TANDUAY RUM 12年、15年もの 続編

2006年 2月



普通に紹介するだけで終わっても面白くないので、いろいろ詮索した結果を紹介する。

味と色


味はどうかというと、まず思うのは、通常のTANDUAY RHUMを15年寝かしたからといって、同じ味にはなりそうにはないということだ。
TANDUAY WHITEという製品があるが、これが原酒に近そうである。原酒のそれそれの年代のものに、ココナツワイン(生やし酒、tuba)と同じようにして色と味付けの元を加え、さらに何か手を加え、それぞれの年代の銘柄にして売っているのだろうと思われる。

なぜそう思うかというと、まずは色である。通常のTANDUAY RHUM(ボトルには5年ものと書いてある)は、フィリピンの庶民の酒ということを主張しているのか オレンジ色に近い。ココナツワインその他、サリサリストアに行けば、同じような色の酒が沢山並んでいるが、安物の酒は二日酔いの元という先入観から、私は まだ試したことがない。
これに対して、12年ものは、普通のスコッチ・ウイスキーの琥珀色に近い。さらに15年ものは、12年ものよりかなり色が薄い。ロゼ・ワインに、これと似たような色のものがありそうだ。ボトルも同様にして、同じようなボトルの形をしたロゼ・ワインがありそうだ。とにかく、色については、それぞれ かなり違いがある。
このように色を大胆に操作するということは、味も当然同じように操作するだろうと予想される。
通常のTANDUAY RHUMは不味くて飲めないと言われてしまったので、これは問題外だが、さらにパイナップルジュースで割っても駄目だと言うことなので、酒の味がわからなくなるまで、コーラでも加えるしかなさそうだ。
12年ものもそれなりに癖があるが、なんとかストレートで飲めるレベルで、これが15年ものになるといっきに飲みやすくなる。
この二つの飲みやすさの違いが、3年寝かしたことによる違いなのかどうかは、多いに疑問が残る。日本で最も容易に手に入るスコッチウイスキーの12年ものといえば、Black Labelであろう。さらに、17年ものと言えば、30年ものと同様、だいたい銘柄が決まってくるはずだ。これらの12年と17年を買って、かなり飲んだが、そんな極端な飲みやすさの違いを感じることはなかった。TANDUAY 12年、15年ほどの飲み易さの差が、あるような気がしない。随分強引な物言いだが、TANDUAY 12年ものは、15年ものが高くても売れるための戦略的な味付けがされているのではと、勘ぐりたくなってしまう。ただし、これは、主に私のような外国人に当てはまる話で、単に、TANDUAY味とTANDUAY色を順に減らしていった結果が、12年、15年もので、外国人にはTANDUAY味は合わないというだけのことかもしれない。

似たような例として しょうゆの場合を紹介する。日本人には、日本のしょうゆが口に合うが、フィリピンの人に使ってもらうと、味が違って美味しくないという人が多い。日頃慣れ親しんだ味があるということである。ただし、政治家など現地の金持ちからは、日本からキッコーマンを持ってきてくれと言われたりする。

私の場合はフィリピンに長く居るためか、TANDUAY味の強烈な普通のTANDUAYでも、飲めないことはない。

TANDUAY WHITEで作ったカクテル

TANDUAY WHITEで作ったカクテルでも十分美味しい場合もある。お奨めしたいのは、パイナップルジュースとココナツ・ミルクを加えたPina Coladaというカクテルである。これは、TANDUAY WHITEとココナツ・ミルクという安物の代名詞のようなものを使っているので、現地の人には不評であるが、トロピカルで、外国人にはお奨めだ。実際とても美味しい。ただし、これは、ココナツ・ミルクの好き嫌いが大きく影響しそうだ。タピオカにココナツ・ミルクをかけて食べるのが美味しいという人には、問題なく受け入れられるだろう。

カクテルの本に書いてあるレシピのように、皮付きのパイナップル片をグラスにはさめば、さらに雰囲気が出る。氷を砕いて、グラス一杯に入れ、その後にカクテルを注ぐ必要もあろう。甘味を加えないといけないが、フィリピンで簡単に手に入るマンゴジュースを濃縮したものを加えるのが手軽で、味も良い。厳密に言えば、これだと別のカクテルになってしまうかもしれないが、この程度の差は気にすることもないだろう。

