高い野菜、安い野菜

2008年 2月作成


一時1kg180ペソまで高騰した玉ねぎ。
いろいろ入って安くて、お奨めのサリサリ

国によって、安いもの高いものが異なるのは、旅行すればよく分かることだ。

フィリピンでは日本に比べ全般に物価は安めだが、フィリピンの方が高い場合も少なくない。例えば、中古車やトイレットペーパー、牛乳などがそうだ。野菜の場合は、玉ねぎがその代表と言える。今年の1月には1kg 180ペソまで高騰した。これはシキホール島の場合で他から持ってくるため少し高めだが、セブやドゥマゲッティでも1kgで150〜160ペソ程度だった。2月になると急落して、セブの百貨店の地価食品売り場で1kg55ペソまで下がった。それでも以前は1kg40ペソで買っていた時があったので、まだ高いと思ってしまう。物価が相対的に高い日本で 玉ねぎは高くないのと比べ、1kg100ペソを越えてしまっては、目の玉が飛び出ると言いたくなる。玉ねぎの種類は、日本と同じ白いものもあるが、通常は紫の小ぶりなものが多い。

これに対して、安さの代表格は、サリサリと呼ばれるカット野菜だ。混ざっているからカテゴリーが異なるとも言えるがあまり気にすることもなかろう。いろいろ入ってヘルシーこの上ない。上の写真の袋で5ペソ。普通ならこれで二人分であろう。サリサリは、フィリピンでは普通はサリサリ・ストアーのことで、ミニ・コンビニのようなものだ。もともと「ごちゃ混ぜ」という意味で、野菜にも使われる。サリサリに入っているのは 古くてくずの野菜だと言う人もいるが、私が何年にも渡って買い続けて確認していて問題ない。鮮度で気になるのは なすびで、これは、りんごと同様、切るとすぐに変色を始める。それが気になるなら、なすびの入っていないものを選べばよい。

この二つを比較しておけば十分とも言えそうだが、折角なので、他もいろいろ食べ方も含めて紹介する。

高い野菜

たまねぎに加え、日本のカレーに使うジャガイモと人参が安くない。人参は日本でもそれほど安くないと言えるかもしれないが、ジャガイモは 日本ではかなり安い。これに対してフィリピンでは肉が安い。シキホールの市場では、骨付きだと1kg110ペソ。日本のカレーのように骨なしを買うなら、1kg150ペソ程度だ。課題は肉が硬いことだが、これは、2〜3時間煮込めば解決する。しかし5〜6時間煮込めばバラバラ事件になる可能性が高く、別途 注意が必要だ。日本のカレーとは別の野菜を使うタイカレーなどにすれば、安くて済みそうだ。

キャベツ、白菜も日本よりフィリピンの方が高い。日本の焼きそばソースを使って、焼きそばを作ることが多いが、安物のはずのキャベツが安くないと、焼きそばを作る回数も減りがちになってしまう。現地の安野菜の代表格クウシンサイで代用できないかとか考えてしまう。

白菜も日本より高め。通常スープに入れる。

日本のピーマンは1kg当たりで見れば、かなり高そうなので、それに比べれば、フィリピンのピーマンは安いと言えるのかもしれないが、青椒肉絲を作りたくなるほど安くはない。フィリピンでは、薬味系で1個買って来て、料理に加えるというのが基本であろう。皮が硬く、色も違う。中国に行っても赤椒肉絲という料理になるのかと考えてしまう。

安い野菜

つる紫

つる紫の植わっている所

クウシンサイ

ティナンコン

ティナンコンの畑

ちょっとローカルで、また独断的と言われるかもしれないが、安野菜の御三家は、つる紫、クウシンサイ、ティナンコンだ。地元でいくらでも採れる菜っ葉である。いずれも、市場で一束ニペソで売られている。二束三文と言っても良いぐらいだ。

地元でアロバテと呼ばれる つる紫は、モロヘイヤ以上にネバネバした野菜で、茹でて鰹節に濃縮のだし汁かけて食べれば、とても美味しく、いかにも日本の料理という感じである。蔓なので、上に竹などを編んで植えてやれば、勝手にいくらでも増える。日本でもここ数年植えるところが増えつつあるようだが、買えば、まだまだ高級。自分で植える人も増えつつある。

地元でカンコンと呼ばれるクウシンサイはフィリピンでは 基本は豚の餌である。豚の餌と書くと、「豚の餌にしかならない。」という表現から、人間は食べられないというふうに取られかねないが、そうではない。「高い配合飼料を買わなくても、これを餌にすれば豚がよく育つ素晴らしい野菜だ。人間が食べても もちろん美味しく、健康に良い。」という意味の豚の餌である。日本では私の地元は地方都市で、まだスーパーでクウシンサイを見かけないが、都会ではかなり売られているようだ。インターネットで検索したら通信販売で1kg1500円というのがあった。日本では高級そうだ。フィリピンでは水が豊富なところだといくらでも増える。
漢字で書くと、空芯菜なのか、空心菜なのか、もう一つ良く分からない。茎がストローのようになっていて、芯が空で空芯菜というのが非常に分かりやすい。しかし、鉛筆には芯という字を使うので、茎も芯に近そうに思うが、茎は茎なので、それなら空茎菜の方が相応しいとも言えそうだ。
Googleでは、圧倒的に空心菜の方が多い。Wikipediaまで、空心菜となっていて、覆すのは難しそうだ。
インターネット上の辞書では、芯は心に含めて説明してあるものがあった。それをベースにすると、空心菜でも空芯菜でも、どちらでも良いというのが答えになりそうだが、空心菜では、空しい野菜のようで、いまいちと思ってしまう。
インターネットでクウシンサイを販売しているサイトを見ると、クウシンサイ、クウシン菜、空心菜、空芯菜の4つの表記が、カッコ内も含め、オン・パレードしていた。普通なら表記を統一するというのが 一般的な価値観だと思うが、検索エンジン対策には、こういうことも必要なのだということが分かった。これをサリサリ検索エンジン対策と呼んでおく。

