Sipaway Island

2011年9月


Sipaway島のBasilia White Beach

以前から一度行ってみたいと思っていたSipaway Islandへ やっと行くことが出来た。シパウェイでも通じたが 現地の人はシパワイと言っていたので、シパワイ島であろう。場所は、ネグロス島の東北部の沖合いにある。ドゥマゲッティから北へバスで約4時間のサンカルロス(San Carlos)市に属し、沖合い2kmほどのところに浮かぶ幅1km程度、長さ5km余りの細長い島である。ほとんど平坦で、移動には便利だが、山がないので、当然予想できるように島民は水で苦労している。

Google mapには 昔の名前で出ていますが、Google earthではSipaway Islandとなっていて、現地でもそう書いたり、呼んだりしている。

地図と航空写真があった方が分かりやすく、Google earthの説明を読んだら、Google earthの画像を使っても良いようなので、参考のため、以下に掲載しておく。

Sipaway islandの位置

Sipaway islandの航空写真

行き方

サンカルロスのCeresターミナル

島へ渡る舟の上の様子

Dapdapの船着場

サンカルロスまでの行き方は、ぼほ以下の3つのどれかであろう。

1.ドゥマゲッティからCeresのバスで サンカルロスまで。 約4時間(今回の私の経路)
2.セブから陸路でトレドまで行き、フェリーでサンカルロスに渡る。
3.バコロドからCeresのバスでサンカルロスまで。

その他、ニッチな経路では、バコロドから山の上のマンブカルまで行き、温泉につかってから サンカルロスを目指す。もしくは、バンタヤン島から、船でネグロスに渡り、そこからバスでサンカルロスを目指すという案もあろう。以前バンタヤン島に行った時に、ネグロス島行きの船を見送った経験がある。

サンカルロスでバスターミナルに到着すると 食堂が沢山ある。そこで腹ごしらえをしながら、買い物をする場所や、船着場の場所を、店の人に尋ねたところ、答えは、行き先がどこでも、「ラヨ(遠い)、トライシクルに乗れ、10ペソだ。」 それしか返って来ない。対抗して歩き出すが、場所が分からないので、仕方なくトライシクルに乗る。トライシクルの運転手が言うのも「ラヨ、だから乗れ。」であるが、乗ってみると、わずか200m程しか無かった。買出しを終わって、またまた10ペソ払って、トライシクルで船着場へ向かった。

料金は、ドゥマゲッティだと8.5ペソで、この町ではエンジンなしの自転車タイプも沢山あり、それぞれ定価は10ペソでなくて もう少し安そうだが、細かくは追求しなかった。

明瞭会計な船の運賃

フィリピンで小さな島へ渡る時に気になるのが、船のボッタクリ料金である。ドゥマゲッティの近くのアポ島がその典型で、20ペソから1000ペソくらいの間でぶれる。しかしながら、この島へ渡るのは明朗会計で、Dapdap行きが10ペソ。エルミタ行きが20ペソと決まっているので安心だ。と言いながら、帰りに船の中では、外国人の私が乗っているのを見て、あっちこっちで、パキヤウ(特別料金)だと ささやき出したが、皆と同じ料金を払ってそのまま船を降りた。


舟のスケジュールは、明確には確認できなかったが、行きは午後1時のDapdap行きに乗り、帰りは午前8時エルミタ発の舟に乗った。島民の話を聞くと、メインの経路であるDapdap便は、1時間程度の間隔であるようだが、エルミタ発着はあまり便が無さそうだ。それでも朝8時の舟が第二便ということだった。ただし、時間は適当で、客が一杯なら8時に出発するが、そうでなければ、8時半まで待つということだった。実際帰りの便の乗客は7人だけ。半分以下で、出発したのは8時半だった。
この島のハイスクールの生徒はサンカルロスへ通学するので、早朝のサンカルロス行きと 午後5時前頃のdapdap行きは便が多そうだ。夕方バイクの後ろに乗り下校する生徒を沢山見かけた。

