2006年 5月
フィリピン人は料理に油をたくさん使う。このため、特に 外食を続けていると、普通の日本人なら油のとり過ぎが気になるはずだ。日本人観光客から 油が多過ぎて とても食べられないというような話も耳にする。そこで、庶民の食べ物である海藻を使って、試しに酢の物をつくってみた。海藻は、海沿いの町に行けば簡単に手に入る。一方の酢はフィリピンでは通常サトウキビからつくっていて、これも容易の手に入る。私は料理の専門家ではないが、現地の酢を使っても十分おいしい酢の物ができた。実際には、私は指示するだけで、近所の人に作ってもらった。そのため、現地の人の口に合わせ、少し多めに砂糖を入れられてしまったのだが、それも悪くはなかった。
シキホール島では海藻は非常に安い。5ペソで一家族が十分食べられる。先日海に入ったら、岩の周りに海藻がビシッと付いていた。これだと無料である。フィリピンの海沿いの町ならどこでも同じような状況であろう。これに対して、先日ルソン島から来た人の話では、マニラ近辺では海藻は高いので、残念ながら庶民の口には入らないということであった。
アンバラン(ambalang)
アンバラン(ambalang) 小魚とアンバランの南蛮漬け アンバランはこりこりとした食感のある海藻で、ゆでて適当な大きさに切って食べる。これと市場で売っていた鮎のような小魚で南蛮漬けを作ったところ、かなり日本人の口に合うものができた。トマトが入るのがフィリピン式と言えよう。その他しょうがと唐辛子も入れてある。魚を揚げてあるので、油が少ない料理とは言えないが、油の気にならない十分さっぱりした料理である。油は極力避けたいのであれば、次の料理で使っているような ゆでたイカ等を使えば良い。
シリンシリン(siling-siling)
シリンシリン(siling-siling)
トナカイの角に似た形であるシリンシリンとイカの酢の物 こちらは失敗編。 シリンシリンを酢に漬けておいては駄目だという現地の人の助言のとおり、浸透圧のためか ナメクジと塩の関係のように海藻が萎んでしまい、失敗の酢の物ができてしまった。
シリンシリンは通常ゆでずに生で食べる。毎回 つけ皿の酢を付けて食べるのであれば問題ないそうだ。シリンシリンだけ分けておき、一口分だけお箸でつまんで、その他の酢の物とあわせて そのまま口に運ぶようにすれば良いのかもしれない。
海ぶどう(ラト lato)
その他よく見かける海藻に、現地でラト(lato)と呼ばれている海ぶどうがある。こちらは、通常は 酢をかけてそのまま食べる。他の海藻と同様、5ペソでたくさんある。沖縄でお土産で売っているのもに比べると、単価は2桁以上安い。フィリピンの田舎の海沿いの町に行ったら食べないと損をする一品である。ただし、これもマニラに行けば、庶民の口に入らない値段に跳ね上がるそうだ。
海ぶどう(lato)