UA,NWの宿敵サウスウェスト航空の
行き先表示ディスプレイ賑わせ作戦

2003年3月


サウスウェスト航空の
チェックインカウンター
@タンパ国際空港

米国で大手航空会社のハブになっていない空港へ行くと、サウスウェスト航空が勢力を伸ばしていることが多い。サウスウェストと言えば、かつては、南カリフォルニア、ネバダ、ニューメキシコ、テキサス周辺だけが勢力圏であった。ところが、急激に拡大し、例えば
先日行ったフロリダのタンパでも、完全にサウスウェストに征服された感がある。
空港で 行き先を示すディスプレイを見てると、ほとんどがサウスウェストで埋めつくされている。スクリーンが3つしかないので、例えば、朝一番に空港に行くと、午前8時頃に出発するNWのミネアポリス便もデトロイト便も、表示にはなくて、大多数はサウスウェストである。
こういう状況なので、空港のターミナルも、例えばシカゴのB,Cターミナルや、デトロイトのAターミナルが、UA、NW一社で それぞれ占められているように、サウスウェストで占められるターミナルがあっても良いのではと 思ってしまう。
ところが、行き先の表示とは裏腹にゲートの数はそれほど多くない。1つのターミナルを埋めるほどではない。

ディスプレイを、ほとんど埋め尽くしているのに、ゲートや飛行機はそれほど多くない。その理由は何かと思って確かめてみると、サウスウェストの便は、他社と比べ、やたらと経由地が多いためであることがわかった。
通常、空港の行き先表示ディスプレイでは、最終の行き先だけでなく経由地も独立して表示される。乗客の行く都市の名前をアルファベット順に並べて、ゲートや出発時間などを表示するので、経由地が目的地の乗客にとっては、経由地も独立して表示してもらわないと、ほとんど役に立たないためである。
米国でも、サンフランシスコの新ターミナルなどでは、経由地も同じ行の中で切り替えながら表示していて、インフレ表示ではない。関空等と同様である。しかし これは、国際線ターミナルなど、便数の限られた場所だけで可能なことである。
便数が多いと、アルファベット順にすべての目的地、経由地とも表示しないと使いものにならないのは明らかだ。
例えば、サウスウェストでタンパ発オースチン、ロサンゼルス経由オークランド行きという便がある。経由地、目的地合わせて3つの都市をすべて、ディスプレイにアルファベット順に表示しておかないと、ゲートや出発時間が変更になった場合、オースチンやロサンゼルスまで行く乗客は、どこを見て その情報を得れば良いのか、とてもわかりにくくなってしまう。
「サウスウェストは、この単純明解な原理を うまく利用して、経由地をやたらと増やし、自社便が実際より多いように見せかけ、ディスプレイを制覇し、乗客に サウスウェストに乗るしか選択枝がないように思わせている。」そう言ったら言い過ぎだろか?
サウスウェストの台頭が、UAのChapter 11の原因の一つであるのは事実であり、UAに沢山マイルを貯めているユーザーとしては、そういった疑いの目でライバル航空会社を ついつい見てしまう。
「行き先ディスプレイを制覇することは、航空会社に、大きな利益をもたらすことは間違いない。他社に比べ何分の1の飛行機を使うだけで、ハブのような地位を勝ち取る。サウスウェストは、そんな知恵(悪知恵)を働かしている。」 一ユーザーの勘ぐりではあるが、まんざら外れてはいないと思う。


BACK