市バス・トランスファー人生

2002年5月


市バスのハブ
トランジット・センター
@サンディエゴ

空港からタクシーに乗ると$30。市バスだと$1。このようなことがよくあるので、経費削減のため市バスの利用をお薦めしている。
ところが、これをさらに進めて1日券だとか、トランスファーとか言っても、毎回 市バスの料金を払う場合に比べ、せいぜい数ドル節約できるに過ぎない。そんなことに こだわっていても誤差のうち。そう考えたるのが普通かもしれない。それでも、ここでは あくまでこだわって、究極とも言えるトランスファーの事例を紹介する。

これまで 市バスの話題を再三 書いてきたので、1日券やトランスファーのことを説明するまでもないかもしれない。しかし、トランスファーは日本にはないシステムなので、おさらいのため、触れておく。

トランスファーは、市バスの乗り継ぎ割り引き乗車券のことである。市バスを乗り継ぐ場合、乗車する時に、通常の運賃に少しだけ金額(通常、0〜25¢)を足すと、トランスファーをもらえる。
米国の市バスの料金は、通常 距離によらず、一回の乗車では 同一料金になっている。また、市バスの路線は、ハブ・アンド・スポークに近く、ハブに対応する複数のトランジットセンターに、バスが集まっては散っていく。そして、必要な乗客は、トランジットセンターで別のバスに乗り換える。そのため、バスを乗り換えるたびに、最初と同じ金額の運賃を払うのでは高くつく。 また、乗り換えが必要なシステムにしているのは 市バスを運行する側の都合であり、乗り換えのたびに、利用者が再度 全額運賃を払い直すのは おかしいという考え方もできる。トランスファーを利用することで、乗り換えても ほとんど料金で済み、市バスが利用しやすくなる。

フロリダで試す究極のトランスファー

マイアミは、米国本土では日本から最遠の地であり、マイルを貯める観点では最重要の都市と言える。そこで マイアミ周辺のバスを例に取れば、参考にできる人も多いはずだ。

フロリダで検証した究極のトランスファーを紹介する。

市バスで行けるフロリダの最南端は、Florida Cityという小さな町。マイアミからさらに30kmほど南に行ったところである。ここから市バスに乗って北上を始める。

実際には、インターネットで調べたところ、さらに南部のキーウェストの手前のマラソンまで、バスは走っているのだが、私自身まだ乗った実績がないし、料金も高めなので、ここでは除外した。

市バスから電車(Metro Rail)へのトランスファー

マイアミには、Metro Railという電車が走っていて、市バスと同様 均一料金($1.25)で乗れるのだが、これまで、市バスから、このMetro Railへもトランスファーできるとは夢にも思っていなかった。というのは、Metro Railに乗るには、通常は、改札ゲードに直接25¢か$1コインを入れて乗るので、市バスに乗る時に もらうペラペラの紙であるトランスファーでは 無事ゲートを通れるはずがないと思っていたからである。
ところが、市バスの時刻表をもらって 読んでみると、Metro Railも含め、なんでもかんでもトランスファー可能と書いてある。そこで、ものは試し、市バスに乗る時に、「Railへのトランスファーをちょうだい。」と 運転手に言ってみた。
すると 出てきたのは、通常の縦長でペラペラのトランスファーではなくて、カード型のトランスファーであった。紙でペラペラなのは同じだが、磁気カードであり、これがあれば、改札ゲートを通ることができるのである。ゲートにはコイン投入口だけでなく、定期券など磁気カードを読み込むための投入口も付いている。

この業を習得したので、Florida Cityから市バスに乗り、マイアミのダウンタウンのMetro RailのGovernment Center駅まで、正規料金の$1.25にトランスファー料金25¢を加え、$1.5ドルで行くことができた。

電車から市バスへのトランスファー

市バスから、市バスへ乗り継ぐ時には、先のバスに乗る時に、運転手からトランスファーをもらっておく。ところが、Metro Railから市バスへのトランスファーでは、電車を降りたところに、トランスファーを買うための券売機があるので、下車後にトランスファーを買えばよいと勘違いしていた。しかしルールによると、乗車する駅の側で予めトランスファーを入手しておかなければならないということになっていた。

そこで、Metro Railの駅に着いたところで、25¢払って、トランスファーを入手。これを使って、マイアミのダウンタウンからマイアミビーチまで行った。合計わずか1.75ドルで済んだ。

さらに北へ

この時は、それで終わっているのだが、マイアミのダウンタウンから、例えばSのバスだと、マイアミビーチを北上し、そのまま乗っておけば、フォート・ローダーデール方面の市バスに乗り継げるAventura Mallまで行ける。この2つの市バスは、それぞれ MIAMI-DADE TRANSIT, Broward County Transit(BCT)と 別の管理になっているのだが、マイアミの市バスに乗るときに、さらに25¢払いトランスファーをもらっておけば、フォート・ローダーデール側の市バスへそのまま乗り継げる。つまり、合計2ドルで フォート・ローダーデールのダウンタウンまで行ける。

さらに、フォート・ローダーデールの市バスに乗るとき、トランスファーをもらっておけば、これは無料なので、同じく合計2ドルで、前回紹介したボカラトンまで行ける。ボカラトンからPalm Tranバスに乗り継ぐため、フォート・ローダーデールのダウンタウンでの乗り継ぎの際に、さらに無料のトランスファーをもらっておけば、Palm Tranにも追加料金なしで乗り継げる。ただし、BCTの時刻表によれば、この後、Palm Tranでのトランスファーはできず、さらに乗り継ぐ場合には、再度チケットを買い直す必要がある。結局、合計2ドルで、パームビーチの北まで行って、トランスファーの旅は、ひとまずリセットされそうだ。

私の場合、通常 フォート・ローダーデールでは、1日券しか買わないので、実際に この通りトランスファーをもらった経験はないが、時刻表に書いてあるので、間違いないはずだ。

以上の経路をすべて加えると、150kmを越える。この距離を2ドルで行けるとは 激安と言える。しかし、時間も たっぷりかかる。もしも、このような長旅を試してみるとすれば、それぞれの乗り継ぎ地点で、制限時間の範囲で、気分転換と休憩を兼ねて、歩き回ってみることだろう。飛行機の場合に 24時間まではトランジットで滞在できるというのと似ている。

最後に再度注意しておくと、

上の赤字で示した部分、すなわち、

 ・市バスから電車へのトランスファーは 磁気カード型
 ・電車のトランスファーは、乗車する側の駅で もらっておく。
 
この2つは、予め知っていないと難しい。しかし、これさえ注意していえば、後はトランスファー、トランスファーと言い続ければ、きっと うまくいくはずだ。

ここで挙げたトランスファーを 空港との間の移動にも活用できることは、言うまでも無い。


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