フィリピンの田舎での宿の予約

2016年2月作成



フィリピンの田舎で宿を予約した場合に、日本などフィリピン以外の国と同様だと思ったら、大違いであることが少なくない。ここでは、起こりうることが想定内であるように、予約に関する注意事項をまとめておきたい。最近は、予約サイトが普及していて、それを通して予約する分には、問題は起きにくいとも言える。

予約しても意味がないこともある

シキホール島の私のところの訪問者で、他の宿にも泊まろうとしたが、予約していたのに満室だと断られた人が二組あった。これでは予約した意味がない。私のところに来る人で 来ると言っていても、最終的に来ない人が大体3割くらい出てくる。無料で泊めているので当然キャンセル代も取られないので、適当に来ない人が多いのだろうが、宿でも予約しても来ない人が少なくないなら、前日でもなんでも、先に到着した人を優先してチェックインさせてしまいたくなりそうだ。予約しても来ない人と、予約したのに宿の方から勝手に予約を取り消してしまうのとは、関係があると言えよう。

特に米国の航空会社なら、オーバーブッキングは日常茶飯事で、その場合には補償してもらえるものだが、フィリピンの田舎の宿では、同様の場合に補償がないのが課題とも言えよう。

デポジットについて

宿泊料金を先払いしておけば、流石に宿側が勝手に予約を取り消してしまうとは考えにくい。しかし、最悪の場合を考えると、例えば、宿に自分ひとりだけ予約が入っている時に、貸切希望の団体客が来たら、宿としては当然団体客の方を泊めたいはずだ。いくらデポジットを払っておいても、返金の上で他に泊まってくれと、フィリピンでは言われかねない。それが実態だと思うが、そんなことを書いていると、根暗とでも言われそうなので、このへんにしておく。

これが、米国の航空会社の場合だと、UAで、サンフランシスコから成田行きがオーバーブッキングしたので、関空行きに変えれば、エコノミーからファーストクラスにアックグレードしてもらえるという話があった。まともにチケットを買えば数十万円の違いが出るので、スケジュールが厳しい人以外には、少々追加の時間がかかろうと、とてもお得な話だろう。

予約サイト経由の予約

最近は、予約サイトを使って部屋を確保することが多くなっているが、その場合に 宿が勝手なことをすると、予約サイトとの関係に影響するので、予約が勝手に取り消されるような事態は考えにくく 安心できる。

しかしながら、別の問題がいくつか存在する。

先日、シキホール島でお奨めの宿を聞かれたので、最近日本人に人気の宿の名前を伝えた。ところが、問い合わせて来た人が予約しようとしたら、その宿は、某予約サイトでは連日満室で予約が取れないということだった。これまでの経験では、ハイシーズンでも満室でこの宿に泊まれないということはなかったので、不審に思って予約サイトを調べてみたら、部屋は独立のコテージを含め、全部で10部屋ほどあるのに、満室か残り一部屋という表示しか出てこない。半年以上先の状況を見ても同様で、この予約サイト経由では1室しか予約を受け付けていないのは明らかだった。

さらに別の人からの情報では、この予約サイトは手数料が高く、宿泊料金の何割かを、予約サイトは宿から手数料として徴収するそうだ。それでも、シェアが高く、サイトの利用者が多いので、宿側もこのサイトを利用することが多い。しかし、集客にはなっても、宿の取り分が大幅に減るので、宣伝のため、その予約サイトに登録はするが、このサイト経由では一部屋しか部屋を開放しない宿が出てきてもおかしくない。もしも自分が宿のオーナーだったらそうするだろう。
支払った代金の何割もが予約サイトの取り分になるというのはあまりにも高いので、改めて検索してみたら、日本国内の有名温泉街の関係者のブログでは1割程度という数字が見つかった。一方、この予約サイトからの情報だと、アフィリエイトのコミッションは、調べた時点では、最大6割と書かれている。ただし、宿から予約サイトへの手数料と言っても、アフィリエイトのコミッションに支払われる分が多いのだろう。

シキホール島のような田舎の弱小観光地だと当然、手数料が安くないのは 想像に事欠かない。宿が予約サイトに、より多くの手数料を払えば、検索順位を上げてもらえるサービスもあるとの情報も見つかった。

田舎の弱小宿を予約サイト経由で予約する場合に問題点として挙げられるのは、

ここで取り上げた例のように、予約できる部屋数が少なくなる可能性があること。そして、予約サイトの取り分が多くて、宿の取り分がかなり減るのであれば、宿泊する側が予約サイトを通さず宿に直接予約を入れてあげた方が宿は助かり、宿が得すれば、アップグレードや、追加のサービスなどで、宿泊客にもメリットが出てくる可能性があろう。

口コミサイト

宿が勝手に予約を取り消してしまわない足かせの一つに、口コミサイトがあろう。宿の横暴に腹を立たてた予約客が、宿の実態を暴露すると、宿の営業に差し支えるので、いくらフィリピンでも宿はあまり自分勝手なことはできないと期待できる。


冬場がシーズン

フィリピンは、欧米等の避寒客が訪れる冬場が従来からハイ・シーズンとなっている。そこへ、フィリピン人の観光ブームが加わり、シキホール島でも、マニラなどからフィリピン人観光客も増えたが、それでも、冬場が圧倒的に宿は混んでいて、それ以外はかなり空いている。私自身が始めてシキホール島に来たのは8月だったが、二軒泊まった人気宿はどちらも他に宿泊客は居なくて貸切だった。

