日本から持って行った品物を配る
 
〜 奪い合う人々と譲り合う人々 〜

2000年9月


フィリピンのあちこちで、持っていたお土産を配りました。
その結果、人々の態度に大きな違いを感じました。なるべく多くの人と知り合いになりたいので、みんなで別けられるものを配ったのですが、我先に奪い合いするところと、我後に譲り合いするところがありました。
貧しい国なので、他人のことまで構っていられないというのが本音かもしれませんが、貪欲で、醜く奪い合いする人々がいる一方、他人のことを思いやり、お互い譲り合う美しい心の持ち主もいます。
自己中心的な考えを助長するようなまねはしたくないので、何か良い解決策が見つかるまでは、奪い合いする人達には、当面お土産を渡さないことにしています。しかし、彼らも普段はフレンドリーで、他のことでは良い人たちなので、早くこの問題を解決して、またお土産を配りたいと思っています。

以下、対照的な二つの例を紹介します。

始めに、ダバオの近くサーマル島(Samal Island)のバレット(BALET)という村の例です。
この村は、以前たまたま通りかかっただけなのですが、子供達が非常に仲良くしてくれたところです。そこで、日本から手紙を送って連絡しておいてから、再訪問しました。前回同様、大歓迎してもらい、日本から持ってきたペンを、予定通り配りました。

私は、これまで、たくさんの展示会に行き、そこでボールペンやシャープペンシルなど、たくさんの筆記用具をもらいました。50本をゆうに越え、とてもひとりでは、使いきれないので、それらのペンを、フィリピンで配れば、有効に活用されると思ったのです。

さて、たくさんの人がいたので、一列に並ぶように言ったのですが、うまく聞き入れられませんでした。押し合いへし合いになり、いろいろなところから手が出てきて、大混乱になりました。なんとか配り終えたのですが、いくら言っても並ばない人がたくさんいて、最後まで混乱が続きました。ペンは大事に使ってもらえると思いますが、ハイエナが肉を奪い合うような状況になってしまい、後味が悪くて仕方がありませんでした。

思えば、前回、持っていたお菓子を子供たちにわけてあげようとしたところ、一番大きなドーナツを強引に奪って、さっさと口の中に入れてしまった親がいました。子供だけだと言って配っていたので、この親の振る舞いには、あきれてしまいました。まずはこのような親が変わらないとダメだと感じています。

次は、セブ島の北の小島、バンタヤン島(Bantayan Island)の例です。

この島で、漁業を営む高校生1年生と知り合いになりました。ただし高校生といっても、フィリピンには、中学がないので、年齢は日本の中学1年生と同じです。彼の友だちや近所の子供たちとも親しくなり、持っていたチョコレートをプレゼントしました。すると、お互いイカウ(Ikaw:タガログ言語、セブアノ語であなた)と言って、譲り合っていました。奪い合いをしていた上のの例とは、大きな違いです。

どちらのタイプが経済的に成功するかという点では、前者に軍配があがりそうな気がします。しかし、後者のタイプの方が、より幸せな人生をおくるものと確信しています。

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