バカシヨン

2006年6月作成


フィリピン人と日本人で、受けるイメージがかなり異なる言葉の一つにバカシオン(Bakasyon)がある。これに対応する単語は バケーション(Vacation)である。こちらは、日本人の感覚では、例えば、ハワイあたりに行って、高級ホテルに泊まって、おいしいものを食べて、ビーチにでも寝そべってのんびり過ごすというイメージがある。バケーションは 日本語の辞書によると、「保養や旅行などのための比較的長い休暇。バカンス」となっている。英語でも同じ意味もある。さらに辞書によれば、米国では 夏休みのことをsummer vacationと言い、英国では summer holidayと言うそうだ。「隣の高校生は、 summer holidayには、毎日 夏期講習に通って勉強していた。」というと、私の感覚ではかなり違和感があり、こういう場合は summer holidayを使いたくなる。

フィリピンのバカシオン(Bakasyon)の方も、日本と同じ意味合いに使うこともできるが、一般の庶民にとっては、高級で贅沢なバカシオンは現実的ではない。学校が夏休みに入るとバカシオンだと言っている。よくあるのは、遠くにある親戚などの家に長期で滞在することである。普通のフィリピン人はホテルやビーチリゾートに泊まるほど裕福ではない。親戚や知り合いの家に居候するのみである。逆に、フェスタなどで、遠方から人がくれば、いくらでも受け入れる。以前私が住んでいたアパートの別の部屋の住人のところに、フェスタの期間親戚がやってきた。数えてみると、6畳ほどの部屋から全部で15人ほど人が出て来たので驚いた。

フィリピン人がvacation(バケーション)と言っても、バカシオン(Bakasyon)の中の、親戚や知り合いの家に長期滞在することを指していることがほとんどで、我々日本人には、勘違いし易い。

私は 年に何度か日本に帰るが、その後フィリピンに戻ってくると、現地の人から「日本でのvacation(バケーション)はどうだった?」と聞かれることが多い。私が外国人なので、vacationという単語も含め、英語で質問される。そう聞かれると、「何がバケーションだ。日本で毎日雑用していただけだ。」 遂々そう答えたくなってしまう。

同じ洗濯(Laundry, Launder)でも、コインがつくとランドリー。マネーがつくとロンダリングになり、意味が変わって、カタカナ表記も変わることがある。バカシオン(Bakasyon)という言葉をそのまま使ってもらった方が 誤解は少ない。

停電は、英語ではblackoutだが、フィリピンでは、電圧低下を意味する 英語のbrownoutという言葉を、停電の意味で使っている。インターネット上の辞書によると、停電は、タガログ語で、bloautとなっている。 

現地の言葉と 英語や日本語とでニュアンスが異なり、誤解を生じる場合があるので、個別に注意しておく必要がある。


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