やせるパン、太るパン

2007年 11月作成
2008年 2月更新




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やせるパン

やせるパンと書けば、通常なら、食べればダイエットに効果があるパンということになろう。しかし、今回は、やせ細っていくパンの話である。フィリピンでは、インフレが続いていて、パンの値段も上がる方向なのだが、1ペソのパンを2ペソにすれば、大幅な値上げになってしまう。1.25ペソというのも支払いにくい。そこで、実質的な値上げの方法として、パンの大きさが少しずつ小さくなっていく。そして、ある程度まで小さくなれば、急に大きくして、値段を2ペソにするというようなことが行われる。パンの大きさだけ見ていると、横軸が時間、縦軸が大きさとすれば、のこぎり波のようになっている。

私がいつも買っていた食パンは、これまで長い間20ペソであったが、つい最近22ペソに値上げされた。そちらは、ちょっと値上げしても、支払いがそれほど面倒でもない。
ところが、5ペソや10ペソのパンの場合には、1ペソと同様、切りが良いので、値上げは難しいと言える。写真のパンは10ペソのもので、美味しいので、朝食に好んで食べていた。このパンは、5年以上は同じ大きさが続いていたが、最近買ったら、これまでより2〜3割小さくなってしまった。これまでは、一人なら朝食一回で食べるのは無理で、次の朝も同じパンを食べていた。ところが、先日買ったものは、1回で食べきってしまえそうなサイズまで小さくなってしまった。小さくなったのが写真のパンで、比較の対象がないので分かりにくいが、とにかく小さくなったのは間違いない。

別の5ペソのパンで、これまではカップケーキのような形に近かったものが、かなり、ペシャンコになってしまったものもある。

現地の人の話では、パンやお菓子で、中を空洞にして、空洞を徐々に大きくしてゆき、皮を薄くしていくという手法もあるらしい。

この手のやり方は、フィリピンの専売特許かと思っていたが、最近は日本でもテレビでよく聞かれるようになった。お菓子の原料が高騰してきたので、内容量を少し減らすということだ。テレビで言っているのは、これからそうするということだが、よくよく考えると、これまでにも、お菓子の箱が以前より小さくなったと思うのはしばしばあった。


(2008年2月更新)

太るパン

前回、上記のやせるパンの部分でも取り挙げているように、パンのサイズがある程度まで小さくなると、今度は、値段を上げて、サイズも大きくするが、値上げ分ほどには大きくならないという実質値上げの手法が使われる。

上の写真の右側の二つのパンは、現在は1個2ペソである。しかし、少し前までは、1ペソで、これより小さかった。1ペソ時代は、かなり小さいパンで1口で食べるのにちょうど良かった。ちょっと割高な感じだったが、菓子パンでも、一口サイズなので、ほんとにお菓子のような感じで食べられ、朝食に一人で15個くらい買ってきて食べていた。 しかし、2ペソ版では、一口サイズではなくなり、どこにでもありそうな普通のパンに成り下がってしまった。ちぎったり 切って食べるのなら、大きさはあまり関係ないが、小さくてかわいいという以上に、一口サイズに他の店にない付加価値があった。そこを 店のオーナーは理解しておらず、普通サイズになってしまったので、その後 ほとんど買っていない。異論もあろうが、一口サイズの付加価値というのは、かなり多くの人に認めてもらええるはずだ。

1ペソ時代にも、いろいろなパンの種類があった。写真のものの1ペソ版も当然あったのだが、フィリピンでよくあるアンパンのような Mongo Breadの1ペソ版が一番美味しかった。2ペソ版では、それが、たまたま見当たらなかったので、類似品を買ってきて その写真を示しているが、大きさは同じ様なものである。因みに、皿の大きさを測ってみたら、直径22cmであった。

この例では、一口サイズに付加価値があり、通常のやせ、太り+値上げというプロセスでは、うまくいかない。しかし、失敗だと言いたいこの場合も含めて、フィリピンでは、この方法が広く使われている。

パンの大きさと販売時期のグラフを書くとノコギリ波のような形になる。


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