2005年 2月
完成した小さな舟
以前、自宅の前の海辺に流れ着いた壊れた舟を拾っておいた。その後、時間が経ってしまったが、なんとか修理して乗ることができた。
自分で修理するには手に余る壊れようなので、例によって大工を雇った。
すると、「できるだけ原型を留め、簡単に修理するだけ」という最初の思惑は外れ、利用できたのは船底の硬い木だけ。あとはすべて新しく作り直すことになり、見た目も含め、実質 新しい舟を造るのと変わらないことになってしまった。拾った舟 それでも、舟を初めから造るのは、それはそれで興味があり、大工がするとおりに任せて仕事をやらせてみた。
一人でも運べる小さな舟で、工数を私は三人日と見積もっていたが、結果は一人の大工で4日かかった。船底の板だけを取り出し、古いほぞを埋め、新たに使えるようにするために半日かかり、船底の板がある状態からだと三日半かかった。私としては、こんなものだろうと納得しているのだが、たまたま、日本から来客があり、その方の意見だと、「こんな作業は1日でやらせないといけない。こんな仕事が遅い大工は1日でクビだ。」 ということになった。確かに1日でできれば素晴らしいのだが、ほんとに1日でできるのかどうか、今のところわからない。近所の人4、5人に、小舟を大工に造らせる日数を見積もってもらったところ、4〜7日という意見であった。
フィリピンでは、材木の寸法が正確でなく、電気カンナで削り出したり、現物合わせしたりしないといけないので、日本の感覚より、時間がかかるという点も考慮してあげた方が良い。
もしも出来合いのキットがあって、パーツがすべて揃っているのであれば、大工が半日余りで組み上げてくれないと私も納得しない。とにかく舟は完成し、日本で持っているレーシングカヌーの名前のシリーズで、Dark Horse IIと名づけた。何かあると飲み食いに結び付けたがるフィリピンの一般常識に対抗して、進水式もやらず、適当に試乗を済ませた。
私の家の前は ウニが沢山いるので、獲物を入れるかごを舟に載せて、ウニを獲るのに主に使っている。
私の家の前は、ダイビングのポイントにもなっていて、連日のように、ダイビングのボートがやってくる。泳いで行くには難しい距離だが、小舟があれば、そこまでたどり着くこともできる。
作業経過
1.壊れた舟から、船底の木を取り出し、修理。 0.5日2.フレーム作製 1.5日 3.舟板の貼り付け 1.0日 4.上側のふちの木と椅子取り付け。アウトリガー作製 1.0日 その他、ペンキ塗りがあったが、これは、日を改め数回塗る必要があるので、自分で行った。全部で半日程度。
費用
材料費
材料 数量 価格 ベニヤ板 5mm marine 2枚 @385ペソx2=770ペソ 角材 1x2x12 3本 @56ペソx3=168ペソ 角材 1x1x4 約8本 約60ペソ エポキシ 500ccのペア 180ペソ 銅の釘 1インチ 0.5kg 168ペソ 銅の釘 1.5インチ 0.25kg 84ペソ ペンキ 2L 95ペソx2=190ペソ 糸 適量 約20ペソ 合計 1640ペソ ベニヤ板の2枚目は、ほとんど余っていて、20%程度だけ使った。
ベニヤ板の高騰など、原油・ガソリンの値上げに対する便乗値上げが横行していると見て間違いない。ダーウィン流の物言いをすると、この証拠となる事例は幾らでも挙げることができる。
人件費
@200ペソx4日=800ペソ
合計
2440ペソ
隣の舟との比較
隣の家にも舟がある。これは、4、5人乗れる程度の大きさで、運ぶのに6人ほどの人手が必要だ。ほんとは これを借りるだけにしておきたいのだが、重過ぎて運び出せず、役に立たない。そのため今回、別に小舟を修理することになったのである。
お隣のこの舟は値段が安かった。漁師が要らなくなったというので、隣人は子ブタ1匹(500ペソ相当)と交換したのである。中古だがまだまだ使えるので、今回の費用と比べて、とてもお得と言える。
隣の家が所有する舟 以前の話だが、今回修理した程度の舟の中古だと800ペソで売るという人もいた。
安く上げたいのであれば、うまく中古を探すのが良さそうだ。
今後の予定
今回 満足のゆく結果が得られたので、次回は、カヌーおよび小型のエンジンつきの船も作りたい。