2015年2月作成
2015年以降のUAとDLのマイレージプログラムは、多くのユーザーからは超不評で、Mileage Programというよりは、Money Money Money Programと呼びたくなるような内容に変ってしまった。ここでは、UAとDLの新しいマイレージプログラムを比較することで、見えてくるものを探ってみたい。
獲得特典マイル獲得特典マイル = 航空券の値段(ドル)x (倍率、係数)
UA 平会員 シルバー ゴールド プラチナ 1K
(EQM 10万マイル以上)DL ダイヤモンド
(EQM 12.5万マイル以上)倍率、係数 x5 x7 x8 x9 x11 獲得マイルはこれまでは飛行マイルに比例していたが、2015年以降は、使った金額に比例することになった。
ずっと以前なら、米国周遊などでテクニックを駆使することで、特典マイルの獲得単価は、ゴールドレベルで1マイル当たり2円程度を実現できていたこともあったが、いまやそれが、1マイル当たり 約120円(=1ドル)/8 = 約15円で7倍以上のコスト上昇である。さらに、特典旅行に必要なマイル数も改悪が続き、大雑把に言えば、一桁おトクの度合が下がったと言えよう。
例え話をすると、物価の安い国に移住したつもりが、現地のインフレと円安の進行で、コストが10倍かかるようになり、財布がもたなくなったというのは、少し悪意に満ちた例えであろう。
買い物をした時のポイントの還元率が10%から1%に下がってしまったという例の方が相応しいのだろう。航空会社の主張では、これまで高い航空券を買っていた割に、あまりマイルがたまらなかった人へは朗報になるそうだ。
さて、本題にしているUAとDLの比較であるが、係数がx11である最上位のマイレージレベルに到達する条件が違うだけで、基本的には同じである。スーパーのポイントは大抵横並びだが、ここでの係数がすべてたまたま一致したということはありえないだろう。考えられるのは、他社の真似をした。または、黒幕企業の存在等だろう。マイレージ・ダイニングでは、各航空会社が、同じ会社に外注していて、どの航空会社も内容が同じで、外注先の企業名もサイトに出ていたので疑問が生じることはなかった。
今回のルール変更は、巷ではビックデータの解析結果を反映したもの言われていて、データを解析した企業は存在するのだろうが、別々の航空会社で結果が一緒になっているのは、どこかで共通することがあるのだろう。
1予約当たりの最大獲得マイル数
これも、UA, DLとも同じで最大 75000マイルまでとなっていて、たまたま一緒になったということはないだろう。
DLではキャンペーンマイルは、この上限に含まれず、さらに追加でキャンペーンマイルを獲得できる。
獲得マイルの係数で割り算すれば、マイル加算の上限の金額が出てきて、これ以上の金額を使っても、切捨て御免でもらえるマイルは増えないということになる。
UA/DL 平会員 シルバー ゴールド プラチナ 1K/ダイヤモンド 加算上限金額 15000ドル 10714ドル 9375ドル 8333ドル 6818ドル 提携航空会社利用でのマイル獲得
従来通りで、マイルベースで特典マイルを獲得できる。ただし、割引運賃の場合の加算率が以前から減少傾向であったが、それに拍車がかかり、特にDLの場合には、たったの25%しか加算されない場合が多い。割引運賃での加算率
飛行マイルベースでマイルを獲得できる場合に、獲得マイルのマイル単価が安くてオトクと言えるのは従来の感覚から言えば、割引運賃の場合であろう。しかし、割引運賃での加算率が悪いと、マイルが貯まりにくくなる。
正確な比較は難しいが、代表的な例としてLH、ANA、TG、AF、AZ, KEを取り上げて比較しておく。
エコノミーの予約クラスと加算率
- UA提携航空会社 DL提携航空会社 航空会社 LH ANA TG AF アリタリア航空 KE エコノミー
予約クラスと加算率M,H,Q,V,U,W,S
100%B,M,U,H,Q,V,W,S
100%M,H,Q,T,K,S,G,V,W
100%M,U 100%
K 75%
H,L,Q,T,E,N 50%M,H 100%
K,V,T 75%
N,,S,Q,X,O,L,G,W 50%M,S,H 75% エコノミー割引運賃
予約クラスと加算率T,L
100%T,L,K
100%N.A. R,G,V
25%R
25%E,K
50%他社便に安い航空券で搭乗してマイルを貯めようとした場合に、UAは、従来と同じような加算率でマイルが貯まるが、DLの場合は、自社便同様極端に加算率が悪くなり、安物ユーザーが改悪と呼んでいるまさにそのものであろう。
