おもちゃのミシン

2004年 5月


おもちゃのミシンを操作する
近所の高校生 Jay Ann

練習で作ってもらった
枕カバー

日本で いろいろな物を調達しては、フィリピンに持って行って、何か役に立たないかと、毎回 試行錯誤している。その中で、以前おもちゃのミシンを持って行ったことがある。日本のディスカウント・ショップで1980円か2980円、どちらか正確には覚えていないが、とにかく、おもちゃ価格で買ったものである。

近所の子供たちに試しに使わせて、何とか使えるようになったのだが、その後が続かず、しばらく そのままにしてあった。

先日 新学期を前に 学校が長期の休みに入ってからのこと。 近所の高校生が、ボールペンやノート、カバンなどを買うお金を稼ぐため、町の雑貨屋でアルバイトをすることになった。ところが、店がはやっていないようで、約束どおり雇ってもらうことができなくなった。
そこで、代わりの仕事として、このミシンを使って、私の家で使うカーテンを作ってはどうかと、薦めてみた。この高校生は何も経験がなく、躊躇していたので、まずは、練習で自分自身が使う枕カバーを作ってもらうことした。

最初に、セッティングをして、前、後ろとか本体に日本語で書いてあるのを 英語に訳し、一通り説明を行った。 その後、何日かして様子を見に行くと、予想をはるかに上回る出来栄えのものができていて、驚いてしまった。練習で作る枕カバーなので、よくあるように長方形の袋だけのつもりだったのが、冒頭の写真のとおり凝ったものが出来上がっていた。初めてミシンを使って、しかも おもちゃのミシンでこれだけできていて、感心してしまった。そこで、予定を変更して、私が使う分の枕カバーも発注した。
カーテンの方は シンプルなデザインなので、その後、簡単にできてしまった。


ミシンをフィリピンに持って行った理由は、現地で仕事が極端に不足していう状態で、これを活用して、どこかの家で、仕事ができて、収入の足しになれば良いと思ってのことである。

今回はうまくいったが、このミシンを使って、カーテンや枕カバー、衣類などを作って売れば、貧困家庭の収入の足しになるかどうかというと、そう簡単にはいかない。

人件費が安いので、デパートなどでも、かなり凝った品物が安い値段で並んでいる。カーテンが良い例で、結構しゃれたものが手頃な値段で手に入る。
そういったものと競合しても、収益には つながりそうにない。

そこで、有効活用の方法をいくつか検討してみた。

オーダー・メイド

フィリピンではオーダー・メイドが多いので、既に競合が沢山いるとも言えるが、知り合いの誰々さんが作ってくれたということが、それなりに価値を持ちそうである。近所の人や知人に、サンプルを見せて、カスタマイズしながら注文を受ければ、それなりに顧客を獲得できる可能性がありそうだ。自分の名前やプレゼントする相手の名前を入れたりといった、カスタマイズも可能だ。

貧困家庭の収入とは、あまり関係ないかもしれないが、活用方法の一つとして、自分の家ができたら、お手伝いさんを雇って、ミシンを使い、いろいろ作ってもらうのが良さそうである。カーテンや枕カバーだけでなく、ソファーのカバーその他、すべてをコーディネートして作れば、大きな付加価値を生み出せるはずだ。そんなことを日本でやったら、かなりの費用が必要になりそうだが、フィリピンでなら、お手伝いさんの月3000ペソ程度の給料の範囲でできそうである。 
しかし、これだと かなり搾取していることになりそうであり、今回のように、発注できるところを まず つくって、そこに それなりの料金を払って発注してもらいたいものだ。

他に無いものを作る

当たり前だが、既に店に一杯並んでいるものと同じものを作っていては、儲からないだろう。

私の場合の一つの例だが、以前グラナダで買ったお洒落なエプロンが手元にあって、これと類似の凝ったデザインのエプロンを次回、試しに作ってもらうつもりである。ミシンよりも このエプロンの方が高かったような気がするが、思わずフラメンコでも踊り出しそうな気が利いたデザインなので、観光客価格かもしれないが、試しに買ったのである。イタリアやスペインのデザインをベースにしたものなら、結構、競争力がありそうだ。 単なる模倣では、すぐに真似をされるというお決まりのパターンになる可能性はあるが、とにかく参考にした方がプラスになりそうだ。

これに限らず、店では買えないものが良い。

修理、手直しに使う

これも、貧困家庭の収入とは直接関係無いかもしれないが、近所の人々に このミシンを使ってもらって、破れた服の修理や、仕立て直しという大げさなものでないが、古着を別のものに作り直すのに活用できそうである。古着が うまく第三の人生を歩めれば、少しは家計の助けになることだろう。ミシンで手軽に作業ができるので、古着が復活する可能性は高まるはずだ。
古着を材料にして、通学用のカバンをつくるのが良さそうな気がするが、これは、一つ間違うと子供から嫌われることになるかもしれず、場合によりそうだ。


日本から持って行ったそのままだと、マニュアルが日本語であり、現地の人に使い方を説明しないといけないが、操作は単純であり、わざわざマニュアルを翻訳したりする必要はない。
本体に書かれている「前へ進む」、「後ろに進む」といった日本語を訳したメモをつくれば十分だ。

電池でも動くが、ACアダプターを付ければ、コンセントの電源が使える。
今回は、たまたま、日本橋で 安く手に入れフィリピンの電圧でも使えるアダプターがあったので、それを使った。出力は、4.5Vか5Vかの違いがあったが、問題なく動いた。プラス、マイナスの極性が反対だと、ミシンを壊してしまうかもしれないので注意が必要だ。極性が反対の場合は、ケーブルを切って 付け替える必要がある。

フィリピンでも、中国製で可変の万能ACアダプタを安く入手できるが、品質に不安がある。私が買ったものは、最初から出力が出なかった。


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