豚破産実験

2010年10月作成



フィリピンでは、フェスタに豚の丸焼き(レチョン・バブイ)を出す習慣もあり、特に田舎では普通の家庭でも豚を買っていることが多い。しかしながら、お店で売っている配合飼料を買ってきて、それだけ食べさせて育てても赤字である。餌が相対的に高い割りに 豚が高く売れないからである。近所のフィリピン人の家でも、そうやって育てて、儲からないので豚の飼育をやめてしまった人もいる。

以前、シキホール島で青年海外協力隊員をしていた畜産の専門家の話では、日本では、毎日20kg餌を与え、1ヶ月で太らせ出荷することもあるとのことだった。これをフィリピンに当てはめ計算すると、餌は値上がりしている現状ではあるが、仮に1kg20ペソとすれば1ヶ月の餌代が1万2千ペソ程度になる。しかしながら、これに対して、体重増による値段の増分は、せいぜい6千ペソ程度で、餌代が倍というのが私の見立てで、それを実証しようというのが豚破産実験である。その結果報告を印刷して皆に配り、インターネットでも公開すれば役に立つのではないかということである。

この実験を 7、8年前から試してみたいと思いながら、時間などの都合でできていなかった。豚では餌代が高いので、雑草を食べて育つ牛のプロジェクトに走ったという経緯もある。

最近では、近所で豚を飼っている人たちは、普通はキャサバやバナナなど買わない餌も与えているので、実験結果の紙を配る必要もなさそうでもあるが、今度は、近所の複数の日本人が豚を飼いだした。

そのうち一人に聞いた話では、やはり、買ってきた配合飼料だけでは赤字とのことだ。しかしながら、飼料の三割ぐらいを、米ぬかにすれば、なんとか赤字が出ないようになるということである。その人の近所では、田んぼが結構あり、収穫時期には、米ぬかを50kgを80ペソ程度で売ってくれるそうである。シキホールの市場では、50kgで430ペソから500ペソ程度取られることもあり、一方、ネグロスの山奥の村では、無料でもらえる場合もあるそうだ。いずれにせよ80ペソでも十分安く、配合飼料に比べ無視しても良い値段である。米ぬかを5割なら、私の予想と合致するが、3割で済んでいるので 少し外れていて、飼料の値上がり以上に豚の売値が上がったのかもしれない。

近所の日本人の話があったので ここで取り上げたのだが、この日本人は、毎日何キロ餌を食べたか記録を取っているところだそうなので、データが揃えばそれをもらってくるか、当初の計画どおり自分で試してみるか、次は そのどちらかであろう。次のステップに進めれば、情報を更新したい。

無料の餌

この日本人のように、米ぬかが十分安く手に入るなら、それでも黒字になりそうだが、その他もいろいろと無料または、安く餌を調達できる可能性はある。簡単に思いつくのはレストランなどの残飯で、マニラでうまく残飯をもらってきて、豚を飼育しているという話も聞いたことがある。しかし、シキホール島では難しい。島で一番大きな宿であるココグローブが唯一の 十分な量の残飯の供給源と言えそうだ。

バコロドに友人がいる日本人の話では、バコロドでは サトウキビの栽培が盛んなので、その絞りかすが大量に出るということである。それを食べさせておけば、豚は大きく育つそうだ。自分でそこそこの広さの農園を持っていれば、それなりの数の豚を育てられるだけ絞りかすも出るのだろう。農園の無い人も、無料または、安く絞りかすを手に入れられるのかどうかは不明である。

ドゥマゲッティの近郊の町にしばらく住んでいた日本人の話では、近くに空芯菜が沢山できていて、それを家族が毎日取って来て、豚に餌として与えておけば、豚は育ったそうである。空芯菜だけで十分なのかどうかは不明だが、シキホールでも、水が多いところで 空芯菜が大量に自生している場所がある。近くにそういう場所があるのなら、空芯菜も有望だろう。


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