交通・電気など

Dapdapからエルミタまでは4kmほどの距離があるが、バイクタクシー(ハバルハバル)で20ペソとのことである。到着した時には、何も聞かず勝手に判断して、荷物もあるので30ペソ払えば良いかと思ったが、気の良いドライバーだったので40ペソ払ったら喜んでいた。ドライバーに直接幾らと聞いても、It's up to you.と言われてしまう場合も多いし、値段を聞くのは、「私は値段を知らないので、好きなだけ請求してくれ。」という意味にもなりかねないので、なかなか難しい。乗り合いだったら、他の乗客に聞けば良いし、乗る前にドライバー以外の地元の人に値段を教えてもらっておくのが正解だろうが、港で待っているバイクに乗る場合にはどれも難しい。払い過ぎは、外国人価格を形成していく元になるし、この島では、距離や場合によって10〜30ペソ払っておけば良さそうだ。とにかく、乗り物に乗ってもそんなに高くない。適当に歩いて、疲れたらバイクタクシーに乗れば、大抵は事足りそうだ。
さらに効率よく島の各地を見て周りたいのであれば、誰かにバイクのレンタルを頼めばよいだろう。ただし、ほとんど観光地化されていない普通の島なので、レンタルバイクの看板は見かけなかった。

電気は、小さな島でありがちだが、ちょっとだけよで、午後5時半〜午後11時半だけ供給される。

携帯電話の信号はバーが最強まで上がって、インターネットの接続も調子が良かった。刺青GlobeのUSBモジュールで試したところ、最大1.8Mbpsまで出たが、反対に止まってしまう場合も有るような無いような、 それでも十分使えた。

宿泊施設

Basilia White Beach Resort P700〜 @エルミタ
Cristal Beach & Pension House P900〜 @エルミタ
Whispering Palms Island Resort 25Euro〜

事前と現地で調べた範囲では、この3箇所が見つかった。

今回泊まった
Basilia White Beach Resort

Basilia White Beach Resort
のコテージ

Cristal Beach & Pension House

当然のように、一番安いWhite beachを目指したが、写真のようにコテージは少し老朽化していて、700ペソでは高過ぎだと思う。しかし、初めて来たことでもあり、他に選択肢が見つからなかったし、来る前にはここが良さそうと思っていたので、この宿に一泊だけして帰った。部屋は十分広いが、こちらが希望するのは、もう少し狭くてもよいから、値段が安くて、風が抜けて涼しいコテージである。

水は、お便所用の海水は無料だが、体を洗う分には、ポリタンク1個の水が12ペソで有料である。対岸から持って来たものだろう。

宿に着くや、管理人から、隣のCristal Beachに泊まるように やたらと勧められた。こちらは水は有料だが、あっちは無料だ。こちらは電気は通常の家庭用と同じで夜しか来ないが、あっちは、ジェネレーターがあるので一日電気が来ている。こちらは、レストランがないが、あっちは、レストランある。部屋もあちらの方が綺麗だ等など。ここまで言われると、この管理人は、Cristalのオーナーに買収されていて、バックマージンをもらえるのではないかと疑いたくなるが、流石にそれはなくて、正直な管理人で、後からクレームが来ても困るので、きっちり説明してくれているのだろう。

どう言われようと、広い敷地とビーチを一人で占有できるメリットは大きく、White beachに泊まった。

もしも、また来る機会があるなら、ホームステイ先を探すことになるはずだ。舟の運賃が安いので、サンカルロスの安宿に泊まって、舟で島へ渡り、泊めてもらえる家を探すという手順になろう。シキホールの私のところでも無料コテージをやっているくらいなので、実は安コテージがあるかもしれず、それが見つかれば、そちらに何泊かするのも悪くない。

エルミタ

島民の話では、この島にはErmita(エルミタ)、San Juan(サンヌワン、サンファン)の二つのバランガイ(村)があるそうだ。ここでは、前者はエルミタと書いて、後者は発音でもめそうなので、San Juanと書いておく。エルミタは島の南側で、人家が集中しているのは、南の端の海岸周辺の部分で、1000人くらいの人が住んでいるが、ガマイ(少し)だそうだ。もう一つのSan Juanには、ダグハン(沢山)人がいるとのことだ。

エルミタの中心部

エルミタ小学校
しばらく様子を見ていたら、子供たちに写真を撮ってくれとせがまれた。

行列が出来るコーヒーショップ

人気のコーヒーショップ

女主人がコーヒー豆を煎るところ

ここでの一番のお奨めは、いつも人がたむろしている人気のコーヒーショップである。フィリピンの安飯屋をお食事処と書いたら、そんな良いものかと反論されそうで、こちらも 正確には、あばら家コーヒースタンドというところか。こんなむさ苦しいところでは、コーヒーなど飲んでいられないという人は、ここでは、そもそも想定外の読者と言えよう。フィリピンの庶民の生活はこういう場所にあるものだ。
コーヒー豆を挽くだけでなく、煎るところから始める本格コーヒーが わずか5ペソ。1ペソの揚げパンを5個食べて朝食は10ペソ。ここでは一昔前の値段がそのまま残っている。これがベトナムなら、値段も聞かずに飲み食いしたら、ぼったくられて、散々な目に遭うところだが、ここでは、そんなこともない。
しかしながら、気になるのは、宿代に700ペソも払っていることとの対比である。そんなに払っているなら、私のところにももっと払ってくれと、いつ言われるとも限らない。話していると、どこに泊まっているという話題が必ず出るのが不安のタネだ。