最近 日本人の東南アジア旅行者からは、越冬という言葉をよく耳にするが、越冬というなら渡り鳥のように、11月までに移ってくればまだ、宿も空いていて、より取り見取りなのに、正月は日本で、1月にやってくる人が多く、これだとハイシーズンで宿探しも大変な場合が多い。と言っても、シキホール島の場合なら、客の増加以上に宿も増えているので、多くの人が行きそうな所を避ければ、シーズン中でも宿は簡単に見つかる。

個人的にはホームステイしてフィリピンにどっぷり浸かってもらいたいと思うが、残念ながら、希望者は少数派と言えそうだ。

間を分断するような予約は嫌われやすい

部屋数や混み具合により話は大きく違ってくるが、部屋数の少ない宿にかなり先の日程の予約を入れようとすると、1泊だけ泊まって、前後を分断するような予約は嫌がられる可能性がある。以前に知り合いがグループで泊まりに来て、ドイツ人がオーナーの宿を紹介したことがあったが、そこそこの部屋数を抑え、数泊するので予約はOKだと言われた。1泊だけだと、前後の日程を含め連泊したい人をブロックしてしまうので、ダメだと言われそうな雰囲気だった。ただし、一、二部屋なら、影響が少ないので1泊でも良さそうだ。

これが、部屋数が十分の宿であれば、この手の話はないだろう。それでも、例えば、1泊だけ貸切というのを受けてしまうと、同様に連泊をブロックしてしまうので、前後の日に、客を十分得るのが難しくなる可能性はあろう。

長期滞在の部屋の予約

通常の宿のように一泊単位の料金体系では、長期滞在では料金の合計が非常に高くなる。そこで、長期滞在の場合には、アパートのように月極めの部屋を探したくなる。この場合にも、借りる側は予約をしたいが、部屋数が少ないところで、しかもハイシーズンに予約をしようとすると、オーナーと利用者で利害が対立するようなことが起こリえる。

先日、近所で二つしか部屋の無いコテージで、月極めで料金を設定しているところで、知り合いのために部屋を予約をした。ローシーズンなら問題ないが、ハイシーズンでは、結構部屋を借りたい客がやってくる。このときには、1ヶ月余り前に予約をしたが、予約前の1ヶ月を切ると、月極めなので、他の客に部屋を貸すことができず、部屋を空けておかないといけなくなる。二部屋のどちらも空いているなら問題ないが、既に一部屋埋まっていて、予約の入っている1ヶ月前を切ると、別の客が来ても断るしかない。一ヶ月も部屋を空室のまま置いておくのはオーナーとしては、非常にもったいないので、今回のような先の予約は、受付られなくなる可能性もあろう。

キャンセルの影響

例えば、日本のビジネスホテルなら、部屋数も多くて、ビジネス客で予約のキャンセルも最初から想定していて、キャンセル待ちや、キャンセル料を徴収したり、キャンセルに対応できているので、客が予約をキャンセルしても困ることはない。

これに対して、シキホール島の小さな宿のようなところでは、予約サイト経由で予約を受けているならキャンセル料の規定もしっかりしていて、キャンセルに対応できているが、そうでないと、特にドタキャンされると、穴を空けられ宿が損害を被る場合が出てくる。空いている時期なら、キャンセルした客が泊まらなかった分の売り上げが減るだけだが、混み合う時期に予約して キャンセルすると、後から予約しようとした人がいて、満室だと断った場合には、断った客の方を泊めておけばよかったということになり、このキャンセルは宿から嫌がられることになろう。弱小宿では、キャンセル料うんぬんとは普通は言わないことが多いので、キャンセルが多少とも宿とのトラブルの元になる可能性がある。


予約しても行けないかもしれない

私のように現地で直接宿を見て探すのが好きな人を除き、宿は予約したい人が多そうだ。しかしながら、フィリピンの特にシキホール島のような田舎の島の場合には、予約してもそのとおりに行けない場合が少なくない。行けないのは 基本的には船に乗れない場合で、天候の影響が大きいが、飛行機が遅れて、予定の日に船に乗れず一日遅れになる場合もある。セブから来るのに台風で道が寸断されたこともあった。

天候の方は特に1月は荒れる場合があり、一昨年は、ミンダナオの周りで熱帯低気圧がぐるぐる回り、台風被災地の支援でバンタヤン島に出掛けたものの、各地で3週間足止めを食らった。5年ほど前には、ボルネオに行こうとしたら、1週間くらい海が荒れて船が出なくて、飛行機に乗る日の早朝なんとか、船が出て、早朝から並んで船に乗り出かけたことがあった。

2月には大体天候は回復して、3月はフィリピンでは夏が来て、晴れが続き暑くなり出す。しかし、人気の1月には天気が荒れる場合が多く、12月も同様と言える。ただし、これはビサヤ地方の場合で、マニラ辺りでは1月は、天気が良いことが多い。


日本から行くとなると、海外旅行で、それなりに覚悟を決めて出掛けるとも言えるのだろうが、何かの都合で行けなくなる可能性も少なく無さそうだ。

このように、行けなくなる可能性も結構ありそうで、フィリピンの田舎の島の弱小宿からすれば、予約のキャンセルを食らってしまう可能性が少なくないと言えよう。




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