放っておくと、とんでもないことになりますよ。

2010年8月作成



フィリピンでは、他人に仕事を頼んだ場合に、自分で見張っておかないと とんでもないことになることが多い。これは、フィリピンに限らず、他の多くの国でも同様だが、とにかく日本の感覚で任っぱなしにしては失敗する可能性が高く、日本の常識は通用しない。

一番要注意なのは 何度も取り挙げているように 家を建てる場合であるが、これについては最後にゆっくり説明する。

その他では、例えば 知り合いからメールで伝えてもらった事例がある。

知り合いが、フィリピンでダイビング宿を始めた日本人を手伝った時のこと。オーナーがマニラヘ用事で出かけるや否や、フィリピン人従業員は、仕事そっちのけで、冷蔵庫の食材でメリンダ作りに精を出していた。それでもオーナーが帰って来る1日前になると、全員で床掃除やらモップかけと大掃除に取り掛かり、何も存ぜぬオーナーは、お土産のドーナツを抱え、綺麗になった部屋を眺め満足げだった、ということである。

冷蔵庫の食材を食べられたくらいなら、まだかわいいものだが、お金が絡んでくると大変だ。

こちらに 訪問を希望されていた日本人で、自宅で留守番をしていた使用人がお金を使い込んだので、来る途中で引き返したという話もある。このように、現地の人にお金の管理を任せてしまうのは、問題が多い。近所の大きな商店では、レジを打ってお金を扱うのはファミリーだけだ。従業員の誰でもかれでも、レジを打ったり、現金箱からお金の出し入れをしているようなところは見たことが無い。ガソリンを入れに行ってもらう場合のインチキについては別途紹介した。

他人にお金の管理を任せても、うまくいっている事例をまとめれば、フィリピンでは非常に有効なノウハウ集となろう。そのことをなるほどと思わせる事実の典型は、CeresのバスのInspectorの多さであろう。車掌の数より 多いのではと思えるほど、沢山のInspectorが乗り込んでくる。明らか過剰と我々日本人には思えるが、四面楚歌のごとく、車掌にインチキは絶対無理だと思わせるところに意味があるのかもしれない。それでも、乗務員がバスを私用に使っている事例を見かけた。路線の途中で荷物を引き受け、後で届け先に渡している。また、路線のある家で停まり、特産品を買い付け、それをバスの終点のドゥマゲッティまで持って来て売りさばく。どちらも、個人経営のジプニーやトライシクルなら当然のことだが、バス会社の従業員が勤務時間中にやることではなかろう。

これで連想するのは、シキホールとドゥマゲッティの間の船に荷物を積み込んだ場合のことである。運搬料を取られても、領収書をもらったことがない船がある。税金も含めて、怪しい世界が広がっているのは容易に想像できる。船のオーナーは、船の運航には直接関与せず、船にも乗っていないが、そのオーナーに直接 領収書がほしいと言ったら、オーナーは苦い顔をするのか? それとも内輪で大騒動になり、乗組員の解雇へとつながるのか、想像するのは楽しいが、実行に移すと 誰かに逆恨みされて、殺し屋を雇われる可能性まで想定しないといけないのがフィリピン暮らし。と書いてはみたが、実際には 田舎なので、そこまでのことは無かろう。

家の話に近づけると、日本人の訪問者の一人が現地の人と結婚することになった。結婚相手の家が老朽化しており、とりわけ、雨が漏るのは問題で、屋根だけでも修理しようということになった。その人は日本で仕事があるので、なかなか現地に来ることはできず、お金を送って 修理させようとした。これだけで十分先が予想できるので、私はいろいろとWarningを送り、特に、現地に来た時に集中して部材を買い、大工に作業させるということを提案した。しかしながら私の提案は、普通の日本の感覚では Bestとは思えない。何もそこまで疑わなくても良いのではという話になる。私の提案に従ってもらって、うまく行っても、もしも、そうしなかったらどうなったかは分からない。結果的に登場するのが、フィリピンお勉強代である。フィリピン在住の日本人は、多かれ少なかれこのお勉強代を払って、現地のことを理解したということができよう。、このお勉強代が数万、数十万円のレベルで済んでいれば、普通の日本人なら何とかなろうが、これが 数千万円のレベルになってくると、フィリピン撤退ということになりかねない。この日本人の場合も、できるだけ少ないお勉強代で済むことを願って、私も いろいろサポートしてみた。
結果は どうなったかというと、二階の屋根を修理するだけのはずが、二階がほとんど全面改築された。この家の二階は もともと一部屋だったが、それを二部屋に拡張した。そのため費用は当然増えて、別途送ったインターネットの接続代金なども勝手に使い込み、さらに送金して、当初の予算の数倍に膨らんだ。送金したお金は有効に使われたとも言えるが、勝手に違う用途に使ってしまうのは 問題だ。