余談だが、このようにして、以前失敗したのが、シキホール島で土地を入手しようとした時のことだ。その土地の値段は、近所の人の意見をまとめると3万ペソということなり、それよりはもう少し払えるので6万ペソで話を決めて、測量して分筆も済ませた後で もめた。
たまたま近くのビーチリゾートに私が泊まっていた時に、オーナーの一人がそこへ訪ねてきた。それで、そんな高い宿代を払っているなら、土地代ももっと払えと言い出したのである。既に話をつけてあるので、直接私には言えないが、持分のある別のオーナーで、値段を吊り上げるのに賛同してくれる人を探してきて、「その人が この値段では安過ぎると言っている。」というようなことを伝えてくる。
土地の売買に同意してもらうため、地権者である親戚を回って話をつけてくると言うので、私は、この胡散臭いオーナーがミンダナオへ行くための旅費を渡した。そしたら、自分の内心に賛同して、売買に反対してくれる人を探しに行っていたことが発覚し、怪し過ぎるので話は破談に終わった。
交渉には爪を隠せということになろうが、高い宿に泊まっているということ自体が、現地の貧しい人には面白くないとも言えるので要注意だ。

余談はこれくらいにして、行列が出来ると書いてしまったが、これは正確ではなくて、フィリピンなので行列は出来ない。皆が私の分を早く注いでくれと、カップを持って、取り囲んでいるだけだ。しかし、押し合いへし合いの混乱はなくて、のんびりしたものだ。こちらも急がないので、我後にコーヒーをついでもらった。びっくりしたのは、自宅から巨大なカップを持って来ている人がいることだ。1リットル近く入りそうな大きなカップで、この人は、一杯幾ら払うのか気になったが、聞かずに終わった。

行列ができる惣菜店

こちらも、実際には行列はできずに、人が回りで群がっているだけだが、人気の惣菜店がある。呼び方についても、コーヒーショップと同様、あばら家おかず屋とした方が正確だろう。日本語でも食堂、大衆食堂、めし屋、お食事処、レストラン、キッチン、割烹、料理店など、食べ物屋にはいろいろな呼び名があるが、フィリピンでもCarinderiaカリンデリア、Canteen カンティーン、Eatery イータリー、Turo-turo トロトロ、Kainan、Restaurant, Resto barなどいろいろ呼び名がある。しかし、ここを現地の人が何と呼ぶかと言えば、このどれでもなくて、お店の意味のTindahan ディンダハンであろう。もしくは、店をやっている人の名前であろう。日本語の方は、あばら家では気の毒なので、これは、安おかず屋と呼ぶのが相応しそうだ。
近くにフランス人経営の宿があり、そこにはレストランもあるのだが、そんなところはパスして、やはり庶民的なところに行きたい。食事時になると近所の人が群がっていて、そこでおかずを買っていたので、その中へ入り込み、食事中の亭主の横に座って、おかずを注文し、ご飯も用意してもらって夕食とした。おかずの値段は量にもよるが、大体一品5ペソで皆が買っている。二品食べて25ペソ。モンゴス(緑豆)のスープの中に、巻貝が入っていて、それが3個で5ペソということで割高になったが、それでも25ペソは安い。モンゴスの豆自体は多くないが、野菜が沢山入っていて美味しかった。バナナの花の料理も美味しくて、貝はやめて、この二つのおかずで、10ペソの予算で大満足だ。近所の人たちは、家族の人数によって、10ペソから20ペソほど買って、夕食のおかずにしていた。歩いて簡単に買いに来れるので沢山売れ、沢山売れるので、安く売っても薄利多売が可能になる。使う材料も島で採れるものが多い。コーヒーショップと同様、一昔前の値段が続いて、財布の優しい。

安おかず屋(向こう)と焼き鳥屋(手前)

