ある悪質なフィリピン人

2000年9月


  

かなり悪質なフィリピン人の事例を紹介する。
もちろん、善良でフレンドリーなフィリピン人は多い。
付き合う人を選ばないといけないということを示すために、あえてここで、悪質な例も紹介した。

小さな島にあるビーチリゾートでの出来事である。
このビーチリゾートは、以前ドイツで働いていたことがあるフィリピン人女性がオーナーだ。そして、弟と妹に協力してもらって営業を続けていた。

オーナーは、自分でこのビーチリゾートを切り盛りするというようなことは一切せず、経営を弟に任せていた。そしてオーナーは長い間、海外旅行に出掛け帰って来なかった。その間、弟は、船で隣の島からくる客を連れて来るくらいで、そのビーチリゾートの仕事らしいことはほとんどしていなかった。客から1回100ペソほど徴収するこのビーチリゾートの携帯電話で、毎日銀行に電話して、ドルのレートを確かめ、ドルとペソを両替しては、利益を得ようとしていた。
また、このビーチリゾートとは別に、自分で島に土地を購入し、そこで、豚を飼おうとしていた。そして、出資はしないがそこで実際に働く予定である島の若い者と、利益の取り分について1日中延々議論をしていた。さらに、何かの建物の図面を取り出し、それを見て昼間ずっと考えていた。

そして、オーナーが帰ってきた。たまたま、オーナーが帰る前後に、このビーチリゾートに泊まっていた私は、幸運だったというか、いかにもフィリピン的といえる光景に出くわした。

今まで、ほとんど働いていなかった弟が、帳面を取り出し、オーナーの前で、突然、猛烈に働き出したのである。ものを書きながら、オーナーにいろいろ語り掛け、指示を受ける。猛烈ビジネスマンのように変身した。これまでの100倍以上働き者に見えた。この様子を見ていた私は、この弟は、かなり悪党だと感じた。
その時さらに、弟は、発電機の修理代が高くて払えないとか何とか、このビーチリゾートがどうして赤字であるのかを、オーナーに納得させようと、延々と説明していた。

そして、1年近くして、このビーチリゾートに再度来てみると、もはやこの弟はこのビーチリゾートでは働いていなかった。すぐ横に、土地を買い、レストランを建てて、そこのオーナーになっていた。さらに、その横にホテルを建てているところであった。そして、ビーチリゾートの船は、いつの間にか、弟の所有に変わっていた。姉妹と弟は絶縁状態になり、姉妹はなぜ弟が突然あのようなことをしたのか、分からないと言うばかり。妹も以前はアルバイト程度で、そのビーチリゾートにいないことが多く、弟の普段の所業を、二人してほどんど知らなかったのだ。

弟に経営を任せていた二年間、黒字であったことは全く無い。弟が出て行ってから、黒字になったと、妹は説明してくれた。弟は、自分が一手に引き受けていたの帳簿を操作して、利益を自分の懐に入れてしまった。これが真相であろう。

そして、最近になって、日本の某有名旅行ガイドブックのリゾート編がこの島のことを取り上げていた。その中で、この弟が経営するレストランが一番大きく載っていたのである。悪党はなかなか駆逐されない。

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