クリスマス・タガログ語3題

2000年1月


パスコ違い

クリスマスのことを、タガログ語でパスコと言う。一方米国ワシントン州にもパスコという町があり、ここに行ってクリスマスプレゼントを買えば、何か良いことがあるのではないかと思っていた。ところが前者はPasko、後者はPasco。実はパスコ違いであった。案の定クリスマスプレゼントに御利益はなかった、とは言うまい。

キャロリング

タガログ語には、「クリスマスキャロルを歌いながら家々をねり歩く 」という意味のmagkaroling (マグカロリング)という単語がある。最初にタガログ語のテキストでこの言葉を見たとき、一語でこれだけの意味をよく現せるものだと感心したものである。

クリスマスに現地へ行ってみると、実際には英語のキャロリングという言葉がよく使われている。主に子供たちがグループになってキャロリングは行われる。家々では、そのお礼として、通常一人1ペソ(約2.5円)ずつ手渡す。日本の獅子舞いのようなものであるとともに、子供から見れば、お年玉のような現金収入を得られる良い機会である。

面白いのは、このキャロリングをめぐる攻防戦。獅子舞いと違い、誰でもできるので、近所だけでなく隣の村からもはるばるやってくる。兄弟が10人いても少しもおかしくないお国柄。とにかく沢山やって来るので、出費がかさむのである。キャロリングの子供たちが近づくと、家の人と子供たちの間で激しく目配せし会う。家族は子供の人数分だけ小銭があることを確認でき、受け入れても良いとなると、よそ者にはとても分からない目の仕草で合図する。歌が終わると、お駄賃が配られ、子供たちは、次の家へと渡り歩いて行く。

さてタガログ語に戻り、magkarolingのmagは、接頭辞で、日本語では名詞の後に付ける「〜する」に相当する。mag-opisina(オフィス・会社勤めする), magbasketbol(バスケットボールをする), magtenis(テニスをする)などである。しかし実際には、例えば、play basketballと言われており、日本語でゲームをプレイすると言っているような調子である。タガロク語をマスターしようとしている者にとっては、magの付く単語は結構覚え易いので、語彙を増やすのに助かる。mag mag

パスコ・パキセウ

パスコ・パキセウ(pasko paksiw)はクリスマス料理の一種だが、これを3回言うことで早口言葉とされている。パキセウは、酢醤油味の煮込み料理。特に魚のパキセウをよく見かける。日本だと魚の煮物には、砂糖が入るが、こちらは酢を用いる。魚はタガログ語でisda。 よくpaksiw na isdaというが、これは「パキセウな魚」と訳したくなる。以前、「Macな人」というような、簡略な言い回しをしていたように。

クリスマス特集

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