ココナツ農家の事例

2006年 5月


ココナツの木

道路わきに並べ乾燥させているコプラ

ココナツにはいろいろな用途がある。木は材木、実の中の水はジュース、果肉はフルーツ等々。ただし、もっとも一般的なのは、ココナツの実を収穫し、中の果肉を乾かしたコプラであろう。コプラは油や石鹸などの原料として使われる。他にも、例えば、果肉を取った後の殻から炭が作られるし、枯れた葉っぱや先端部分、そして実の外側は直接燃料に使われる。

先日近所のココナツ農家から、コプラの出荷実績を教えてもらったので、ここではその概要を紹介する。ココナツの木が200本程度で、年間の収入が1万ペソ程度ということであった。

基本データ

ココナツの木の本数

約200本

1本の木から採れる
ココナツの実の数

20〜25個程度
ほとんど実がない木もある

コプラの重さ

約3個で1kg

出荷袋数

6〜7袋

1袋のコプラの重さ

50〜55kg程度

コプラの単価

11ペソ/kg

人件費

125ペソx3人日

収穫1回当りの収益

約2800ペソ

収穫回数

年4回

すべての木が、毎回20〜25個の実がなれば巣晴らしいが、見た感じでは、そのような優秀なココナツは多くはなさそうである。上の表からは、平均5個程度にならないと計算が合わない。

人件費は、ココナツに木に登って 実を落として、中の果肉を取り出すまでの作業への支払いである。ココナツの木約200本に対して、3人日働いてもらわないといけないそうだ。別の場所では、ココナツの木1本当りで、代金を支払っているところもある。

収益改善

ほんの少し場所が変わっただけで、値段が大きく異なるのは、フィリピンの田舎ではよく見かけることである。例えば、子ブタの値段が500ペソのところと1000ペソのところがあったりする。
ココナツの場合なら、私の家のすぐ近くでは、ココナツの木に登る代金は、上の表の場合に比べて、3倍程度払わないといけないそうである。残念ながら、人件費は既に十分安くなっていて、このことでは収益改善に結びつかないので、他を検討してみた。

私の隣の家で聞いたところ、知り合いが昨年、コプラを1kgあたり15〜16ペソで売ったそうである。このことから、ここで取り上げている農家は、山奥に住んでいて、交通の便が悪く、それに付け込んで、業者が安くコプラを買い叩いているのではないかと期待した。そこで、価格を複数調べたところ、現在は、高くても12ペソ/kgということであった。かなり値下がりしているようである。単価で1ペソ高く買ってくれるところがあるので、そちらに売った方が収入は増えるが、期待したような大幅な改善にはならない。

ココナツで ある程度食べていけるようにするためには、200本ではかなり不足というしかない。できれば、500本は欲しいところである。将来のために植林もして欲しいが、それでは、十分な収穫をはじめられるまでに10年程度かかることだろう。通常なら、ココナツの木の植わった土地を手に入れることになろう。日本と同様、山の中の土地は非常に安いので なんとか 土地とココナツの木を増やせることを期待したい。

ココナツは 放っておけば勝手に実が大きくなるので、コプラで収入を得るのにかかる手間は少ない。他にも労力をかけられるはずなので、なんとか収入源を増やしたいところだ。そうは言っても簡単なことではないが、この農家にはよく訪ねるので、毎回よい方法がないか相談しているところである。私のところで牛飼いのノウハウを蓄積しているので、そちらの方も薦めている。


何かアイデアをお持ちの方があれば、是非連絡いただきたいものである。


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