朝か?

2004年 11月


これは単なる駄洒落である。

ビサヤ地方の田舎で、トライシクルの乗ったり、道を歩いていると、「朝か?」「朝か?」と、いろいろな人から聞かれる。「何に言うてんねん? もう昼やで。」と関西弁で答えたくなるが、これは、ビサヤ語で"Asa ka?"  Asa(どこ)、ka(あなた)で、「どこへ行くの?」と言う意味である。私の場合は、出かける時は、行き先はシキホールの町が多いので、"Siquijor"と答えることもある。

"Asa ka?"は、実際には、挨拶の意味合いが強い。北京語の挨拶の言葉は、通常は「ニーハオ」だが、「吃飯了マ?」(チーファンラマ。 マは口+馬だが、漢字が見つからないのでカタカナで書いた。)とも言う。直訳すると「飯は食べたか?」という意味になるが、「もう食べたよ。」と答えておけば、これで挨拶が完了する。 "Asa ka?"もこれに似ている。

こちらが外国人なので、ビサヤ語は分からないだろうと見なされ、”Where are you going?"と聞く人もいる。しかし、これだと、警察官が職務質問しているように聞こえるので、"That's none of your business. Are you a policeman?"と答えたくなる。ところが、これだと、ケンカを売っているようなものである。"Asa ka?"を直訳しただけで、他意はないのだろうと見なし、"Asa ka?"と聞かれたのと同様にして返事するのが良い。

外務省の海外安全ホームページの中で、 フィリピンでテロや誘拐の被害に遭わないために 心がけるべき注意点の一つとして、「関係のない人に行動予定を知らせない。」という項目がある。
これをまじめに守るとすれば、"Asa ka?" "Asa ka?"といろいろな人から聞かれても、簡単に行き先を答えるのは、よくないと言える。 そこで、使いたい言葉が「ソロイ、ソロイ」(散歩)である。日本語の「お出かけですか?」「はい。ちょっと そこまで。」が、これに相当すると言ってよい。フィリピン人は、「ソロイ、ソロイ」が好きなので、なんでもかんでも、機械的に「ソロイ、ソロイ」と答えておいても、なんら問題ない。 例えば、私の場合、日本に帰って、さらに北京の友人のところの遊びに行く途中で、誰かから"Asa ka?"と聞かれても、現地でウロウロするのは事実なので、「ソロイ、ソロイ」と答えている。嘘ではない。


道をトホトホ歩いていると、トライシクルの運転手から、「堺か?」 と聞かれることが多い。「オレは岸和田だ。」とか、「いや、関空に行く。」とか答えても何も通じない。こちらは、"Sakay ka?" Sakay(乗る) ka(あなた)で、"Do you wanna ride?"と言う意味になる。"Lakaw ra."(歩くだけさ。)と答えて一件落着。

「謀反」、「滋賀、滋賀」等 漢字で書くと、日本人にも、楽しく覚え易いビサヤ語は結構ありそうだが、機会があれば、別途まとめることにしたい。


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