いか、かつお生活

2007年4月作成
2008年2月更新


市場で売られている いか と かつお


シキホール島は海に囲まれているが、市場で売られている魚の値段は、残念ながら、年々上昇している。特に、ここ1、2年は、漁船のエンジンに使うガソリン代の値上がりもあってか(??? 手漕ぎの舟が多い。)、全般にかなり高くなった。種類によって、例えば、現地でアンドゥハウと呼ばれるアジの一種の大きめの魚などは、ここ1、2年で、50%ほど値上がりしてしまった。
そんな中で、庶民の味方と言えるお手ごろな魚介類が、いか と かつお である。と言っても、小さないかと小さなかつおである。それぞれ、1kg20〜30ペソと1kg30〜40ペソ程度の値段で売られている。

小さないかは、現地ではルマヤガンと呼ばれている。ゆでると 日本のスーパーで パックに詰めて売られている富山産の蛍いかと同じものに見え、味も同じように思える。違いは、現地の市場で売られているものの大きさが揃っていないことだが、これは、とても自然なことだ。
現地では、しょう油で煮込むアドボにして食べる場合がほとんどである。
私も、これまでは、現地の人が料理したアドボを食べていた。しかし、最近、新たに、日本から酢味噌を持ってきて、試してみた。いかは、蛍いかのようにゆでるだけである。結果は、日本で蛍いかを食べるのと遜色ない味で 満足できた。病み付きになりそうだが、ルマヤガンが安いのに対して、酢味噌が高くついてしまうのが欠点だ。病み付きになりたいなら、白味噌だけは、日本から持ってくるか、どこかで調達してきて、それを使って、自分で作った方がよさそうだ。そうは言っても、そんなに大量に食べるわけではなくて、日本のスーパーの200円のものを使えば、何度も楽しめるので、酢味噌をどう調達しようが誤差のうちとも言える。

同じいかでも、小さくない普通サイズのいかは、値段が高い。こちらは、タガログ語やセブアノ語で普通のいかを意味するノコスと呼ばれ、ルマヤガンに比べ、4、5倍の値段である。日本なら、普通のいかに比べ、蛍いかの方が、kg当たりでみて、はるかに高い。ゆでると水分が減って、軽くなりそうだが、その分を差し引いても、日本と値段は大逆転している。ルマヤガンは蛍いかではないが、同様にして美味しいので お得な食べ物だ。


もう一方の小さなかつをの方は、現地ではペレットと呼ばれていて以前にも紹介したことがあるが、小さなうちから獲ってしまい なんと思慮に欠けることかと思って、私は長い間 食べなかった。しかし、背に腹は替えられないというだけでなく、後で紹介するように、私自身の基本的な考え方も変えてしまったので、今では これを積極的に食べるようになった。

当然のことながら、大きさは いろいろあるが、通常は1kgで6匹程度。一匹6ペソ前後である。食堂で料理したものを食べると、何倍もの値段になるが、市場で鮮魚を買ってきて、焼いて食べれば、安上がりな食べ物だ。
現地の人は、そのまま揚げるか、パキセウと呼ばれる酢で煮込んで食べる場合が多い。後者は、日本人には、ちょっと変わった味に感じて 口に合わないこともありそうだ。もちろん逆の場合もあろう。
フライの方は、大きさに合わせて、幾つかに輪切りにした方が美味しいと私は感じる。表面のクリスピーさと 中の柔らかさに ちょうどのバランスがあると思うからである。コーンフレークに牛乳をかけて食べる場合に、食べるちょうどのタイミングがあるのと似ている。ドイツで朝食に食べるパンの中がフワフワ、外がカリカリで美味しいのにも通じる。
さらに言えば、フライで美味しく感じる ちょうどの大きさが存在して、それは、1匹200g程度。これを、輪切りで3つに分けるのが良さそうだ。以上は、私の主観に過ぎないが、同様に感じる人が多いと思う。

最後に、言い訳というか、どうしてこれを食べるようになったかを説明する。

このかつお はフィリピンで生まれ、日本に行くにつれて大きくなり、一本釣りで釣られて、食べられてしまうのかどうか、はっきりとはわからないが、まずは そう仮定してみた。
そうすると、フィリピンで小さなこの魚を獲らなければ、日本は、大きなかつおが沢山獲れて得することになる。その場合には、日本がフィリピンに何か補償してくれるかというと、これは、非常に難しそうだ。定性的には分かっても、定量的にいったい日本がいくらお得なのか、それを数字で出さないと、補償の金額を決めるのが難しい。フィリピンで禁漁した減収分にいくらか上乗せして、補償額にすれば良いが、禁猟破りの怪しい人が一杯出てきて、胡散臭い世界が広がるのは目に見えている。
私は日本人だが、日本からの見返りが期待できない間は、食べてしまえということだ。補償がないうちから、獲って食べるのを止めていては、将来も補償はもらえないだろう。
かなり強引な言い訳を続けたが、日本やその他の国との間で、交渉して全体最適が図られるのが良いと思うのは言うまでもない。

もう一つの言い訳は、日本でも、例えば、ブリだけでなく その前の名前の違う魚もいろいろ食べる。からし明太を含め、いろいろな魚の卵も食べる。日本なら、卵を全体でどの程度食べても、魚資源が枯渇することはないという計算がありそうだ。これに対して、フィリピンのこの魚の場合なら、獲れなくなると、値段が上がるが、値段が安いうちは沢山獲れているので、獲り過ぎを心配することはないだろうという、そんな言い訳を使いたくなる。これも、強引な言い訳で、「シキホール島の特定の場所に、この魚の産卵場所があり、ここである程度大きくなってから、世界各地に散って行く。ここで獲るのを止めれば、世界各地のカツオの量が大幅に増える。」というような事実が確認されてば、また以前の意見に戻ることになる。

少し身勝手な論理のようにも思うので、反論があれば 指摘頂きたい。


(2008年2月更新)

小さないかが1kg20〜30ペソ、小さなかつおが1kg30〜40ペソ程度と紹介したが、その後、急激に値上がりし、年末年始にかけては、最高では、それぞれ1kg80ペソ、1kg120ペソくらいまでになっていた。そんな高くては買う気がしない。さよりを20ペソ分買って、お刺身にして、あらを味噌汁にする等の方法で切り抜けた。その後、二月になってやっと復調の兆しが見えてきた。いかは1kg40〜50ペソ、かつおは60〜70ペソと言ったところである。それでもかつおを1kg買うのはまだ高いので、2匹で27ペソといった感じである。一人なら200g程度の大きさの魚を一匹買えば十分だが、隣に料理を頼んで、分けて食べていることが多いので、500g程度は必要になってくる。市場には魚が結構並んでいるので、この調子で価格が落ち着いてくれることを願うばかりだ

また、漁師が獲ってきたものを、家の前で買うという作戦も結構取るようになってきた。ガソリンの高騰が値上がりに影響している面が大きいので、市場まで持って行かなければ、運賃もかからない。もちろん、魚売りの利益も加算されない。漁師で手漕ぎの舟を使っている人からなら、さらに安く買える可能性がある。


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