山下財宝

2000年9月
2001年12月更新


興味がある人のために、山下財宝に関する経験談をまとめてみたが、私自身は宝捜しには全く興味はない。興味があるのは、現地の人で貧しいにも関わらず、宝捜しにだけ時間を費やし、他の仕事をせず、ますます貧困になっている人に対して、いかに宝捜しを辞めさせるかということだけだ。
日本人が宝物を隠したという噂だけで、フィリピンでは、この国に来るすべての日本人はTreasure Hunterだと疑われている。そう言っても過言ではない。そして、私自身、何度もTreasure Hunterと疑われ、そのたびに憤慨して、反論しているが、なかなか誤解は解けない。 青年海外協力隊員の人たちも、同様に疑われて、同じように憤慨している人が多い。

さりとて、宝物がないとも断言できないので、興味のある日本の方が宝捜しをされるのは、まったくの自由である。ただし、派手に宝捜しをする日本の方が現れると、またまた、フィリピンに来るすべての日本人はTreasure Hunterだと疑われて、いやな思いをする日本人も沢山出てくる。日本人のTreasure Hunterがおられるのかどうかも不明だが、万一おられれば、そういう状況も考慮して、できればこっそりと捜していただきたいものだ。

フィリピンのシキホール島で、Maiteという村に住む知り合いの漁師に付き合って、宝探しに出かけた。漁師が言うには、島のとある海岸にある岩に、日本語の文字が書かれている。これはYamashita Treasure(山下財宝)の隠し場所を示したしるしに違いないので、一緒に行って、解読して欲しいとのことだ。

Yamashita Treasureについて、私は専門家でもなんでもないので、真偽も含め良く分からない。第二次大戦で日本軍が残して行ったとのことだが、個人的には100 % 疑っている。 しかし、フィリピンの至る所で、Yamashita Treasureの噂を聞くし、Treasure Hunterに出くわす。

DavaoのSamal島で海岸沿いを土地探しのため歩いていたら、たくさんの人から、おまえはTreasure Hunterかと聞かれた。
日本人が土地を買って、ブロック塀で高く囲み、中で何かしていたかと思っていたら、さっさと日本人はいなくなった。お宝が見つかったので土地は用無し。どこかへ行ってしまったと言うのだ。こんな噂話がDavaoでは絶えない。

シキホール島でも、Treasure Hunterは多い。
警察官が宝探しをしていることもあった。ミンダナオ島から出てきて、浜辺に架設住宅を建て、1月だけ宝捜しをしている家族もいた。果ては協力隊員まで、Treasure Hunterに仕立てられる始末。昼はボランティア、夜は宝探しに励んでいた。そして大金持ちになって日本に帰って行ったという噂が立っていた。そんなのは根も葉もないでっち上げだと、反論しても、こちらも確たる証拠を持ち合わせていないので、説得できずに終わってしまった。


Treasure Hunterの仮設住宅


さて、始めの漁師の話に戻ろう。

漁師の家族4人と私を含めて、総勢5人。小さな漁船で目的地へと向かった。場所は島の南側Canalolanというところ。岩場で人里離れている。船を岸からすこし離れたところに泊めて何とか上陸。


日本語の文字があるという海岸

早速、文字が書かれていると言われている所を、土の中から掘り起こしてみた。最初から外に出ている所もあった。その結果、あくまで私見だが、どうも日本語ではなさそうだ。この辺りは石灰岩やさんご礁の化石があり、引く波や雨の流れで溶けて縞模様ができたようだ。波打ち際で、水が引いているところにも、同様な縞模様が見かけられたので、ほぼ間違いない。鍾乳洞でも良く見かけられるように、これらの岩石は、水に溶けて形を変え易い。

文字と呼ばれているものを、いくら解読しようとしても駄目だった。部分的になんとか日本語を拾い出すことはできなくはないが、それは意味がないことと考え、止めてしまった。

縞模様が最初から外に出ていた。一部を日本語として読めなくも無いが、こじつけになってしまう。 土を掘り起こすと縞模様が出てきた。
どう見ても日本語ではない。

(参考)

知人からDetectorがないかと、しきりに聞かれるので、情報収集してみた。ワイキキの海岸で、25セントを探している地見屋が使っているようなツールだ。

Detector

インターネットを使って、宝探しのためのDetectorをいろいろ見つけられる。以下に、その例をいくつかリンクしておく。

http://www.treasurehunting.com/index.htm
http://www.detection.com/
http://www.treasurenet.com/

値段は数万円から。日本人ならポケットマネーで簡単に買える値段だ。
しかし、フィリピンでは高くて手が出ない人がほどんど。
そこで、コイルやトランジスタで発振器を作り、さらに、検出音を出す
ためのスピーカーとそれに必要な回路をつなげる。これで、簡易Detectorができるのではないかと、貧乏人のTreasure Hunterに提案。しかし回路を示していないので、それ以上話は進んでいない。

ハワイのワイキキに行くと、いわゆる地見屋さんが居て、特に朝方
Detectorを使って、小銭を拾い集めている。場所柄、小銭がたくさん
落ちていそうだが、結構、地見屋さんは苦労している。Yamashita
Treasureを探す場合は、Detectorだけでは不十分で、さらに、手がかりの情報も必要そうだ。

Scanner

エジプトの遺跡発掘などで、Scannerが活躍している場面をテレビで
見かける。シキホール島でも、Treasure Hunterの前でデジタルカメラを
使っていたら、それはScannerではないのかと聞かれた。かれらの間でも、知名度は上がっているようだ。Scannerのセンサー部分は不明だが、パソコンの高性能化と画像処理技術の発達で、土の中を調べられるScannerが手軽に入手できるのかもしれない。


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