とんでもないことが、大損害になりやすい 家一軒を建てる場合の事例を最後に紹介する。

どちらも日本人だが、知り合いの知り合いがボホールで家を建てた時のこと。業者が割安の見積もりを出してきたので、任せて建てさせたら、実際には当初予算の3倍かかったそうだ。

シキホール島に住む日本人が 店を建てるのに、奥さんの親戚で良く分かっている人がいるということで、すべて任せて建てさせたところ、終わってみたら数千万かかったということだ。差し障りがあるので、私の見立てをそのまま書くことは差し控えるが、実際にかかった費用と、支払った金額には、何倍もの違いがあるのは間違いない。

別の日本人も、全く人任せにして、家が400万円。土地を含め500万円近く払ったそうだ。別途紹介している予算25万ペソの家と内容は対して変わらない。

私の知る範囲で、一番大きく騙されたのは、近所で宿を営業している日本人である。近くの別の宿の女主人に騙された。日本で働いている間に、その女主人に任せて、コテージを建てたり、土地を買ったり、すべてお任せで進めていたら、とんでもないことになった。コテージを建てるのに何年もかかっているので、私は おかしいと思って、何度も前を通ったが、大工が働いているのを見たことがなかった。これで、何が起こっているか容易に想像できたが、極めつけは、何年もしてから起こった。女主人をダミーにして、土地を買っていたが、そこに建てた自宅兼レストランが完成するや否や、ダミーが、私の土地に勝手に家を建ててどうしてくれるのかと恐喝し出した。土地の代金でも、大きく上乗せされているのは容易に想像できるが、そこに、リース代と称して、二重で大金を要求した。私はそんなテロリストのような悪党にお金を払うのは、ビンラディンにお金を渡すようなもので、そのお金が別の悪事の軍資金になるので、やめて欲しいと主張したが受け入れられなかった。その女主人の兄が、その日本人に対して、フィリピンに居れなくしてやると、言っていたという話も耳にしていたからである。すなわち、イミグレーションに賄賂をおくり、国外退去処分にさせるということに他ならない。

この話は、広く口外して、女主人の悪事を非難して欲しいと 本人からも言われている。

しかしながら、話はこれだけでは終わらない。騙された結果が、その後の行動に大きく影響しているのが良く分かる。

最初に、その日本人から 私が聞いていたのは、例えば、私のところに来るような人なら、幾らでも無料で泊めますよということで、ボランティア活動をする人を支援しますよということだった。しかし、蓋を開ければ高級ビーチリゾートができただけだ。ビジネスで がんばってもらうのは結構なことだ。しかし、残念ながら いろいろな人からクレームが来る。

現地相場で非常に高い宿泊料金を取るのなら、従業員にも それなりに還元してあげれば良いと思うが、そうはなっていない。従業員から私のところに、安日当でこき使われているとクレームが来る。待遇については、オーナーから口止めされているということだ。これくらいなら、現地在住の日本人から、ろくに働かないフィリピン人が勝手なことを言っているという反論もある。しかし、そこで一緒に働いていた日本人からは、従業員はよく働いているという別の反論もある。

そこで働いている学生は、ドゥマゲッティでNGO活動をされている日本人のところで働くフィリピン人に比べると、日当が一桁安い。そのため、学生は、学校へ行くジプニー代を払うと、昼飯代にも事欠くという有様である。一泊の宿泊費が学生の給料の2か月分以上という とんでもない労働搾取である。学生は客の日本人に支援してもらい日本から奨学金を送ってもらっているが、そもそも授業料は免除されていて奨学金は不要なはず。学生が卒業しても奨学金は送られてきているというクレームを別の日本人から聞いた。

そこに出入りしていた別の日本人によると、テレホンカードなどを立て替えて買ってきても、一度も代金を払ってもらったことがないそうだ。ボランティア活動を売りにしてビジネスをしているので、日本から支援物資が持ち込まれるが、それらが倉庫に山積みされていて、誰にも配られていないので、もったいないというクレームも同じ人から出た。

さらに別の日本人によれば、オーナーに自動車修理屋を紹介したら、修理代を踏み倒して行ったそうだ。紹介した修理屋が親戚なので、頭を抱えているということだ。

このオーナーについての同じような話は他にも沢山あるが、とにかく、最初に騙されたことが、高い宿泊料と安い従業員の給料との不釣合い等、いろいろなことに影響しているのは間違いない。少しでも、状況が改善することを望む。



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