それならと、それぞれの酒を 手軽に手に入るパイナップルジュースだけで割ってみたところ、これでは結構 酒の味が分かってしまい、TANDUAY WHITEでは、どうも美味しく無かった。12年、15年ものに加え、GILBEY'Sも試したが、結局、この中ではGILBEY'Sをパイナップルジュースで割ったものが、一番味が良かった。

値段が一番安いTANDUAY WHITEを使ったカクテルでも十分美味しいこともあるが、カクテルを作るのは結構手間がかかるし、酒はストレートで飲むものだという方も多いはずで、TANDUAY 15年ものの存在意義がなくなることはない。

12年、15年、、、 18年?、21年?

15年ものが店に並ぶようになってから、何年も経たないが、その前は12年ものまでだった。その12年ものを買うようになってから、3年以内に15年ものが売られるようになるだろうと予想していたところ、ズバリ予想は的中した。この後は多分18年ものが出そうだが、一方、値段が高くなり過ぎて、フィリピンで売れるのかどうかという疑問もある。12年ものが120ペソ〜140ペソ程度。15年ものがその倍近くの値段で、230〜240ペソ程度。18年ものは、さらに倍ほどすると想定すれば、普通のスコッチウイスキーの値段になる。さらに21年ものまで出たとして、倍々の計算でいけば、Black Labelなど、スコッチウイスキーの12年ものの売価になる。単なる皮算用に過ぎないと言えばそれまでだが、TANDUAYがいくら良い商品を発売しても、信頼と安心のBlack Labelと値段が同じだったら、私なら当然Black Labelの方を選ぶだろう。

ここまで書くのは、Pentiumプロセッサのように、上位の製品がでれば、従来品は値下げして欲しいと言いたいからだが、残念ながら非現実的な妄想で、実現する見込みはほとんど無さそうだ。

Black Labelと言えば、TANDUAY RUMの12年もののラベルも箱もやはり黒い。12年と言えば黒という、お得意のコピー文化の結果だろうと想像してしまうが、たぶん そんなに外れてはいないだろう。そして、その次の15年ものは青だ。以前は、ジョニ赤、ジョニ黒の上は、ジョニ青しかなかったのと関係しているのではと想像してしまうが、これも ごく普通の見立てと言えそうだ。最近は、ジョニ金、ジョニ緑もあるので、これらが、今後のTANDUAY RUMの色にどう影響するのか注目したいが、すでに順番はおかしくなっているので、なんとも言い難い。

このことをTANDUAYに問い合わせたら、当然「そんなことは関係ない。」と言うだろうが、その想定どおりの回答をもらっても、私の見立ては変わらない。

この手の類似やパロディの極めつけは、ビールのRED HORSEだろう。これをコーラで割って、学生たちが飲んでるのがBLACK HORSE。これらの本家は WHITE HORSEとしか考えられない。その本家のWHITE HORSEを現地の普通の人に見せても、ほとんど誰も知らない。

私もパロディは好きだ。一つの例だが、世界初? Hard Rock Toiletを考案したことがある。自宅の近くには岩がゴロゴロしていて、それを積んで中は空洞にしたものを、公衆便所として使うのである。ロゴもあって、お決まりのパターンのパロディである。作ればうけると思ったのだが、建てる場所でもめて、未だ実現していない。

この手のパロディで、これまで見た中で、かなりレベルが高いと思ったのが、ButtwiserのTシャツである。King of Rearsと書いてあり、ビールのラベルの中にTバックのお尻が並んでいる。ButtとRearの両方持ち出すところに値打ちがあるのだろう。おまけに、Want's your BUSHとまで書かれていて、BUSHが掛詞で、平和を求めるメッセージまで読み取れる。掛け合わせる言葉にも気持ちがこめられている。女性からは眉をひそめられそうだが、私なら高い点を付けるか 座布団の枚数を多くする。これは、ラスベガスで売られていたので問題ないが、これが中東で売られていたら、デンマークのようにもめることだろう。

類似品で、King of beach Bahamaというのも買ってしまったが、何も面白くない。

パロディには合格点があって、RED HORSE, BLACK HORSEでは及第とは言いがたい。


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