UAの提携会社の場合でも、表には乗せなかったが、エバー航空、エジプト航空その他、加算率が100%ではなくて、割り引かれる場合も少なくないが、それでも、全般に見れば、他社便利用時の割引運賃の加算率については、UAの方がDLより かなり条件が良いと言えよう。
エリートボーナス
ベースマイル(または基本マイル)=飛行マイルx 予約クラスによる加算率
エリートボーナス = ベースマイル x エリートレベルによる加算率自社便利用時のエリートボーナスは、航空券の値段にかける係数に反映されているが、提携航空会社時のエリートボーナスは、従来のように、飛行マイルをベースにした獲得マイルに、例えばゴールドなら50%のボーナスが得られるというような計算になっていて、従来と同様である。しかし、エリートレベルによる追加の割合がDLでは直近より減っている。それでも、比較すれば、UAよりDLの方がまだ加算率が良いと言える。ただし、その前に、フライトマイルに対する加算率が、割引運賃の場合 DLでは極端に切り下げされているので、安い航空券を買って、できるだけマイル単価を下げたいエリートメンバーには、DLの方が全体の加算率はかなり悪い場合が多いと言えよう。
エリートボーナスの加算率の比較
エリートレベル シルバー ゴールド プラチナ 1K
(EQM 10万マイル以上)ダイヤモンド
(EQM 12.5万マイル以上)UA 25% 50% 75% 100% DL 40% 60% 80% 120%
他社便利用でもエリートボーナスが加算されるのは、UAの場合には 以前はLHだけだったと思うが、最近は、その他オーストラリア航空、スイス航空、ブリュッセル航空等も加算される。
DLの方は条件が良くて、提携会社を4つにグループ分けして、グループ1、2はすべてエリートボーナスが加算され、グループ3、4では、DL便名のフライトのみ加算される。
繰り返しになるがエリートボーナスの加算だけみればDLの方が条件が良いが、エリートボーナスの加算の計算の元になるベースマイルは、割引運賃の場合、DLでは加算率が悪い。提携航空会社を利用する場合、マイルの貯まりやすさは場合によるが、UAの上級会員が、LHなどのエリートボーナスの加算のある航空会社を利用し、加算対象の最低料金の航空券を買えば、獲得マイルのマイル単価をかなり下げることができそうだ。
ただし、UAの上級会員でマイルを貯めることに興味がある人には、ミリオンマイラーが眼中にあり、UA便に囲い込まれやすそうに思われる。エリート資格対象マイル(EQM/PQM/MQM)
UA、DLとも従来どおりフライトマイルベースで、EQM/PQM/MQMを獲得できる。
DLでは、他社便利用の場合、例えばKEだとMQMは加算対象外になっていたり、予約クラスにより、MQMの加算率が変る場合も多い。昨年のルールを全般には見ていなかったが、計算方法は同じでも、加算率、加算対象については、従来とかなりかわっているはずだ。
特典旅行必要マイル2014年の始めに大幅な改悪があり、特典旅行の必要マイルはかなり全般的にかなり引き上げられた。2015年については大きな変化はないようだが、今後も条件が悪くなる方向であろう。一部変更があり、例えば、DLマイルで日本からフィリピンを往復する最低のマイルは、2014年までは、3万マイル必要だったが、2015年からは3万5千マイルに引き上げられた。この日本とフィリピンの往復を例に取れば、当初は2万マイルでエコノミー、3万マイルでビジネスクラスに乗れたものが、いつの間にかエコノミーが2万5千マイルに引き上げられた。さらに、2014年の始めに航空会社が同調して一斉引き上げをして、3万マイルとなり、前述のように2015年からはさらに3万5千マイルとなってしまった。ユーザーからは開いた口がふさがらないという言葉しか出そうに無い。
この傾向をインフレだからしかないと説明されて、納得している人がいる。しかし、それなら、もらえるマイルの方もインフレしてしかるべきで、航空会社は、沢山お金を使ってもらった人にはこれまでより沢山マイルをあげていると説明するが、平均すれば、大幅な賃金カットのようなもので、到底納得できるものではないだろう。
片道特典
DLも片道特典を始めたので、UA,DLで比較優位は無くなった。正確には、DLも以前から片道特典はあったが、片道でも往復と同じマイルが必要で実質意味の無いものだった。
ルールの開始時期
UA 2015年3月1日以降出発のフライトに適用
DL 2015年1月1日以降出発のフライトに適用