出国航空券提示問題

2012年1月9日作成
2012年1月10日更新




海外発券で問題になるのが、次にその発券国に戻ってきた時の入国審査での出国の航空券の提示である。また、片道航空券でも、到着地で同様の問題が起こる。到着地でも調べられるが、その前にその到着地へ向かう出発のフライトの空港でのチェックイン時に、厳しく調べられる。
そんなことは当たり前という人がほとんどと思っていたが、空港で、チェックインできなくて困っている人も見受けられる。また、この件に関して、人によって意見や見方が異なることがあり、ここにまとめてみた。

多くの国の入国審査で 出国の航空券の提示を求められる。そのまま不法滞在されたら困るということだろう。出国の航空券がないという理由で入国を拒否された場合には、航空会社がその乗客を出発地点に送り戻す義務があると言われているので、航空会社の方も、空港でチェックインする時に念入りに出国の航空券の有無を確認する。ただし、目的地の国の永住権やビザの有無など、その国ごとに決まった条件をクリアしていれば、この限りではない。

日本人が日本から往復の航空券を持って海外に出掛ける場合には、往復なので復路の航空券があり、もしも、ストップオーバーする国があっても、次の国への航空券があり、いずれにしても問題ない。多くの日本人海外旅行者は単純な往復航空券を利用しているはずで、通常は問題にならないと言えるだろう。しかし、日本発でも、別の国でオープンジョーにする場合には、問題が起こる可能性が出てくる。

東南アジア諸国を陸路で移動するような場合も通常は問題ない。それでも、例えばベトナムなどは、陸路で入国する時にもベトナムから出国する航空券を持っていないいけないと言われている。誰がどう要求しているのが確認していないが、噂ではそう言われている。しかし、実際には、何度もベトナムへ陸路で入国しているが、一度も出国航空券の提示を求められたことはない。中国から一緒のバスに乗ってベトナム旅行に出掛ける中国人は、バスでまた中国に帰るので、帰りの航空券を持っていないのは当然で、そんなものの提示を求められるはずがない。中国人以外も同じように航空券なんかなくてよいだろうと考えるのが当然だろう。

それでも、さらに しかし となるが、特定の国境では、航空券の提示を求められることがあるという噂もある。ルール、役人の裁量、そして実態。マイナーなところは実際に行ってみないと分からない。

米国発券

陸路の話で もたついたが、海外発券や片道チケットで入国する場合には、その国に向かうフライトのチェックイン時にいろいろと聞かれることになる。入国審査では、いちいち航空券など見ないことも多いが、ちゃんと確認する場合もある。一番厳しいのは米国だろう。私の場合、米国に行き始めた最初の頃は ビザ免除の制度がなかったので、ビザを取得した。そのビザが有効なうちは、入国時に出国の航空券の提示は求められなかったので、米国発券で特に問題なかった。米国の場合は、永住権でなくても、何かビザがあればその間は、入国審査で、出国航空券の提示は求められないからである。

ところが、ビザが切れてからは一気に問題になり、日本で1年オープンのチケットを買って、その有効期間内で米国発券を繰り返すこともあったし、特典旅行で日本からハワイ行きの往復航空券を発券し、帰りの分を見せて済ませていたこともあった。しかし、以前は、紙の航空券だったので最初の方をめくって 帰りの分を見せれば何とかなったが、e-ticketの控えではこの手は厳しそうだ。幸いにも最近では特典旅行の片道発券が普通にできるようになったので、米国発の特典旅行をダミーで片道発券するようなことであろう。ダミーと書けば何でもありと言えそうだが、その話はここでは省略したい。

バンコクの知り合いの苦労話

多くの日本人が海外発券する代表的な都市はバンコクであろう。以前に比べておトク度が低くなってしまったという噂を聞くが、まだまだ、いろいろとメリットはあるのだろう。一般的なメリットとしては、三大ピーク時に安く航空券が買えるということが挙げられよう。残念ながら 私自身は特典旅行以外はバンコク発の航空券を使ったことがないので、現状でどこ行きがお買い得かというような情報は調べていない。
ここでは、タイの永住ビザを取得して、バンコクに住んでいる日本人の知り合いの苦労話を紹介しよう。その人は、バンコクベースで、ニッチなところにマイル修行に出掛けている。永住ビザがあるから、タイに入国時に出国の航空券の提示は不要である。タイまで戻った時にはこれで問題ないものの、遠い異国では、その人の持っている永住ビザのことを、空港のチェックインカウンターの職員が理解してくれなくて、タイ出国の航空券を見せろとしつこく追求される場合が多いそうだ。その光景が目に浮かぶいかにもありそうな話だ。米国在住のグリーカード所持者がそんな目に遭ったら、流石に、空港の職員はもぐりかと言いたくなるが、世界各国のビザについて、空港の職員がすべて把握するのは大変だ。大国でないタイに行く場合なら普通に起こりそうだ。

