2009年4月
4月1日から燃油サーチャージが大幅に値下げされた。これに伴って格安航空券の値段も大きく変わった。4月からは 値下げで 海外に行きやすくなったというのは、基本的には当たっていようが、単純にそれだけとは言い切れない。燃油は下がったが、その分 航空券自体は大幅に値上げされ、合計では本当に安くなったのかという話がある。それ以外にも、お荷物サーチャージ、自転車サーチャージ、アルコール・サーチャージ、座席サーチャージ、、、 以前より何かと支払いが増えているという事情もある。
3/31と4/1での大幅な価格変動は見ていて楽しいので一通りまとめてみた。ここでは、検索エンジンでの最低価格、その航空券単体に燃油サーチャージを加えたものを比較した。また、出発は4月で その最安値を、3/31までに発券した場合と、4/1以降に発券した場合の比較である。検索エンジンで、都市は指定せず米国行きを調べれば、通常はまず西海岸が出てくるので、そちらを中心に取り上げた。東海岸行きは、通常 西海岸行きに一定の金額を加えたものになり、類似の傾向が得られるはずなので、今回は西海岸だけに絞った。他にも安くないものでの同じ条件での比較は いくらでも存在するが、ここでは安いものを比較しようとしているので、それらも省略した。
4月出発の最安値 3/31までに発券 4/1以降に発券 航空会社 行き先 出発 航空券
単体燃油サーチャージ 合計 航空会社 行き先 出発 航空券
単体燃油サーチャージ 合計 未定 LAX NRT 8000円 42000円 50000円 未定 SFO NRT 34500円 NA NA 米系 SFO NRT 16500円 42000円 58500円 米系 SFO,PDX NRT 34800円 16000円 50800円 ANA LAX,SFO NRT 19000円 44000円 63000円 ANA LAX,SFO NRT 58300円 7000円 65300円 JAL LAX,SFO NRT 19500円 44000円 63500円 JAL LAX,SFO NRT 58200円 7000円 65200円 KE LAX NRT 21400円 40000円 61500円 KE LAX NRT 39000円 7000円 46000円 NW PDX,SFO NRT 42900円 40000円 82900円 NW PDX,SFO NRT 40000円 16000円 56000円 UA SEA,SFO
LAXNRT 54000円 7000円 61000円 UA SFO他 NRT 54000円 7000円 61000円 - - - - - - UA LAX KIX 32000円 7000円 39000円 正確に比較するなら、平均値の比較などになろうが、ここでは傾向が知りたいだけである。
最安値の比較
3/31までの発券、航空会社未定のNRT発LAX行き50000円と、4/1以降発券 UAのKIX発LAX行き39000円を比較すれば、かなり安くなったということになるが、後者は、他社対抗の特別割引である。かなり特殊であるし、出発地も異なるし、これは除外した方が良さそうだ。すなわち、KIX/SFOの往復はNRT/SFOと同じような価格であり、KIX/SFO/LAXの往復がKIX/SFOの往復より20000円余り安くなっている。SFO/LAXの区間など、どれか一部でも放棄すると正規料金を請求されるような条件も付いている。KIX/SFOがUAの独断場で値下げの必要がないからこんなことが起こるのだが、かなり変だと言える。 次は、4/1以降発券 KEのNRT発LAX行き46000円が安い。これなら、50000円と比較して少し安いという程度である。
ANA & JAL
他社も同様の傾向はあるが、この2社の値動きには まさに数字のお遊びと言いたくなる。3/31までの発券の制限つきで、NRT発LAX,SFO行きが19000〜19500円。これが、検索エンジンで直接表示される価格で、日系航空会社としては破格の安値に見えた。期末までに少しでも売り上げを増やそうという目論見と思われた。そして、3/31から4/1へと日付が移って、値段の内訳を見れば、普通の人ならあきれてしまうはずだ。航空券自体は3倍以上の値上げ、そして、燃油サーチャージは、先に発表されている通り約1/6になった。結局、合計は2000円ほど高くなった。燃油サーチャージを大幅値下げすると言いながら、合計で値上げするとは とんでもないということもできるし、3月に、安いと勧められ 駆け込みで買った人が、4月に値下がりしていたら怒り出すので、少し値上げするのは当然だとも言える。いずれにせよ、数字の異常な辻褄あわせと言えよう。
KE
KEもANA,JALと同様の傾向はあるが、合計金額は4月以降発券で かなり値下がりしているので、普通に受け入れ易い価格変動と言えよう。
NW
こちらは燃油の値下げがそのまま、合計に反映している。ただし、1月、2月はPDX便利用限定の特別料金があったので、それと比べれば、それほど値段は下がっていないとも言える。
UA
UAでは、4月以降出発分については、3月発券でも4月以降の発券と同じ金額に燃油サーチャージを前倒しで値下げしていた。そのため、3/31から4/1にかけての価格の変動はなかった。既に書いたように、KIX/SFO/LAXで、大幅な割引価格が登場した。このような特別価格が全体の値下がりを主導するとも言えるので、嬉しい傾向ではある。
全体をまとめると、燃油サーチャージが値下がりすれば、その分、合計で安くなるのは当然と思えるが、実際には、燃油の値下がりに対して、燃油サーチャージの値下げが遅れている分、航空券を異常に安くして、前倒しで調整している。そのため、燃油サーチャージの値下げが行われても、今度は航空券代を正常な価格に戻し、再度調整が行われるのが当然で、その結果、3/31から4/1へ向けての値下がりは小幅となった。これは、航空会社の肩を持った物言いで、それも一理あるとは言えるが、燃油サーチャージが大幅下落と言いながら、合計するとそれほど値下がりしないのは、ユーザーとしては、納得しにくい。特に日系航空会社の値動きには、眉をひそめる人が多いはずだ。