南北結婚

2002年5月作成
2009年1月最終更新


フィリピンでは、二世代ほど年齢の離れたカップルをよく見かける。大抵は、外国人の年配の夫と、フィリピン人の若妻の組み合わせである。これを、南北問題の一部で、南北結婚問題とでも呼びたくなったが、問題とは言えないので、ここでは南北結婚と呼んだ。

例えば、以前 私の住んでいたアパートに居たカップルは、当時 新婚さんの夫の方は60歳を十分超えていそうな 退職したイギリス人。妻は、カレッジを卒業したばかりのフィリピン人で、日本だと短大卒業の年齢。3倍以上の歳の差があった。それでも、仲良く暮らしていて、ビザが認可されるのを一年ほど待って、二人でイギリスに帰って行った。その後、スペインにある夫の家で暮らして、何年かしてから、シキホール島に戻ってきて、家を建てて住んでいる。時々見かけるが、今でも仲が良くて微笑ましい。

他にもフィリピンでは、似たようなカップルをよく見かける。年齢的には、ハリウッドの往年の名俳優が、若妻と再婚するようなものだろう。

日本なら、歳が10歳離れているだけでも、犯罪だと、茶化して言う人が多い。40歳も離れていたら、さしずめ 凶悪犯とでも言われてしまうのか? それでも、日本国憲法では、婚姻の条件として、両性の合意を求めているだけであり、他の国でも、特に変わらないはずで、上記のカップルのように、二人が十分合意している分には、何の問題もないとも言える。

これを読んで、日本の女性の方は、眉をひそめられる場合が多いだろう。一方、日本の男性の中には、それでは私もと 思われる方もいるかもしれない。実際には、日本人男性とフィリピン人女性で、現地に住んでいるカップルはあまり見かけない。欧米人の男性とフィリピン人妻のカップルの数に比べると、大きな開きがある。

英語が通じるフィリピンの場合、欧米人は英語で済ませられるが、日本人には言葉が大きなハンデとなる。意思の疎通が十分できない。夫の素行に問題がある。挙句に、妻とその親戚に、お金をすべて巻き上げられ離婚した。こういった良くない噂を耳にすることが多い。
現地に住んでいる欧米人の夫とフィリピン人の妻の場合には、うまくいっていることが多い。日本人の場合は、言葉の問題が、人を見る目の問題にまで、発展しているような気がする。

これに対して、飛行機の中では、日本人男性とフィリピン人妻、そして、その子供たちの里帰り家族を沢山見かける。日本に住んでいる場合が多い。この場合は、フィリピン人妻は、日本語だけ話していて、日本人側には言葉の問題は少ない。

言葉の問題が解決したとして、現地にやってくる日本人の新たな南北結婚のパターンを、最後に考えてみた。

老後に、物価が安く自然に恵まれたフィリピンへやってきて、夫婦で住もうと思われている方も少なくないはず。ところが、なぜか二人は分かれしまい、それぞれ南北結婚してしまうという場合である。まだそんな事例を聞いたことはないが、キリスト教徒ではない日本人の中で、そのうち、そんな噂を聞きそうな気がする。

ひんしゅくな発想と かなり非難されそうだが、夫が定年退職するや離婚してしまう夫婦が結構いると言われる中、良い悪いは別にして、このような事例が起きそうな気がしてならない。


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