旅行中に使うお金

2013年5月作成




かなり初歩的な話題であるが、海外に出掛ける時に どのようにお金を持って行くか考えてみたい。そんなことはわざわざ説明してもらう必要はないという人がほとんどだと思いたいが、フィリピンで こちらに来られる訪問者でも、読んでもらった方が良い人が結構いるので取り上げた。また、先進国に行く場合には、クレジットカードが広く使えるし、クレジットカードを持たずに出掛ける人は少なそうで、そんなに悩むことはないのだろう。それでも、先進国・途上国に限らず、私の感覚からすると結構大金の円や外貨の現金を持って出掛ける人は少なくなさそうで、安全面から、それで良いのか 再検討して頂いた方が良い場合もありそうだ。

ガイドブックを見れば、例えば、宿泊費や食費、交通費など、一日当たり どれだけ滞在費が必要かというようなことは、行き先ごとに、さらに旅のスタイルに合わせて詳しく説明されている。お金の持って行き方も、最初に思いつく現金以外でも、クレジットカードで支払ったり、キャッシングしたりする人もあろう。キャッシュカードで現金を引き出す場合もあろう。

今回の一番のポイントは、それらを幾つ持っているか、幾つの手段を持ち合わせているかと言う点だ。現金だけだと、いくら大金を持っていても、泥棒に盗まれたらお仕舞いで 大金を持ち歩くのは危険を伴う。そこで、トラブルに備えて、幾つかの方法を持ち備えていた方が安心だ。そんなことは当たり前とほとんどの人が言いそうだが、例えば、現金が少なくなり、クレジットカードでキャッシングしようとしたら、キャッシング枠を設定していなかったというようなこともある。ここでは、チェックリストのようなつもりで、以下に幾つか取り上げて説明を加えておく。

現金

最も普通なのが財布に現金を入れて持って行くことで、日本国内の旅行なら、現金と銀行のキャッシュカードの二つで十分だろう。ここでは海外に行く場合の話なので、どこかで現金を両替をする必要が出てくる。日本円の現金をそのまま持って行って、現地で両替するのがレートが良いという場合が多そうで、例えばフィリピンでもそうなることが多い。しかし、長期滞在だと、そんな沢山現金を持って行っては盗まれそうで不安だ。人によっては、現地の隠し場所に保管しておいたり、現地で預金口座があって、両替後すぐにそこに入金する人もいるかもしれないが、どれも多長多短で、100点満点ではない。

日本で米ドルかユーロに両替してから 持って行く場合もあろう。米国やユーロ圏に行くなら それも便利だし、日本円の両替レートが現地でも良くない国では、基軸通貨の米ドルで持って行く場合も多いはずだ。少なくともいろいろな場合に備えて、米ドルの現金も持っていた方が何かと役に立ちやすい。フィリピンでも田舎の方へ行くと日本円は両替できなかったり、極端にレートが悪かったりする。

また 米ドル・ユーロ以外の通貨は、日本で両替すると非常にレートが悪い場合がほとんどであるのも常識であろう。

最近はFX業者が両替業に進出し、旅行者にも非常に良いレートで両替してくれるようになっているので、その手のサービスにも着目したいところだ。

両替の話に偏ってしまったが、本来なら、現金をどう保管するかというのも重要な話題だろう。ある程度は分散するというような基本的な話はあるにせよ、もしも私が決定版の方法を知っていたとして それを買いても、泥棒に情報を提供しているようなものとも言え難しい。
実際には最近でも何度か盗難に遭っているので、自分が盗難対策を書くのに相応しいとは到底言えない。現金ではないが、マーシャル諸島まで来て、まさか自転車を盗まれるとは思わなかったという思い込みが間違いだという教訓は挙げられよう。

キャッシュカード

日本の銀行のキャッシュカードでもPLUSやCirrusのマークの入った国際カードなら、海外のATMでも現金を引き出せる。海外に出掛けるなら、安心のためだけでも、日本のどこかの銀行の国際カードを作っておくべきだろう。問題は、為替レートが良くないことである。さらに、特に東南アジア諸国などで、手数料が値上がりし、その二重苦で、実質レートがかなり悪いことだ。使う前に 一体どれくらい目減りしてしまうのか、十分調べておいた方が良さそうだ。
それでも、現金で困った時に役に立つので、1枚は作っておきたい。

クレジットカード

旅行中なら、買い物やホテルに泊まった時の支払いにクレジットカードを使うことが多いだろうが、海外のATMからキャッシングで現金を引き出す人も多く、通常、キャッシュカードより両替レートが良いと言われている。

