持ってけ、置いてけI94W

2001年1月作成
2003年11月更新



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(I94Wへの対応が各地で異なる事例を追加)


バンクーバーのイミグレーション

I94W は、米国入国するための御馴染みの書類。ビザ無しの人が使う緑色の用紙である。入国時にイミグレーションでスタンプを押してもらい、パスポートにはさんでおき、帰国時に返してくる。御存知の通りだ。
この I94W は、米国から、隣国のカナダやメキシコに行く場合は、滞在期間が短い時にはそのまま持って行っても良いことになっている。そしてこれは、旅行者がどうするか決めれば良いことのはずだ。しかし、実際に空港へ行ってみると、持ってけ、置いてけといろいろ言われる。空港職員や入国審査官に持ってけ派置いてけ派がいて、非常にややこしい。
万一、担当者に向かってルールを説明して、言われた反対のことをしようものなら、空港で一もめ、二もめあってもおかしくない。
従って言われた通りにするしかないのだが、そうは言っても混乱することが多い。以下の事例のとおりだ。

まずは、2000年3月、ミネアポリスからカンクンへの往復

これは以前にも少し紹介した。
ミネアポリスで、カンクン行きのフライトのゲートにいた職員は勝手にしろ派であった。私は I94W のことは、気にかけていなかったので、搭乗時に、ふと「米国から出国するで、I94W を返さないといけない。」と思い、とっさに職員に I94W を手渡した。職員もそのまま、受け取ってくれた。
そして、帰りにミネアポリスのイミグレーションで、「 I94W はどこへやった? 無くしたのか?」と問い詰められた。私が、「メキシコへ行く時に、空港で返した。」と答えると、「ちゃんと持って行かないとだめではないか。今回は許してあげるが、次からは、忘れず持って行きなさい。」と言われた。 審査官は
持ってけ派だったのだ。審査官に謝り、何とか入国させてもらった。

次に、2000年10月、ウエスト・パームビーチからシカゴ経由でトロントに行った時

ウエスト・パームビーチの職員は、置いてけ派「米国から出るので、I94W は返さないといけない。」と言い、私の I94W にサインして、シカゴの空港職員に手渡すように指示した。ミネアポリスの例があるので、どうなることやらと思っていたところ、案の定、シカゴの職員は持ってけ派。 今度は I94W は持って行けと言われ、そのまま、その I94W を持ってカナダに入国した。帰りにトロントで米国の入国審査をするのだが、全く問題なかった。

2000年11月、シアトルからトロントへ

上の経験を踏まえ、I94W を持ったまま、シアトルからトロント行きのフライトに乗ろうとしたところ、今度はゲートの職員は置いてけ派で、I94W を返すよう指示された。帰りに新しい I94W に記入して、米国に入国したが特に問題なかった。

旅行者の我々は、口答えして万一入国拒否でもされたら大変なので、指示に従うしかない。しかし、できれば、統一するか、現場も何でもありにするかして、旅行者に優しくしてもらいたいものである。

(2003年11月更新分)

2003年10月から11月にかけて、NWを利用し米国経由でメキシコに行った時のことである。

まずは NWでチケット購入する時に、航空会社の職員は、チケットのフォルダにI94Wと税関申告書を各2枚入れておいてくれた。行きと帰りで米国に2回入国するので、職員が気を利かしてくれたのである。すなわち、このNW職員は
置いてけ派である。勝手にしろ派の可能性も否定はできないが、そこまで厳密に言う必要はあるまい。
KIX発で、DTWから米国に入国する時、チケットのフォルダに旅程表がとめられていたので、それを見せて、メキシコへのトランジットだと入国審査官に説明した。すると審査官は、フォルダに はさんであった帰路で使うはずのI94Wと税関申告書をゴミ箱に捨てた。とっさに、私は、「帰路で使う。」と言ったところ、審査官は、I94Wはそのまま持ってメキシコに行けば良いという 一般的なルールを 私に説明してくれた。少なくとも、税関申告書の方は、再度必要なのだが、そんなことを言って反論し、審査官の機嫌を損ね、別室送りにでもされたら大変である。されるがままに指示に従っておいた。この入国審査官は
持ってけ派だ。
その日はIAHまで行き、そこで一泊。その後 IAHからはCOを利用した。
翌日、空港でチェックインする時に、COの職員はI94Wをそのままにしていた。すなわち
持ってけ派である。置いてけ派の職員ならば、通常は チケットや搭乗券にI94Wをホッチキスでとめてくれる。次に搭乗時、ゲートの職員は I94Wについては特に何も気にしていなかった。こちらは勝手にしろ派のようである。

帰路再びIAHに戻ってきた。入国審査の列を仕切る職員がやって来て、私のドキュメントを確認。私はDTWの職員の指示に従い、I94Wを書いていなかったところ、この職員は、I94Wと税関申告書の両方書かないといけないと主張。私は列に並びながら、I94Wを書く羽目になった。この職員は
置いてけ派のようであった。しかし、すでに私がI94Wをそのままにして、持っているので、前の分と今回新たに書く分の位置付けはどうなるのか、それを、この職員はどう考えているのか、甚だ疑問である。
IAHの入国審査官は、パスポートにつけたままのI94Wをそのまま使ってくれた。そして、新たに書いたI94Wを、ポイっと箱に入れた。この箱が、ゴミ箱なのか、それとも保管すべき書類を一時的に入れるための箱なのか、それをここで詮索するのはやめたい。
この入国審査官は、
置いてけ派ではなさそうだ。置いてけ派なら、新しく書いた方のI94Wを、使うはずだからだ。持ってけ派かどうかは、これだけでは断定できない。


余談だが、NWを利用し米国経由でメキシコに行く時に、I94Wと税関申告書に書くべき重要なキーワードがある。それは TRANSIT TO MEXICO 
NEXT DAY である。
同日乗り継ぎの場合には、I94Wと税関申告書の米国での住所の欄に、TRANSIT TO MEXICOと書けばよい。ところが、NW利用だと、通常、米国のどこかで一泊することになる。そこで、その宿泊先だけを書いておくと、そこで何をするのかと、いろいろ聞かれることだろう。宿泊先の住所だけでなく、さらに TRANSIT TO MEXICO NEXT DAY も書き加えておけば、分かってもらい易い。
ただ 今回の場合には、「どうして米国内に1泊しないといけないのか?」と入国審査で聞かれてしまった。これに対して 「当日乗り継げる便がない。航空会社の都合だ。」そう答えてもなかなか、納得してもらえなかった。 そんなことは、予め航空会社の方から説明してもらえれば嬉しいのだが、多分駄目だろう。


最後に、持ってけ、置いてけではないが、参考のため返し忘れの事例を紹介する。

日本に帰国する時に、I94W を返し忘れた時が1度あった。通常は航空券があると、帰国便の航空券に、I94W をホッチキスで止めてくれるので、返し忘れることはない。しかし、その時は、マイナーな空港から乗った等で、ホッチキスで止められていなかった。そして、国際線搭乗時のゲートの職員も特に I94W を要求しなかった。

日本に帰って来て、I94W がまだ、パスポートに挟まっているのを見つけ、次回の米国入国時、何か言われるのではないかと心配になった。仕方がないので、航空会社のカウンターに行って、返し忘れた旨を伝えると、「返しておきます。」と言って、その場で受け取ってくれた。次の米国入国時も特に問題なかった。



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