最後は 地元でティナンコンと呼ばれている菜っ葉。これは、タンコンに似ているが茎が硬いので、例えば炒めて食べるのは現実敵的でない。こちらでは、葉っぱだけを、ティノラと呼ばれる魚のスープに入れることが多い。上の二つに比べ、こちらは日本で流行りそうな気はしない。

もう一つ、カラムンガイと呼ばれる小さな丸い葉っぱがあるが、これは、まさにその辺に生えているものを採って食べると言う感じで山菜と言った方が良さそうだが、山よりも野原にあるので、やはり野菜と言うべきか。野菜と言えば普通は草だが、これは木の葉っぱだ。いずれにせよ、買うものではないと思い、ここでは加えなかったが、庶民の食べ物と言う意味では、御三家の上の将軍家ということになろう。

オクラもフィリピンでは、日本に比べ 桁違いに安い。日本だと、生で刻んで食べそうだが、こちらでは茹でて、食べることが多い。ゆでて、鰹節をけても日本人の口によく合う。
生だとあまり沢山は食べられず、安さの意味がないので、茹でた方が良さそうだ。

フィリピンで安くて
お奨めなオクラ
オクラが植わっているのを見ると、逆立ちしているように思えてしまう。

(←)サヨテと呼ばれる瓜は、角切りにして、肉のスープに入れると、ちょうど良い歯ごたえで料理を引き立てる。フライドポテトのように細長く切って、煮込んだものは、安おかずの定番として店でよく売っている。
(→)シクワは、キュウリとヘチマの真ん中のような感じで、適当な大きさに切って、卵と一緒に煮込むと、かなり日本人の口に合う美味しい料理ができる。

サヨテ

シクワ

ゴーヤ(にが瓜)は、上の写真のように粒々がびっしりで日本でよく見かけるタイプと、これよりは粒々の密度が少なめのものがある。輪切りからさらに半円に切って、卵と一緒に炒めるのが定番だ。

生姜も、日本よりかなり安いので、料理にふんだんに使われる。

茄子は、細長いものが多い。現地では、卵とともに揚げる場合が多いが、かなり油の多い料理になる。そのまま厚手のフライパンで焼いて、焼き茄子にして、生姜醤油で食べれば、まさに日本の料理になる。皮をむけば焼き過ぎも気にならない。

にんにくもかなり安めで、料理に幅広く使われる。十分火を通して使うので、通常は、臭みも無くなる。安さを活用する方法としてガーリック・ライスがお奨めだ。にんにくを沢山買って来て、薄く切って、香ばしい香りがするまで、油でカリカリに揚げて、ご飯にたっぷり混ぜる。にんにくの量で勝負すれば、かなりハイレベルなものができる。

トマトは、日本よりかなり小さく、縦長である。現地感覚ではそんなに安いとは言えないが、日本よりは安めで、これを500g余り買って来て、ブレンダーで潰して、ひき肉などと混ぜて手作りミートソースを作れば、こちらもハイレベルなスバゲッティが出来上がる。ローレルやバジルなど葉っぱをいろいろ入れれば、さらにレベルアップする。

唐辛子もにんにく同様、いろいろな料理に使われる。3本で1ペソ程度で、1ペソ買えば、大抵の料理に十分だ。

サツマイモ

ガビ

日本では、ジャガイモの方がサツマイモよりかなり安そうだが、フィリピンではサツマイモの方が安い。そこで、カレーにはサツマイモを入れようかと思ってしまう。通常サツマイモと同じ値段で売られている別の芋でガビと呼ばれているものがある。里芋か山芋に近そうにも思うが、山芋のようにネバネバしてはいない。いろいろな料理に使われるが、これを、フライドポテトにするのがお奨めだ。ちょっと細めに長く切って、カリカリに近い状態まで揚げる。それを米国式にケチャップを付けて食べる。日本のハンバーガーショップのフライドポテトよりは、かなり上の味だ。ケチャップは、フィリピンでは、バナナ・ケチャップが多いが、ここではトマト・ケチャップを選びたい。

さやいんげん(三度豆)は、日本と同じ形のものと、かなり長いものとがある。味や柔らかさが全然違うので長い方しか食べないと主張しているフィリピン人もいる。料理の切り方もかなり異なる。

チンゲン菜

スクワッシュ

カラマンシー

チンゲン菜は、シキホールでは1株だと5ペソで買えるので、日本よりはかなり安めであろう。

カボチャは英語でPumpkinと機械的に覚えていたが、フィリピンで売っているのはSquash. 日本のカボチャのようなホクホク感、クリクリ感はない。

フィリピンでレモンと言えば、カラマンシーになる。写真だけでは、日本人には金柑かと思えるかもしれないが、味は普通のレモンと同じで酸っぱい。


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