「泊っていけ」の考察

2007年7月



フィリピンの田舎を旅行していると、簡単に知り合いができて「泊っていけ」と、言われることが少なくない。旅行の一般論としては、リスクがゼロとは言い切れないので、このような場合には、うまく断るべきということになろう。しかし、現実には、フィリピンの田舎で 現地の人の家に泊めてもらってもほとんど問題ない。そうは言っても、私が保証できるものではなく、常に細心の注意を払った方が良いのは当然だ。

シキホール島の例では、フラッとシキホール島に日本人の若い女性一人でやってきて、船の中で知り合った家族に、そのまま泊めてもらったという話もあるし、外国人旅行者が、現地の人に泊めてもらったという話は少なくない。私の場合なら、昼間、シキホール島をウロウロ歩いていたり、どこかの家を訪ねたりすると、「めし食っていけ」と言われることが非常に多い。「泊っていけ」、「めし食っていけ」というのは、フィリピンの田舎の人の専売特許のようなものだ。英語でお礼の手紙を書く時に、Thank you for your hospitality while I was in 〜と書くように、フィリピンの田舎の人々の一番の売りは、ホスピタリティと言える。

ビーチリゾートに泊っても、現地では相対的にお金持ちである外国人のオーナーが儲かるだけで、現地の貧しい人の財布は、ほとんど潤わない。そこで、直接現地の人の家に泊めてもらい、家族の食べる分を加え、食材ぐらいは自分で買ってきて、そこの家が金銭的に窮しているようなら、帰るときに少しお金を包むとかすれば、現地の人々にも、我々外国人にもメリットがあり、Win-Winを実現できる。
この話は、以前 ホームステイの薦めを書いたことがあり、その続編とも言える。 以前は あばら家ホームステイを特に取挙げたので、それを読んだ人は、かなり抵抗を感じた可能性が高い。ここでは、少し妥協すると、現地の人の家も、風が吹けば倒れそうなあばら家から、日本の一般的な家よりはるかに大きい豪邸まで、いろいろなレベルの家がある。豪邸はお金持ちの家なので、ここでの趣旨から反するので、ちょっとハードな滞在を強いられる あばら家と共に除外する。それでも、まだまだ、いろいろ選択の余地がある。先日来てくれた知人などは、伝統的なニッパハットの方が趣があって一番良いということであった。個人の好みによって、いろいろ選択できる。

書くだけでなくて、直接 人にホームステイを薦めてもいるが、その場合に課題と指摘されるのが、言葉の問題だ。
私も以前、台湾の友人のところに何度も遊びに行き、さらに現地の友人の友人が加わり、三人になると、とても辛い立場になった経験がある。当然のように現地の言葉で会話が始まる。北京語なら少しくらいは理解できるかもしれないが、現地の台湾語か福建語で まくし立てられても、さっぱり分からない。そんなのが長々と続くと、こちらは非常に疲れる。フィリピンで、日本人とフィリピン人女性のカップルの訪問者がある時にも似たようなことになる。日本語で会話が進み、フィリピン人女性は非常に辛そうである。
それでも、フィリピンでホームステイする場合には、英語でなんとかなるとも言えるし、言葉が分からなくても、私の台湾の例よりは、とっつき易いはずだ。
一番良いのは、正攻法で現地の言葉をマスターすることであろう。そこで、現地の若いおねいちゃんかおにいちゃんを講師にして、マンツーマン指導のビサヤ語1日コースか、3日コースを実施するのが良さそうだ。それは、まず私が試したいので、私の方で実験台になり、コースを確立して、他の人にも、紹介することにしたい。

その他にも、課題はあり、一番反論されそうなことは、「そんな、むさくるしいところに、泊っていられるか。」 ということであろう。 確かに普通の日本人なら、実際に泊ってみたらそうなる可能性は少なく無い。私の書いているのは、限られた人を対象にしていると言えよう。
しかし、単なるリゾッチャーだったら、フィリピンなんか来なくても、ハワイに行った方が良いのではと私なら思う。ワイキキから かなり離れたところにコンドミニアムか、ただのアパートを借りて、何人かで、1ヶ月ほど滞在して、毎日いろいろな料理を作って食べておけば、快適でコストパフォーマンスの良い極楽暮らしが実現できるはずだ。
フィリピンに来たら、現地の人と触れ合うのが一番の醍醐味と言いたい。

かなり レベルは低いが、むさくるしさの一番の課題は、便所であろう。 フィリピン以外なら、便器の上にシートがあるが、フィリピンでは、それが無い場合がほとんどだ。 一体どうすれば良いのかと頭を抱える日本人がほとんどであろう。インターネットで検索すると、いろいろな対策を見つけることもできるが、私の場合は、新聞紙を重ね、帯を作って、それを輪にして、シートとして使ったことがある。また ちょっと大きな町の金物屋に行けば、シートとカバーのセットが200ペソ余りの値段から売っていて、それを買ってくることもできる。自宅を建てれば、そんな苦労はないが、フィリピン人が建てた安コテージでも、同様の場合が多い。


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