その他の様子

香港人オーナーの豪邸
建築中で年末に完成するそうだ。

犬ものんびりお昼寝
この島の犬は吠えないのが良い

早朝の海と空

村で見かけた仲良しの二人組み。しばらくしたら、前の子が後ろの子を泣かせていた。けんかもするが仲が良い。

エルミタからの舟

町外れをウロウロ

小さな集落なので200mも歩けば、人家が無くなる。途中で近所の子供に聞いたら、海沿いがダラン(Dalan、小道)があると言うので、行ってみた。ダランは、マレー語のJalanと親戚なのだろうが、Jalanは大通りなので大きな違いがある。
しばらく進むと、行く手を阻む大きな牛がいた。しかし、長らく牛飼いをしているので、牛の扱いには慣れていて、道をどいてもらって、さらに先に進んだが、特に何も無いので、引き返した。

行く手を阻む牛

村の外れの様子

牛も食わぬ臭い葉っぱ
牛がいると この葉っぱだらけになると
いう悲しい現実だ。

San Juan

折角なので、San Juanにも行ってみた。舟の便が多いDapdapもSan Juanの一部で、船着場にはバイクタクシーがたむろしているので移動の起点に便利である。

船着場のあるDapdapの町
店や食べ物屋が多い。

San Juanの中心部
バランガイホール前

引き潮時のマングローブ林
(島の東側)


以下は趣味の世界と言えそうで、普通の人は読み飛ばしてもらったら良さそうだ。

マングローブ考

Google earthで見ても分かるが、この島の海岸の多くはマングローブが取り囲んでいる。この島ではどうか不明だが、一般にマングローブの植林に取り組んでいるNGOの話をよく耳にする。しかし、マングローブは多長多短で、少なくとも観光の観点からは、マイナスの要素が強い。ビーチで泳げないし、綺麗な海を見る邪魔になる。海水浴の観光客が来るのは砂浜で、それが駄目でも、岩場で海の眺めが良く泳げる場所ということになろう。

こんなことを書いていると原発事故で有名になった武田教授のことを思い出す。事故のかなり前に撮ったyoutubeの映像があり、面白そうなので見てみた。以前にペットボトルのリサイクルについて検討したら どう計算しても、その処理のために、ペットボトルを作るために使うよりも何倍もの石油が必要になることが分かったので、リサイクル不要と学会で発表したら、猛反発を食らい、売国奴の烙印を押されたそうだ。

マングローブは、最近なら地球温暖化の対策への効果が特に強調されそうだが、反対に短所を書き並べるようでは、武田教授と同じように言われかねないだろう。しかし、この島のように厚くマングローブ林に囲まれると、もう少し海が見えた方が嬉しいと思う人も多そうで、観光にマイナスであることは間違いなかろう。

津波への効果も気になるところだが、ここのように200mほども厚みがあるような場所なら、波を砕いてくれそうにも思う。反対に、大津波の到来に気づくのが遅れるということもあるかもしれないが、その前にさっさと逃げないと駄目だろう。

個人的に気になるのは風である。海から涼しい風があるので、私は海沿いに住んでいるが、風の有無がエアコンの要不要を決めていると言っても過言ではない。エアコンを使うかどうかで電気代は大違いで、エアコンが必要なくなれば、日本では原発も不要という話になるはずだ。フィリピンと日本では、場所も違うし、話の流れが飛んでいると言われそうだが、風を有効利用するというのは悪い話ではない。その場合、マングローブに大きく取り囲まれては厳しいものがある。

お水の話

軒先に並ぶ家庭用貯水ポリタンク

対岸から水を運ぶ船

小さくて平坦な島の常で この島でも水が足りない。上の写真のように対岸からポリタンクで水を運んでいる。上に挙げた宿の中で一番高級なところでも、基本は雨水で「雨が少ない時期には節水をお願いする」と 宿のサイトに書かれている。

送水実験案

ただふらふらと物見遊山に来ていているのではないという気概が今回の旅でもあって、各地でできる支援のネタを探そうと思っている。シキホール島で進めている取り組みの中で、子供たちにノートパソコンを貸し出すのを ここでもできれば良いのだが、最近は便利な自習ソフトが沢山あるものの、定期的に来てフォローする必要があり、現状ではそれは難しくて いつか時間の余裕ができたらとしか言えない。

それ以外で支援の取り組みについて、いろいろ考えてみた結果 思い付いたのが送水実験である。これも時間的な制約で、すぐに試せそうにはないが、アイデアのメモとして、ここに残しておきたい。

