パンツをはかない子供

2003年 9月


パンツをはかない隣の子供
カメラが初めてなので、
怖くて泣いてしまった。

フィリピンの田舎では、パンツをはいていない子供を良く見かける。同じフィリピンでも、マニラあたりの都会では、街中で そのような子供を見かけた記憶はない。

パンツをはかないと言っても、基本的には親がはかせていないのである。理由はいくつかあるだろうが、何と言っても、洗濯の手間が省けることが大きい。特に幼児の場合、おしめの洗濯が大変だ。また、紙おむつはフィリピンでも良く見かけるが、貧乏な人が使うものではない。となると手軽なのは、パンツをはかせないことだ。

その場合に気になるのが便所。手軽なので何処でも小便をしてしまう。

フィリピンでは 便所のことをCR(Comfort Room)とよぶ。 ところが、田舎の貧しい家だと、家の中にCRがないことが多く、家の周囲の茂み一帯がCRになったりしている。 もともと、牛や山羊などの家畜がいて、あたり一帯に糞をしても、そのうち土に帰り、養分になる。とても自然な状況である。私の住んでいるところのように、隣まで100m以上離れているような人口密度の低い地域では、人や家畜の糞は 自然に土に帰り、便所があろうがなかろうが、特に問題にもならない。きちっと水洗便所を作って使っているのは、私のような外国人だけだ。

便所がそのような状況なので、子供が何処で小便をしようと、同様にして特に問題にならない。困るのは私のような外国人だけ。私の家の近くに来て小便をしようとした場合に、「あっち、あっち」と言って、畑にでも小便してもらうことになる。そうは言っても 子供のことなので、実際には なかなか通じない。


さて、写真でも写っている隣の子供だが、この子は、最近、2軒隣の家に もらわれて来た二人の姉弟の一人である。先日までは、姉が毎日この子の面倒を見ていたのだが、その姉が小学校に入学したので、弟の方は さらに、私の隣の家に預けられたのである。子供を手放した親は とても貧しいし、もらった方も 実の親よりは 少しましなぐらい。同様に貧しい。従って、パンツが ほとんどないというのも事実だろう。

しかしながら、子供も、パンツなしの方が開放感があって気持ちが良さそうだし、フィリピンでは、パンツをはいていないからと言って凍死することもない。パンツをはいていないからと言って、この子が近所の子供からいじめられるとか、卑下することもない。
花より団子ではなくて、この子の場合、パンツよりバナナ。 この子が 洗ったお皿を私の家に 届けに来てくれると、「お利巧さん」と、バナナをあげるのだが、とても嬉しそうに食べている。 お駄賃代わりにパンツをあげても、あまり喜ばないだろう。


フィリピンの田舎では子沢山なことが多いが、私の場合、知り合いから子供をもらってくれと、何度も言われる。その気になれば容易に100人くらい、もらってくることができるだろう。一方、日本では、寂しいからと 子供を誘拐してしまった事件が起こったりしている。フィリピンならそのような重罪を犯さなくても、子供は簡単にもらえる。そうは言っても日本に連れて帰って育てるとなると、手続き、費用を含め大変だ。
これに対して、フィリピンの田舎で子供を育てるのは、私の見ている限りでは、日本に比べ手間は、かなり少ない。日本で子供を誘拐する前に、フィリピンに来て、子供をもらって育てたら良かったのではないかと思ったりする。


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