鳴かない牛問題の顛末 

2009年7月作成   
2010年5月最終更新



(→2010年5月更新分へ)

予告編

2009年7月

突然出来てしまった父親不明の望まれぬ子牛とその母親たち

普通は人工授精のタイミングで牛が鳴くが、鳴かなくて困っているという話を別途少し書いたが、どうやらその理由が分かったようだ。どうしたものかと考え込んでいたら、いきなり子牛が2頭生まれた。別のメス牛2頭からわずか3日違いで生まれた。同じような体格のメス牛2頭だが、それにも増して、子牛が似ている。断定はできないが、どうやら、つないでいたロープが外れたオス牛1頭が、次々と、勝手に作ってしまったようだ。以前から何度も同じ失敗をしていて、前回は、悲しいほど小さな子牛が生まれた。その子牛は、目の周りに狸のような輪があるので、一目瞭然で誰が父親が分かった。この牛だけは絶対に子供を残さないで欲しいと思っていたチビのオス牛が父親になってしまった。顔だけでなく、体格もそっくりに育っている。
その親牛と、もう一頭いたオス牛は1年前に出荷してしまったので、期間的に 今回はそれ以外が父親である。こちらで飼っている中で残されているのは、現在2年と少しのオス牛だ。これが父親なら1年と少しでやってしまったことになる。一体どれだけ経てば、父親になれるのか良く分からないが、1歳になる前から、やりたそうにしていたのをよく見かけた。前回の失敗から、この牛は宮刑にするしかないと思っていながら、実際にはそうしなかったことが あだになった可能性が高い。今回は似ているとも言い切れないので、「人間なら通りで強姦ということになるが、牛の場合は、通りすがりの名無しさん、お腹いっぱい、ご馳走さん」が父親の可能性もある。ただ、状況証拠としては、父親である可能性が高いオス牛の母親だけは、うまく鳴いて人工授精できたという事実がある。他に何頭かいるメス牛は、いずれも鳴かずに困っている。以上の事実を頭に入れながら、鳴かない2頭のメス牛を改めて見てみると、あと2ヶ月ほどで子供が生まれそうなお腹に見えてくる。もう一頭、生後18ヶ月のメス牛も、早いが 既に妊娠が疑わしい。

今回の出来事も踏まえ、鳴かない問題と、望まれぬ子牛の両方の対策を考えた。子供が生まれて、2、3ヶ月したら、近所の知り合いで大きなオス牛を飼っている家にメス牛を連れて行き、しばらくの間、一緒につないで仲良くしてもらってから連れ帰るという作戦である。その後、もしもメス牛が鳴いたら人工授精をすればよい。人工授精かそれに準じる前途有望の子牛が生まれるはずである。

鳴かない牛問題の顛末と書いたが、現状では、顛末と言うのは先走りであり、今後数ヶ月してさらに子牛が生まれたら、ここで書いた通りと言え、いずれに転んでも結果を再度紹介するつもりである。


続編

2010年3月

2010年1月に生まれた子牛と母親

2010年2月に生まれた子牛と母親
母親は左の写真の母親の子

2010年2月に生まれた子牛と母親
人工授精したが、どうも日数が合わない

前回2009年の7月に、別のメスに子供が生まれたら、結果を紹介することにしていたが、半年ほどして3頭生まれた。小さいので3匹と言った方が良さそうだ。このうちの2匹は、人工授精していないので、知らない間に勝手につくって、出来ちゃった子牛である。もう1匹は、2009年の3月に人工授精したので安心していた。ところが、生まれるのが遅いので、心配になってインターネットで確認してみたら、子供が生まれるまで人間と同じく10ヶ月と思っていたものが、実は、牛の種類によって280日または285日で、ほとんど ずれがないということが判明した。しかしながら、人工授精した牛は、丸々10ヶ月を少し越えていて 計算が合わない。見た目にも、人工授精で生まれた子のようには見えない。さらには、上の真ん中の写真の子牛と、わずか3日ほどの違いで生まれた。前回の7月に生まれた2匹も、同様にわずか数日の違いで生まれ、よく似ていた。どうやら同じような事態と考えるのが良さそうである。すなわち、ロープにつながれていないオスがやってきて、2頭のメスに子供を作ってしまったということだ。今回の2匹は、色黒の母親の方により色白の子牛が生まれていて、少し状況が違うと言えなくも無いが、それぐらいのバラつきがあっても おかしくないはずだ。

他にも、もう一頭、すぐにも子牛が生まれそうなメス牛がいて、そちらも人工授精はしていない。軒並み辻切りのようにやられてしまった。実際には、怪しいのは一緒に飼っていたオス牛である。既に オス牛は ほとんど出荷済みだが、これを、私のビジネスでやっているなら、人工授精でないオス牛はすべて怒りの宮刑ということになりそうだ。しかしながら、学費のために、近所の人が世話しているのを私も手伝っている程度のことで、フィリピンなので こんなものと言う事もできそうだ。勝手に生まれてきた子牛に雑草を食わせて育てているだけなので、赤字になることはない。

世話をしている人たちの立場で言えば、ロープ泥棒が横行しているという事情もある。私の近所は泥棒が多いのは事実だが、シキホール島でかなり離れたところに住む日本人もロープを盗まれたり、隣家の電線が盗まれたそうだ。先日訪ねたマレーシアのコタキナバルに住む日本人のところでも、泥棒は多く、建築中の家には、防犯システムを取り付けるとのことだった。日本以外では、日本のような感覚でいては、盗難に遭いやすいということだろう。泥棒のお陰で、牛のメスとオスは、とてもハッピーだと言うこともできる。しかしながら、人工授精の子牛が生まれるように、もう少し画策する予定で、次回は、望まれぬ子牛でなくて、人工授精に成功した子牛の写真を載せたい。




続編 その2

2010年5月

残念ながら、人工授精の子牛が生まれたのではないが、隣家で世話してもらっている五頭のメス牛のうち五頭目も子供を生んだ。これで、鳴かない牛問題の原因は、完全に解明され、オスかメスのロープを放した隙に、すべて、勝手に子供を作ってしまったことが判明した。人工授精でなくて、カスの子牛ばかり生まれてしまったということだ。良かったことと言えば、すべてのメス牛が子供を作れる体であったことが判明したことくらいだろう。

牛の世話をしている人たちも、いい加減なことをしていては、とんでもない損害になることが、それなりには理解できたはずなので、今後は少しは改善すると期待したい。ただ、それだけでは、不十分なので、同じ失敗を繰り返しそうなオスは、乳離れする6ヶ月目になれば、有無を言わさず売り払う方針とした。この五頭の牛の最初に生まれた子牛も 既に売られて行き、代金は学費に消えていった。この子牛は半年で結構大きく育ったので、あと1年ほど育てれば、さらにかなり大きくなりそうだった。この時点で売ってしまうのは、もったいないのだが、この牛が子供を作っては困るので手放した。

最後に子供を生んだのは、縞のタイガー模様の牛で、前回は 狸のような顔の子牛を生んだのだが、タイガーらしく 前回とは相手が違うようで、今回生まれたメスの子牛は縞模様で顔つきも前回の子牛と異なっている。

面白いのは、この小タイガーと、その1ヶ月前に生まれた別のメス牛の顔つきが そっくりなことである。上唇が三角形か台形のようになっていて、これが二頭でそっくりで、母親は異なるが、容易に姉妹であることが分かる。

親タイガー

子タイガー

子タイガーの鼻と口

姉の思われる子牛
なかなかアップで顔を撮らせてくれない


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