日本でも瀬戸内や八重山の離島などで、送水管で給水するのは 広く行われている。これが日本なら、この島はとっくの昔に、それが行われているはずだし、対岸と最も近いところはわずか1.5kmしかないので、海底送電も行われているはずだ。小舟でなくて、車も結構乗せられる船が 公共機関により運営されて十分な頻度で往復していて、この島の不動産の価値が大いに上がるというのが当然のように想像できる。日本でよく見かける山がちな島ではなくて、平坦な島なので、土地の使い勝手は非常に良い。

日本ではこのように開発が進みそうだが、フィリピンでは予算もなくて、そのまんまであろう。海底送水管の写真や敷設工事の様子はインターネットで簡単に検索できるが、それを見る限り、コスト面から、この地で実現するとは到底思えない。そこで考え付いたのが、フィリピンで普通に使われている樹脂のパイプによる海底送水ある。
私の自宅でも、パイプを1.1kmほど買ってきて、本管からつないでいる。電気も水道も枝葉の部分は自分で材料を買ってきて接続せよというのがフィリピンの田舎の流儀で、日本でも未開の地はそうなろうが、とんでもなくコストがかかるので、普通はやらないだろう。

パイプは、内径1/2インチのものなら、2km買っても10万円もかからない。海ではないが、私が自宅用に1.1kmパイプをひくくらいだから、この程度の距離なら、予算面も含めてなんとかなるのではないかとも思えてくる。

ただし、パイプは300m単位でしか売っていないので、うまく継ぎ合わせる必要がある。陸上用では、樹脂のジョイントが売られていて、それでつなぎ合わせれば良いが、海水中ではそれは使えそうにない。熱可塑性のはずなので、熱を加えて接続できたらよいが、インターネットで検索してもその手の話は見つからない。 熱で着かなくても、新たなジョイントを作ればなんとか接続できそうにも思えるので、接続可能と仮定すれば、なんとか両岸をパイプで接続することができるはずだ。

しかし、もしも海が深い場合には、圧力でパイプに問題が生じないのか?とか、距離が長いのも含め、海の底まで沈んで、対岸に上がってくる配管で、容易に水を送れるのか? 等、いろいろと素人の疑問が沸いてくる。

それもクリアできたすれば、例えばパイプの内部の断面が1平方センチメートル、水の流速を秒速1mとすれば、1ヶ月を30日として約260立方メートルの水を送ることができる。約20リットル(〜22リットル)、日本より少しだけ大きめのポリタンク入りの水を、宿では12ペソで販売していたが、これを5ペソと仮定すれば、約6万5千ペソの値打ちになる。単純に、これで水ビジネスでも始めたら、水運搬業者から刺客でも送ってこられたら困るが、ここでは支援が目的なので、実用的に使えることが示せれば、住民の役に立つのは間違いないだろう。

実験では、送水できることを示して、しばらく島民に水を使ってもらえれば十分だが、ずっと運用するのであれば、パイプの信頼性に不安はあるので、複数設置して、穴が開いたら引き上げ、予備と入れ替え、引き上げたパイプは修理するという運用になろう。

日本の公共事業のようにやると、すぐに億単位の話になり、フィリピンでは費用対効果が見出せないので、現実的ではなくなりそうだが、10万円程度の予算でできそうなことなら、個人で試してみるのも悪くない。そう思って書いてみたが、結構仰々しい話になりそうなので、書きながら別の案も考えたので、それを次にまとめておく。

雨水タンク

雨水タンクは 普通は家の屋根に雨どいを取り付け、その水をタンクに貯めるもので、個人の家で広く利用されている。しかし、屋根の大きさに限界がある。そこで、以前見てきたユカタン半島のマヤ遺跡のウシュマルで行われていた地面に降った雨水を貯める方法を参考にしたい。これだと、土地があれば、あとは頑張ればいくらでも水を集めることはできる。ただ、地下に水を貯めるので、沢山水を貯めたいなら大きな穴を掘らないといけない。地面が砂や土なら簡単に掘れるが、岩だったら大変だ。私の家でも便所のタンクを掘るのに、地面が岩なので チャンピオンを連れてきて 長い時間をかけて掘ってもらった経験がある。

そこで思いつくのが、土手の横のタンクである。平らな地面か少し傾斜地で下がっていく方向に土手がある場所を利用する。土手の上の地面に防水剤を加えたセメントを薄く敷いて、雨水を集める。そして土手の横を覆って、コの字型のようなイメージのダムのようにして雨水を堰とめるタンクをつくる。上にはカバーをしてボウフラがわかないようにし、溜まった水を近所の人に洗濯用などに使ってもらう。実現すれば、喜ばれるのは間違いないだろう。

ウシュマルで見かけた雨水を集める
設備 中央の地下に水瓶がある。


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