ただし、2007年から貸金業法の総量規制が始まり、新しくクレジットカードを作る場合には、キャッシング枠の制限が厳しくなっているので、要注意だろう。

先に書いたように、キャッシングしようとしてみたら、キャッシング枠が設定していなかったという場合もあろう。私もそれで、試しにキャッシングしてみたら 駄目で、後から日本でキャッシング枠を設定してもらった経験がある。しかし、借金のイメージがあり、結局 未だ一度もキャッシングは使ったことが無い。これは達人の反対と言えそうだ。

海外滞在中の支払いにクレジットカードを使えば、現金を持ち歩く必要がなくて便利だが、国によっては使うのが不安なこともあろう。米国ではこれまで頻繁にクレジットカードを使ってきたが、フィリピンでは、ちょっと不安で使うのをためらってしまう。それでも、馴染みの旅行代理店での支払いについては問題ない。

トラベラーズチェック(TC)

以前は、TCは海外旅行の必需品だったのではないかと思うが、90年代には国際カードで海外での現金引き出しができるようになっていたし、クレジットカードのキャッシングもできて、最近はTCは影が薄くなったのかもしれない。それでも、米国なら通常TCで支払いは出来るし、他の国でも、銀行や空港の両替所で両替はできるはずだ。

一方 先日フィリピンに来た訪問者の話では、滞在費は主にTCで持って来たものの、以前の感覚は通用せず、フィリピンを含めて今回行く国では手数料が高くなって使えないので、そのまま持って帰ることにしたそうだ。TCを購入する前に、自分の行き先では手数料が幾らかかりそうか、調べておく必要があろう。
キャッシュカードのように最近になって手数料が跳ね上がっている場合もあるかもしれない。

現地の銀行での預金

長期滞在の場合には、現地の銀行で預金口座を開いておくのが便利だ。現地の自宅にタンス預金という話も聞くが  火事や盗難の可能性もあり、銀行に預けておいた方が安心だろう。

私の場合は フィリピンで一つの銀行にドル口座、別の銀行にペソ口座を持っている。
日本とは、かなり違いがあり、例えば、通帳とキャッシュカードのどちらか一方だけ選択するようになっていて、システムが瞬時に処理できないというようなことになっているのだろう。
一つの銀行では、1年間預金の出し入れがないと預金を没収されると言われていて、とんでもないルールだが、最寄の銀行なのでそちらでも口座を開いた。もう一つの取引銀行ではその手の取り決めはない。
口座の開設も、以前よりいろいろな条件を要求し出し、例えば、IDは以前は一つで十分なのでパスポートを持って行ったが、最近はIDは二つ必要と言われたことがある。他にも、銀行により、またドル預金かペソ預金かにもより、いろいろと条件があろう。

いろいろとイマイチな面が多いが、口座があると便利で、どちらの口座も日常的に使っている。

自分が住んでいるフィリピンでの経験を書いたが、他の国では、銀行口座の開設だけでも簡単だったり、難しかったりとか、その他いろいろな違いがあろう。

現地の口座への送金方法もいろいろあろうが、日本人に聞くとシティバンクから送金している人が多い。米国人の知り合いにはPaypalを使っている人がいた。

海外送金業者

最近は、日本でもウェスタンユニオンの利用が広まり、インターネットバンキングやコンビニから、通常の銀行からの海外送金に比べ お手頃な手数料で 小口の送金ができて便利である。出稼ぎ立国のフィリピンの場合は、ウェスタンユニオンの店舗は全国いたる所にあり、現地の人は、そこへ行って送金を受け取っている。例えば、インターネットバンキングで送金し、現地のウェスタンユニオンの店舗で受け取れば良さそうだ。手数料は業者のサイトに書かれているが、自分ではまだ試していないので、全体でどれだけ目減りするのかとか、使い勝手がどうなのかとか、具体的なことは良くわからない。それでも、海外で現金が底を着いた時の対策の一つとしては有望であろう。


いろいろと書き並べたが、どれも課題があり百点満点ではない。特に手数料が上がったり、条件が厳しくなったりしていく傾向があるので、時々見直しも必要であろう。

繰り返しになるが、現金だけ持って行くのではリスクが高いので、他にも幾つか現金を引き出せる方法を準備しておいた方が良いというのが今回の趣旨である。さらに、代替案で、いざという時しか使わないつもりでも、予め実際に現金が得られることを確認しておき、万一の場合に備えたい。海外でのATMの使い方を練習しておくというようなことである。その時が来たが、使い方が分からないので、人に暗証番号を教えて現金を引き出してもらったというのは、明らかに不可であろう。


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