特典旅行、経路選びのフナフナ病

2011年1月



特典旅行でどこに出かけるかは人それぞれだろうが、日本から東南アジアへ出かけるのがお得な選択肢の一つである。私の場合には、基本的に日本とフィリピンの往復にマイルを使っていて、これまでは、DL(旧NW)で日本とマニラを何十回も往復したし、その前には、さらにフィリピンの国内線でセブパシフィック航空(5J)まで無料で付けることができた。ところが、ここ数年状況が変わり、選択範囲が一気に広がった。フナフナ(Huna huna)と言うのは、フィリピンのセブアノ語で、考える、思案するなどの意味である。ここでは、私の場合を例に取って、日本とフィリピンの往復の場合だけ説明するが、目的地が変わっても同じようなことになっていて、選択肢が広がったとも言えるし、悩ましくてなかなか決められないとも言える。

状況が変わった大きな点は、NWからDLに変わって、アジア内の特典旅行でも普通にトップオーバーできるようになったことと、LCCの台頭の二つが挙げられる。

DLのストップオーバー

DLのマイルを利用してフィリピンに行く場合、NGO/MNLやNRT/MNLと単純に往復するよりも、同じマイル数で行けるなら、例えば、NGO/MNL/SIN/NRT/NGOなど、マニラでストップオーバーして、シンガーポールにも行った方が、断然お得であろう。(実際には、KUL, CANなどの経由地も加わるかもしれない。)
ただし、何でもかんでもストップオーバーできるかというとそうではない。一般に言われているのは、所望のルートが航空会社のデータベースに設定されているかどうかで、あれば最低のマイル数で飛べる可能性があるが、無ければ必要マイルが増えるということである。マイナーなところへ行きたい場合には、DLに問い合わせてみることだ。先日、日本発で、マニラでストップオーバーして、ベトナムのダナン行きの予約を入れようとしたら、通常のアジア内のマイル数では駄目と言われた。MNL/SGNがVN便名で3桁の番号だったが、実はフィリピン航空の機材のコードシェア便だったことが災いしたのではないかと思うが、それならそもそも発券もできないように思える。相応しくない例を出したのかどうか、それも良く分からないが、とにかく最後は、航空会社に聞いてみると言うことだろう。ただし、その前に自分で可能な限り下調べすべきなのは当然であろう。航空会社の担当者を必要以上に煩わせては、そのうち、お得な特典が消えていくことは容易に想像できるし、航空会社に頼りきりでは、利用者が最も選択したい経路に決まるとは必ずしも限らない。

燃油サーチャージ

DLのストップオーバーはお得だが、ここで気をつけないといけないのが、燃油サーチャージである。以前に、私の場合 特典旅行で燃油サーチャージを払ったことがないと書いたことがあったが、それでバチが当たったのか、その後、高い燃油代を払う羽目になった。先日発券したNGO/MNL(DL)/CAN(CZ)/HAN(CZ)/NGO(VN)では、特典旅行の発券に伴い、16000円程度の請求が来た。名古屋、ハノイでの空港の使用料なども含まれているが、サーチャージも私にしてみれば、相当払ってしまい、今後は、燃油代も考慮して経路を決めようと固く誓った。
サーチャージのかからないDL便だけでストップオーバーまで含めてすべてこと足れば良いが、それは無理なので、他の航空会社も組み合わせることになる。KALのように、サーチャージがかからないと言われている航空会社や、サーチャージが割安な航空会社と路線の組み合わせを選ぶのがお得ということだろう。

LCCも組み合わせる

先の例で追加で1万6千円も払うくらいなら、5Jのバーゲンを利用した方が安いという話にもなりかねない。

また別途取り上げているように、UAのマイルで日本からフィリピンまで飛ぶと 少ないマイルで行けず、UAのFクラスで、バンコク、シンガポールへ行くのと同じだけマイルが必要になる。それでは悲しいので、UAマイルで中国の適当な都市に、できればオープンジョーで飛んで、陸路を適当に移動して、香港、マカオ、上海などから5Jのバーゲンでマニラに飛ぶのが最近の私の傾向である。同じようなことで、フィリピン以外の目的地の場合には、エアーアジア(AK)等を利用するということになろう。

このように、LCCが普及したので、特典旅行と組み合わせることでいろいろと可能性が広がった。

日本からUA便を使えば、XYは2万マイルでシンガポール、バンコクを往復できるので、それと、5JやAKを組み合わせれば、行き帰りで、おまけにシンガポールとバンコク周辺にそれぞれ行けてしまう。しかし、UAのアジア便は日本からは成田発しかないので、関西も含め地方発着は不利になる。これに比べると、アジア行きの特典旅行の条件ではDLの方がはるかに優れていると言えそうだ。あとは予約の入りやすさであろう。

