を始めると生徒は落ち着いて授業に参加していました。日本とは違い、教師の立場が確実に生徒よりも上にあるので、生徒は教師の言うことに逆らえないという雰囲気がありました。

・ 授業の雰囲気
授業は60分で、多くは基本的に英語で行われます。Banbanの方では英語、数学、理科が60分で他の教科は30分だと言っていたので、学校によって違っているのかもしれません。high schoolだけではなくelementary schoolの生徒も、高学年にほとんどの生徒がある程度英語を理解しているように見えました。しかし個人差があるようで教師は英語とビサヤ語を使っていました。high schoolになるとさらに英語を使う率は増え、ビサヤ語のわからない私のとっては、そちらの方がわかりやすい授業になりました。授業の初めには、お祈りや宣誓をして始まることが多いようですが、これも多くは英語で行われました。
elementary schoolでは、日本と同じく、遊びやクイズを混ぜながら授業を進めていく教師が多いようです。生徒は教師を尊敬するように教えられているようで、教師は積極的に授業に参加しない生徒に対して厳しい態度を見せ、クラスの秩序を守っているように見えました。日本では教師は必ずしも尊敬されているわけではないので、一言では生徒を納得させられません。そういう意味でフィリピンの生徒は素直なようです。お土産に日本のお菓子を持っていったのですが、授業の途中にも関わらず、教師に続き生徒も一緒に食べていました。教師がOKすれば大抵のことは許されるようです。
high schoolについては、教師を尊敬する態度が完全に出来上がっているようで、授業中に悪ふざけをする生徒はいませんでした。それでも教師は厳しい表情を崩さずに授業を進め、全員の生徒が前向きに授業に参加していました。教師が命令し、生徒が従うという姿勢が作られているようです。現在の日本では考えにくいことだと思います。
high schoolでのことですが,授業中に教師が私のところに来て英語の説明をしてくれたので、長い間生徒は待っているという状態がありましたが、誰ひとり文句を言う生徒はいませんでした。

・ 授業の内容(英語)
英語で行われる授業を理解しているようなので、日本と比べて英語力は高いといえるでしょう。日本では英語の授業も基本的には日本語で行われるので、生徒は学校を卒業しても英語を話せません。しかも英語教育が始められるのが中学校からなので、日本人の生徒にとって英語は、数学や理科と同じように単なる教科として位置づけられています。フィリピンでは英語は単なる教科以上の意味を持っているのではないでしょうか。
elementary schoolで見学した英語の授業では発音の練習をしていました。日本人はRとLの違いが苦手なので、学校でも多く取り上げられていますが、フィリピンではSとZの発音が取り上げられていました。確かにフィリピン人はSとZの違いが苦手なのかもしれません。ZがSの発音になっているときがよくあります。地方によって苦手な音があるのは、普段話している言葉の中で、その音に対する意識が低いからでしょう。「らりるれろ」はRでもあり、Lでもあるので日本人はRとLが弱いですね。他にはみんなで英語の歌を歌ったりもしていました。
high schoolになると、やはり文法の練習などが多くなってきます。基本的にはWriting(文法)とReading(読解)に分かれています。英語で行われるので多少難しく感じましたが、内容は日本と似たようなものでした。ただ日本と大きく違うのは生徒の様子で積極的に発言をしていました。生徒はその場で自作の英文を発表していました。複雑な英文でなければ(日常会話ぐらいのものなら)生徒は自分で英文を次々と作ります。一方日本の高校でそんなことを生徒に要求すれば、教室は一気に静まり返るでしょうが、普段から英語に触れる機会が多いフィリピンではそうはならないようです。


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