台北行き

以前に、台北発券で、日本往復の航空券を繰り返し買っていた時期がある。この時も同様に出国の航空券の提示が問題になったが、私は、一つ先の航空券まで買ってしまっていたので、問題なかった。しかし、この自転車操業は、何度も何度も台湾に来るうちは良いが、それが無くなるとどこかでポッキリ。最後の航空券の復路が無駄になるというおまけが付いた。しかし、今なら特典旅行の片道発券が普通にできるようになったので、台湾熱が冷めて自転車操業が終わるとしても、台北発の特典旅行で片道航空券を発券すれば無駄は出ない。

最近は、特典旅行の片道発券とともに、Jetstarの関空・台北便が登場し、これらの片道と、さらにセブ・パシフィック航空(5J)の片道発券を組み合わせ、台湾に寄り道してから、フィリピンへ飛ぶコースを愛用している。お陰で、台北の定宿にしているJoさんのゲストハウスでも、リピーターとして厚遇されるようになった。

この宿で知り合った人から台北発券の話を聞いた。以前の私の場合は、CXか SQの今は無き大阪行きの往復を買っていたが、その人は、中華航空の那覇行きの往復を買ったそうだ。那覇にしばらく滞在して、中国の長期のビザを取得し、台湾に戻ってから中国に長期で行くそうだ。その前は、以前に紹介したが小三通で、アモイから船で金門島に渡り、そこから台湾の国内線のフライトで台北に来たそうだ。この経路は中国バックパッカー観光旅行記の作者と 全く同じである。中国長期滞在者の一つの定型パターンなのかと思ってしまった。この場合、アモイから船で来ることで、台湾入国時の出国航空券の提示を不要にしているが、那覇から飛ぶ時が問題になってくる。那覇空港では、台北行きのフライトに乗る人で台湾出国の航空券を持っていない人は、台北で入国できない場合に自腹で帰るという旨の書面にサインさせられるということである。これも、中国バックパッカー観光旅行記と全く同じであるところが面白い。これが通るから、このルートが存在するという話もあろう。

那覇の場合はサイン一つで済むが、厳しいのは関空からJetstarで台北行きに乗る時である。Jetstarでは簡単に片道発券できるので、片道航空券だけ持って台湾に向かう人が出てもおかしくない。以前、そういう人を空港で見かけたが、強引に台湾からの出国の航空券を買わされていた。出発時間も迫っているので、Jetstarで買うしかないのは当然だろう。これでは、利用者に嫌われるのは必定で、この乗客は二度とJetstarに乗らない可能性が高い。

出国の航空券提示不要

飛行機で到着しても、出国の航空券の提示を求められないと一般的に言われているのは、近隣国では、中国、香港、マカオ、韓国であろう。しかしながら、少しでも確証を得ようとインターネットで検索したら、韓国でも建前上は出国の航空券が必要と書いている人もいる。バンコクから中国に片道航空券で飛ぼうとしたら、チェックイン時に やはり中国の出国の航空券の提示を求められたが、なんだかんだとはぐらかし、出国の航空券を買うお金を持っているから大丈夫だと言って許してもらった人の例も見つかった。これだと、世界の国の数マイナス1の場合が出てきそうにも思える。しかしながら、入国する国からすれば、どこから飛んでこようが同じなので、要不要どちらかしかないだろうとも思える。

反対に、空港のチェックイン時の確認の方は、航空会社、職員によるということになり、こちらは膨大な場合が存在する。誰かがチェックイン時に、引っかからなかったという情報は、あまりにも多くの場合の一つを示しているに過ぎない。ただ、こう言ってしまうとお手上げなので、ある程度のリスクを想定した上で、一般に言われていることを信じておくのが現実的なのだろう。

