フィリピン行きの予習

2005年6月   


「フィリピンへ行こう」では、セールストークのような書き方ではなくて、良い情報も悪い情報も 参考になることはどちらも挙げるようにしている。しかしながら、フィリピンに関して、どこにでも書かれているような常識的な内容は 他の真似をしたと言われかねないし、省略していることが多い。特に、フィリピンのイメージダウンにつながるようなことで、どこにでも転がってるような情報は、できれば書きたくない気持ちは分かって頂けると思う。

そこでお願いしたいのが、フィリピンに移住なり、長期滞在しようと考えている人なら、図書館に行けば 沢山並んでいるフィリピン関連の本くらいは、一通り目を通して頂きたいということである。どういう手口で、フィリピンに来た日本人が騙されたかといった事例が、幾らでも紹介されている。それらを一通り頭に叩き込んで、私はそんなヘマはやらないという自信をつけ、日本の常識だけで考えず、むしろ日本の常識は捨て、ゲーム感覚で フィリピンに乗り込んで来て頂きたいものである。

どうして、今頃こんなことを書いているかというと、とんもない予習不足のまま フィリピンにやってきて、失敗している人が、私の周辺でも 少なからず出てきているからである。

例えば、日本からフィリピンの人に、大金を送って、何か仕事を頼んだり、品物を買ってもらおうとしても、お金を使い込まれる可能性が高い。何も対策しないなら、使い込まれる方がデフォルトである。それを知らずに、せっせとお金を送って、大金を失った方が近くに住んでおられる。もちろん、正直でごまかすようなことは絶対しない人も沢山いるが、日本人でたいしたことがない金額でも、フィリピンに来ると大金になり、普通の人まで狂わせてしまう可能性もある。 ごまかしが効かない仕組みを確立してから送金しないと駄目である。

現地に住む日本人が、後から来た日本人をだますと言うのも、よく聞く話である。その話をすると、「日本人が日本人を騙すなんて、そんなことあるの?」と言い出す人がいるが、私に言わせれば、予習不足の とんでもなく間抜けな人である。確かに日本人で悪い人はそんなにいないと期待したいし、間違ってはいないだろう。それでも考えて頂きたい。日本でも、オレオレ君は人口の何パーセントなのかと言えば、ppmとまではいかないが、ほんのわずかの人たちだろう。それでも、片っ端から電話をかけるので、少なからぬ人が引っかかってしまう。フィリピンで他の日本人を騙そうとする悪い日本人も、ほんのわずかの割合の人と期待したい。それでも、オレオレ君ほどではないにしても、多くの人にアプローチしてくるだろう。そして相手は通常は日本人だ。フィリピンに住む限られた数の日本人の中で、自分自身もターゲットになる可能性が少ないとは言い切れない。ゲーム感覚でフィリピンに暮すなら、そう考えておくのが当然だろう。

とにかく、予習不足でフィリピンにやってきて、以前に他の日本人がやったのと同じ失敗を繰り返すことだけは、やめて頂きたい。

これを書いていると、とても悲しい気持ちになってくる。なぜなら、他のところで書いているように、一生懸命頑張っている善良なフィリピンの人たちが沢山いる。その中のとても貧しい人たちに対して、支援の手を差し伸べて下さる人が現れれば嬉しいなと思いながら、他では書いている。それに対して、ここで書いていることは、大きなマイナス・イメージとなりかねないからである。

それでも、この状況は 例えて言えば、極上のコシヒカリの中に、小石が混ざっているようなものである。そのまま食べては駄目で、最初に小石を取り除く必要があるのは当然だ。そして、小石を取り除くのは簡単なのである。

私自身は、これまでは大きな失敗はないが、今後どうなるかは分からない。そのため 自分自身を引き合いに出すのは憚られもする。それでも、それなりに予習してきたおかげで、大失敗は避けられたと思っている。少し準備するだけでも、大きな違いのはずだ。


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