カードを食ったまま、吐き出さないATM

2004年11月


先日 ワシントンDCに行った時の失敗談である。表題の通り、ATMから現金を引き出そうとしたところ カードも現金も出なくなってしまった。

場所は、ワシントンDCのダウンタウンのホステルから最寄のBurger Kingのすぐ横。某「アメリカの銀行」のATMに、某MS銀行(ソフトウェアの会社ではない)の国際カードを入れて、ドルを引き出そうとした。この「アメリカの銀行」は、手数料を取らないことを売りにしていて、たまたま、ハンバーガーを食べた後に、その銀行のATMがあったので、ここぞとばかりにドルを引き出そうと思い立ったのである。

いつものように 必要な操作を済ませると、ATMは処理中と表示した。そこで、処理が済むのを待っていたのだが、いつまで待っても、処理中のままである。日本だったらインターフォンか、呼び出しのボタンがついていて、銀行側に連絡するところだが、そのような気の利いたものは何もついていなかった。不具合対応の連絡先の電話番号だけが書かれていた。 

後ろに並んでいた女性は、諦めてどこかへ行ってしまったが、その後、別の人物が後ろに並んだ。その人物は、こちらに不安を与えるような雰囲気を漂わせていた。
このATMが 不調なことを知っていて、私と同じように、カードと現金を取り出せずに困っている人を見つけると すかさず後ろに並び、客がATMから離れた瞬間に、うまくATMからカードを取り出し、カードを自分のパソコンにつながったカードリーダーに入れて 暗証番号を読み出し、どこかのATMから現金を引き出すのではないかと、そんな不安を思い浮かべてしまった。

そのため、その人物が退散してくれないかと、ひたすら待っていた。

15分くらい待って、その人物がいなくなり、満を持して、キャンセル・ボタンを押した。すると、キャンセルされずに、所望の現金が出てきて、カードも無事戻ってきた。それはキャンセルではないと思いつつも、ホッとして、その場を立ち去った。
ATMの方は、サービスを打ち切り、最寄の別のATMを使ってくれというメッセージを表示した。

ATMが正常に動かなかったというのは、生まれて初めてのことだったので、このようなリスクについては、考え及ばなかった。
このATMは、銀行の外に置かれているのではなくて、単独に設置されていたので、銀行の職員を呼ぶことが ままならなかった。 馴れない海外では、銀行の開いている時間帯に、銀行の建物に設置されているATMを使うのが安心と言える。


このような時には、どう対応するのがよいのか、しかるべきところに問い合わせしたいが、当該銀行に聞いても煙たがられるだけだろう。

そこで、困った時のインターネット頼み。検索エンジンで調べてみた。

その結果、クレジットカードのキャッシングの場合だが、大手クレジットカード会社のホームページに説明があった。内容は、「その場でATMに設置の電話で銀行に連絡するか、クレジットカード会社の紛失受付係へすぐ連絡する。現金が出てこなくても請求がくるケースもあり、必ずその場で確認する。」ということだが、残念ながら私の今回の場合は電話が付いていなかった。電話が付いているATMを選んだ方が良いのは事実だろう。

さらには、海外ではカードが戻らないことが結構あることが分かった。
タイ、イスラエル、インドネシア、米国、カナダ、中国の事例が見つかった。
それよりも、日本でも同様のことはあるそうだ。ただし、フィリピンで毎週のように、下手をすると毎日停電しているのと 日本の停電の頻度を比べるような、そんな頻度の差はありそうだ。

今回の私の場合は、運良くその場でカードは戻ったが、出てこなかった場合はどうなるかというと、

香港・タイ: 後日銀行で返してもらった。
米国: 食ってしまったものは戻らない。再発行あるのみ。

といった事例があった。

「国によっては、ATMからスキミング。すなわち、暗証番号を含めた磁気データを盗んで、コピーのカードを作って お金を引き出すこともあるので、銀行の国際カードは使わない方がよい。」という意見もあったが、これだと世界中のATMは危険で使えないと言っているのと同じで、ちょっと言い過ぎであろう。
どこの国が要注意かインターネットで検索したが、残念ながらよくわからない。
日本でやっているような用心、 すなわち、カードは落とさない。古いカードは、カードを落とした時に簡単に暗証番号を読み取られる可能性があるので 新しいカードに切り替える。ATM使用中に、後ろから覗かれて、暗証番号を盗まれないようにする。カードで引き出せる口座に大金は預金しない。(私の場合は、もともと大金はないので安心。) このような注意を払っておけば 問題ない国は多いと期待したい。 米国でも日本と同様 多くの人がATMを使っているので、まずは大丈夫だろう。



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