LCCを組み合わせる

結局、特典旅行はやめてLCCだけで十分ということにもなりかねない。マイルの地盤沈下という話である。日本とフィリピンを往復するだけなら、5Jのバーゲンを使っておけということになりそうで、実際にも、昨年の6月から9月が旅行期間の1ペソバーゲンを使ってみた。しかしながら、ただ同然のバーゲンは かなり先のフライトだけで、変更、ドタキャン、No showのペナルティーで稼ぐというビジネスモデルがあるので、使い勝手は良くない。
ここでは、ストップオーバーを話の中心に据えているので、それで良さそうなフィリピンまでの事例は、ジェットスターでKIX/TPEさらに5JでTPE/MNLと乗り継ぐパターンである。台湾は日本とフィリピンの間にあり、途中で寄り道するには絶好の場所であろう。最近は、台北に日本人宿が急増しており、ドミトリーで千円程度から泊まれる。旅仲間もすぐにつくれて居心地が良い。
最近は、AKのKUL行きが就航始めたので、これでいきなりマレー半島まで飛んでしまうのが、これからの日本からのアジア安旅の主流と言えそうだが、フィリピン行きだと、さらに5JやAKに乗り継ぐということだろう。

LCCを何でも取り上げれば きりがない。ここではフィリピン関連に限っているがそれでも、例えばTiger Airways(これも忘れないように阪神タイガース航空と今後は仮称する。)でマニラからシンガポールまで飛ぶこともできる。安くて良さそうだが、試しに、クラーク/シンガポール 12.34ドルというチケットを検討してみたら、サーチャージが入って、51.4ドルになる。さらに、チェックイン荷物が15kgまでは10ドル追加となる。(5Jでは チェックイン荷物15kgまでなら200円ほどの追加で済む。) 空港使用料の750ペソも別払いのため含まれていない。いろいろ加わると見かけほどに安くないと言えるが、それでも一度試してみたい。


フナフナに影響するその他の条件を補足しておく。

ベトナム航空のスカイチーム加盟

昨年ベトナム航空がスカイチームに加盟したので、ベトナムやその近隣に行くには便利そうだ。先の例のように、MNL/SGNでは失敗したが、他にいろいろと可能性があるはずだ。ただし、気をつけないといけないのは、ユーザーにとっては、その存在すらも否定したくなる燃油サーチャージである。

UAの片道特典

UA片道特典の何が嬉しいのかは場合によるだろう。ここでは話の枠を広げて、これまでに私が聞いた中で一番お得なこの特典の利用方法を紹介する。
あるアジアバックパッカーの事例であるが、香港のチョンキンマンションのドミトリーで同部屋だったその人は、日本から船で中国に渡ったそうだ。この部分は関東から出発するなら春秋航空(物覚えの悪い私のことなので、今後は、春秋戦国航空という仮称を使わせてもらう。)が良さそうにも思う。その後アジアを南下して、最終的にシンガポールまで行き、UAの片道特典で日本に帰るとのことだった。UAの特典旅行でUA便を利用する場合には、無料で変更してくれるので、1年オープンと同等で、好きな時に帰れる。ちょうど1万マイルあり、有効期限も迫ってきたので、この旅に使ったということだった。
別の例で、昆明のドミトリーで同室だった日本人若夫婦は、このUAの便の代わりに、現地で適当に後から5J便を買って、シンガポールからマニラ経由で日本に帰るということだった。それなら何年旅していても良いが、とにかく、ここでの話からは、外れていくのでこの程度にしておく。
私の場合も、先日試しにNRT/TPEのUA片道特典を利用した。その後5Jでマニラに飛んだ。LCCで片道発券が容易にできるので、いつの間にか、日本へ帰るチケットが2枚になってしまったのを帳消しにするために使った。一つ納得できないのは、UA便なのに、XYで12500マイル必要なことだ。


最後に、以上の範疇に入れにくかった分を補足しておく。

DLの特典旅行でフィリピンに行くのに、例えば、中国の西域まで、寄り道できたらかなりお得で行ってみたいものである。日本からバリへ飛び、帰りに昆明にストップオーバーした人がいたので、かなりの寄り道は可能なのであろう。しかし、実際にどこまで発券可能かよくわからないし、サーチャージが結構かかりそうなので、適当なところで 手を打つ必要があろう。あまり過激なことをする人が増えると 条件が厳しくなるのは、これまでの実績を考えれば間違いない。

日本から、ウルムチと広州あたりのオープンジョーであれば、問題なく発券できるはずだし、サーチャージも高くないはずだ。さらに、ウルムチと広州の間のフライトも付けて、広州でストップオーバーという経路も可能そうに思える。それなら、広州でなくて、その近くのマニラでストップオーバーと変更しても良さそうにも思えるが、国際線が増えて、サーチャージが高くなることは間違いない。

日本/ウルムチ/広州/日本の経路は特典旅行でカバーして、マカオか香港あたりからフィリピンを往復して、フィリピンに帰るのが私の狙い目だ。

UAのストップオーバー

UAの特典旅行で日本から中国を往復するなら、ストップオーバーできるはずなので、北京、上海、ソウルあたりなら行けるのであろう。フィリピン行きは これまでの例と同様 5Jを組み合わせることになる。折角なので、ベトナムの国境近くまで飛んで、陸路サイゴンまで移動して、5Jでマニラへ向うルートも私の取る経路になっている。



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