空港で聞かれると言えばいろいろな場合がある。上に挙げた4つの国の中で、私の場合もクレームがついたことがある。

先日中国へ飛んだ時のことである。中国国際航空利用で、行きは関空から北京経由の南寧まで。帰りは昆明から北京経由で関空まで。この経路で、なんら問題ないはずだったが、期間が5ヶ月もあるのが引っかかった。中国の長期滞在ビザがあれば問題ないが、それがないので、この場合も出国の航空券が必要と職員は言い出した。こちらは、南寧からバスでハノイに行き、その後フィリピンに戻り、4ヶ月ほどしてから、香港に飛び、中国、ベトナム、中国という経路で移動し、昆明から帰国する予定であった。そこで、南寧からハノイまでバスで行くと説明したら、そんなルートは初めて聞いたと感心されたが、それでも、バスのチケットはあるかと 突っ込まれた。バスは毎日沢山走っていて、2千円足らずでチケットを買えるので問題ないと説明したら、やっと許してもらえた。
職員に聞かれる場合もいろいろあるので、臨機応変に対応できないとまずい。
私の場合、作り話なんかしたら、しどろもどろになるのは目に見えているので、真実をそのまま伝えるしかない。

国が異なるオープンジョーの両都市間の陸路移動

例えば、私も経験あるのは、UAのオープンジョーの特典旅行で成田からバンコクに飛び、シンガポールから帰る場合である。マレー半島を陸路で横断しようというわけだ。同じUA便なので、クレームが付きにくいのかもしれないが、空港でチェックイン時に特に何も言われなかった。聞かれたら、実際の予定の通り、バスや鉄道で移動すると答えるまでだ。空港到着時ももちろん問題なかった。

知り合いが、マニラからセブ・パシフィック航空(5J)で、サイゴンとクアラルンプールのオープンジョーで飛んだ。かなり遠い陸路の移動だが、この場合も問題なかったそうだ。オープンジョーでもすべて同じ航空会社というのが有る程度の免罪符になりそうなのは間違いないだろう。しかし、どこまで陸路移動するのは認めてもらえそうか 明確な基準はありそうにない。あまりに遠いとダミーの航空券などが必要になろう。

例えば、シンガポールに到着して、出国の航空券が無い場合、マラッカやクアラルンプール行きのバスのチケットをインターネットで購入することができそうなので、それを予め購入しておく手があろう。しかし、それでは割高で、普通はジョホールバルまでバスで行き、そこで乗り換えマレーシア料金でバスに乗り継ぎたい。それなら、「ジョホールバルまでバスは200円もしない。それを買うので大丈夫。」と言えば、空港のチェックインや入国審査で ひっかかっても、許してくれそうにも思う。

多くの国を放浪するバックパッカーの場合

日本を出発して、世界を放浪するパックパッカーが、世界一周航空券で回るとか、バンコク行きの1年オープンチケットを利用するような場合は問題ないが、その他の場合で出国航空券の提示が必要になってくることが多い。最近なら、例えばAir Asiaの片道航空券でクアラルンプールに飛んで、そこから旅を始めるのは、かなり人気があるはずだ。帰りの日程を決めての旅なら、予め往復で買っておけばよいが、バックパッカーだと、気ままな旅で、帰りは旅先で適当に考える場合も多かろう。帰りの航空券は後から買うという話だと、最初の入国時のために、マレーシアからの出国の航空券を準備する話が出てくる。ここで、シンガポール行きの航空券を買う人が少なくないのだろうが、それを使うと、今度は、シンガポールに入国時に、同じことが起こってしまう。ドミノの自転車操業とも言える。
シンガポールとジョホールバルのバスの回数券。これを持って、シンガポールもマレーシアも空路で自由に入国してやろうと、そんなこと考えたくなるが、回数券の存在の有無も含めこれで済むかどうかよく分からない。しかし もしも回数券がみつかったら試してみたいものだ。

話が特定の地域に偏っているが、世界中どこでも起こる話で、片道航空券で出掛けようとするなら、ダミー航空券などの対策が必要になってこよう。

さらには、何とか最初の関門で陸路モードに入れたとしても、どこかで、国際線の飛行機で片道移動を入れると、またまた、同じ問題が浮上してしまう。バックバッカーには難儀な話であろうが、バックパッカーなんかにそのまま居つかれたら困るという受け入れ国側とのせめぎ合いなのだろう。



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