コロナ 疎だね。方丈記の足跡を訪ねる旅

2020年11月作成


蝉丸の歌碑 @大津市


コロナ禍で避けるべきは密。そして密の反対は疎。すべての国民が疎競争、ひたすら疎の探求に走れば、感染は程なく収まるはずだ。
しかし、現実には、すべてが疎になるのは難しい。せめて、出掛ける場合に、密な目的地から、疎な目的地へと矛先が変わっていけば、感染対策になるはずだ。
疎の雄はキャンプだろうが、人気沸騰で、キャンプ場によっては疎と言えなくなっていそうだ。やはり、疎は自分で探したい。ここでは、方丈記に登場する場所を紹介する。以前から回ってみたいと思っていたが、コロナ禍で 日本籠りのお陰で、時間ができ 回ることができた。証拠写真を見てもらえば分かるように、まさに疎揃いだ。有名ブロガーが取り上げれば疎が密に変わることがあるかもしれないが、これを見て 出かける人がいたとしても、疎のままだろう。 ただし、これは例で取り上げているだけで、それぞれの疎を探して出掛けることをお薦めしたい。

方丈記 鴨長明

ゆく川の流れは絶えずして、しかも本の水にあらず。よどみに浮ぶうたかたは、かつ消えかつ結びて久しくとどまりたるためしなし。世の中にある人とすみかと、またかくの如し。

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かしこに小童あり、時々来りてあひとぶらふ。もしつれづれなる時は、これを友としてあそびありく。かれは十六歳、われは六十、

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志遠くいたる時は、これより峯つづき炭山を越え、笠取を過ぎて、岩間にまうで、或は石山ををがむ。もしは粟津の原を分けて、蝉丸翁が迹をとぶらひ、田上川をわたりて、猿丸大夫が墓をたづぬ。

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60歳になった鴨長明が16歳の少年と一緒に、京から出掛けたところの中から、今回は、まさに疎と言える蝉丸神社、猿丸神社、岩間寺を訪ねた。他にも、笠取は、十分疎な場所で、追加した方が良いのだろう。一方、石山寺は多くの人が訪れる観光地で、粟津の原は、近江八景の粟津の晴嵐にもあるが、今は住宅、工場、学校が並び、疎とは言いにくそうだ。

蝉丸神社

蝉丸神社@大津市

人の気配がない、まさに疎の極致の神社で、どう見ても有名ではあるまい。全国の小さな神社も、お祭りや特別が行事が無ければ、同様に人の気配がないところが多そうだ。
一方、百人一首の蝉丸の歌

これやこの行くも帰るも別れては 知るも知らぬも逢坂の関

こちらは、多くの人が知っていることだろう。
それで、国道1号線の京滋の境にある逢坂の関、それと、名神にある蝉丸トンネルは、蝉丸神社よりも名前が売れているはずだ。

猿丸神社

猿丸神社@宇治田原

かなり辺鄙な場所にあり、ここも行っても感染リスクが低そうな疎なところだ。

百人一首の猿丸太夫の歌

奥山に紅葉踏みわけ鳴く鹿の 声きく時ぞ秋は悲しき

は、メランコリーの一首という注釈が目に入ったが、まさにその通りだろう。

岩間寺

ここは西国三十三個所の一つなので、全然人が来ないということではない。それでも、山奥で簡単には行けないので、十分疎な場所だ。アクセスは自動車なら楽だが、私のように自転車で行こうとすると、急な上り坂でかなりきつい。

岩間寺@大津市


疎は感染対策にはなるが、同時に求められている経済を回すことには、直接は結びつきにくい。思いつくのは、途中で買い物するくらいで、特に蝉丸神社の近くには、うなぎ屋がある。できるかどうか不明だが、テイクアウトして、誰もいない蝉丸神社で食べたらいいのではないかと思ったりもする。しかし、雰囲気の良い店内で食べる鰻料理とのギャップが大きい。アウトドア、ピクニック用鰻弁当があったら良いのか。

出掛けるための自転車を買えば、経済効果があるのだろうが、私のようにオークションで中古品を落札しても GDPにカウントされないと言われている。経済を回すにも、予備校のノリのように効率よく点数を稼ぐような発想も必要なのだろう。現状では素人の物言いしかできないので、少しお勉強してから、改めて また取り上げたい。


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